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2018年11月4日日曜日 文化祭2日目(8)

 ミアキは昨夜、広乃ちゃんの家にお泊まりして彼女の料理スキルの高さに目を見張っていた。広乃はお菓子大好きで図書館で料理本を借りてオーブンなど使って作ってティーパーティーとかやるような子なのだ。ミアキはティーパーティーは噂に聞いていたけどお菓子を含めた料理の力量が本物だと知った。

 ユウスケの家も共働きで手伝いはしていたから全く出来ない訳ではないどころか二人の知らない料理を教えてくれた。ミアキは父親とオムレツを作ったりはしていてやり方自体は知っていた。料理方面は小学生としてはだけど間違いなく最強トリオだって確信は持てた。

 そんな事情までは知らなかったミフユだけど広乃とユウスケの料理具合を見て本気を出していたけど、徹底的にやらないと本当に負けるかもねと思うようになっていた。


 広乃はミアキの姉が何か関わっていた為に自分たちに何か負い目を感じてる事が違うと言いたかった。でも証拠がある訳ではない。気を使われるのはまっぴらだし先生には明らかに問題があった。だからあの日、ミアキとユウスケの問題に顔を突っ込んで正義を主張した。間違いはない。それを悪い事だというクラスメイト。そんなのはこちらからお断わり、願い下げだ。そういう事をミフユさんにも分かってもらいたかった。その事を示すために勝つ。そう心に決めていた。


 味わいデュオの平愛美と川上未来は本気で喧嘩はするけど友人同士、ちゃんとした連携プレイになっていた。


 中立の立場にあり幸い試食する立場にはいない審判団・解説担当の今野創太がそっと近付いて鈴木豪にマイクを向けた。正直、刺激的な香りからしてちょっと質問はしたくない気分なんだけど。野球部ジャージ男子は創太を見ると「なんだ、紅麗亜ちゃんじゃないんだ」と呟いたのを聞いた。あいつはお前の料理の危険性感じて近づかないってわからないのかな。

「えーと。何を作ってるの?」

「カレー。カレーは辛くないと」

「はあ。しかし胡椒とか唐辛子とか凄くない?」

「野球部はスパイシーなのが好きでこれぐらいじゃないとアスリートはダメなんだ」

 本当かよと疑いの目で見る創太。審査員は食べたがないだろうな、舌が痺れそうな気しかしないしと思っている。そんな様子に気付かない野球部チームの鈴木豪は「もっと刺激を!」とか叫んでいる。鈴木くん、闇鍋かなにかと勘違いしてないか?外山さんは止めようとして「ダメだよ!」と言ってくれてはいたけど聞く耳持ってないし。


 そんな最中、広乃が野菜オムレツを焼きに入ろうとしていたミアキと交錯した。ミアキが手にしていた溶き卵が入ったボールが流しに落ちてシンクにかなりの量が流れ出してしまった。青くなる広乃。残ったボウルを見たミアキは「玉子が少なくてもできる料理はあるから!」と笑顔で広乃に言う。

 それを見ていたミフユ。ボウルに入れてある溶き卵から三分の一程度別のボウルに移してラップすると審判団の安平響子を呼んだ。

「玉子、少し多すぎたから戻していいかな?」

 審判団の三人で教壇の方に行くと小声で協議した。結論が出たらしく安平響子がミフユの元に戻った。

「食材残してはいけないルールなのですが、他のチームの食材利用の妨害にはならないなら構わないと判断してます。だから戻すのはいいですよ。なんなら私が戻しておきましょうか?」

「助かる!ありがと」


 響子が溶き卵が入ったボウルを食材置き場に置いた。広乃はだまってミフユに頭を下げるとさっとそのボウルを手にしてキッチンデスクに戻ってミアキに渡した。

「ミフユさんの塩に見えるけど使おう」

 頷くミアキはそのボウルの中身を手元の残っていた溶き卵のボウルに入れるとかき混ぜて、フライパンを載せたコンロの火をつけた。隣では広乃も同じようにオムレツを作る用意をしていた。

 ミフユのキッチンでもコンロに火がつけられバターがたっぷり投じられた。どうやらゲームオーバー直前に完成させるつもりで3人とも作っているらしい。フライパンをゆすり、菜箸で形を整える三人。不思議とその手順はシンクロしているようにすら見えた。

 ま、それは考えすぎかもだけど、3人ともオムレツ調理資格者試験なんかあるとしたら合格するぞなんて事を思いながら今野創太は見つめていた。

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