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2018年11月4日日曜日 文化祭2日目(3)

 悠太は学校から借りてあるワイヤレスマイクを握った。教室前方窓側に置かれたアンプスピーカーから声が流れた。

「2年B組お料理コンテストにようこそ。総合司会を担当する亘理悠太です。よろしくお願いします」

 そう言って悠太がお辞儀すると教室のみんなが拍手した。こうしてお料理を作る人、それを試食してアピールする審査員たちの熱い厨房バトルが始まった。


 観客は教室後方に並べられた椅子に座った。2年B組で買い出し班、設営班など既に役割を終えた人たちは壁際、窓際に並んで見学していた。

廊下側の窓や引き戸は外されており、そこからも見ている人たちがいて総勢40名ぐらいの観客がいた。みんなの注目が教壇に集まっていた。


 悠太は話を続けていた。

「このお料理コンテストはちょっと趣向を工夫してあります。まずお料理チームは自分で食材など買ってくるのではなく、こちらに用意された食材を選んで作ってもらいます。いりことか鰹節、昆布は用意してません。インスタントのダシはいくつか揃えてあります。簡単に作れる美味しいものをお願いします。ご飯はこちらで炊かせてもらいました。パンとご飯は試食はしてもらっていいです。なんで、こんなルールにしたかって?それはね、朝食想定だからです。朝食のつもりで作って下さいね!」


 悠太は企画会議での打ち合わせを思い出していた。

「日常に役立つ内容にしたらどうか」

これは安平響子の淡々とした提案だった。

「調理時間も限られる。朝食ならいいアイデアがあればおうちで活用できる」

「響子にしてはまともなアイデアだね。まあ、いいんじゃない」

審査員で参加する事になるクラスの主流派リーダーである佐藤陽菜が頷いた。犬猿の仲とみられていた安平響子の案を受け入れるとは天変地異だ。

そんな陽菜の親友の山上紅麗亜も「確かにね」と賛成するという中々想像できない中で悠太は「じゃ、決定だね」と決めたのだった。


 続いて司会進行で審判団も兼ねる三人が紹介された。放送委員会アナウンサーでもある山上紅麗亜がマイクを持つとルールをさらりと説明した。

「食器や調理器具は各机に用意してます。食材はここに用意させてもらいました。事前にくじ引きで取りに行く順番は決めてもらっています。ホワイトボードの上から順番に取りに行ってもらいます。あ、特定の食材を取り尽くす事は禁止です。使う分だけ持って行って下さい。各チームが取った後の補充は自由ですが、取っていった食材で未使用のものがある場合は最悪失格を取るので覚悟して。調理の持ち時間は30分。今回のテーマは卵を使った朝食!」


 審査員は峯岸瑞希、佐藤陽菜、高山リン、松本黒羽、井上マユの5名が選ばれていた。瑞希と陽菜は当初他の案を出していて文化祭の出し物に熱心だった。乗りかかった船だし、興味もあるからという感じで手を挙げた。

 高山リンは文化祭実行委員長をやっていて欲張りな野郎でこの企画は面白そうといの一番手を挙げていて、そんな彼の体調を危惧する友人を持つ今野創太はやっぱりなーという感じで様子を見ていた。

 そして松本黒羽は陸上部で色白のスプリンター。女子としては背が高い方でさっぱりした短髪という事もあって目立つ存在だ。今回陸上部は文化祭では何も予定がなくクラスの料理コンテストで美味しいもの食べられるなら面白いかもと手を挙げた。

「さて、他の分担も決まったし審査員5人目最後の1人はどうしよう」

委員長の亘理悠太がそう言った際、セミロングの黒髪の女子が立ち上がって叫んだ。

「あ、私、文化祭1日目の買い出し班は無理だった!どうしよう」

悠太の眼が光る。

「じゃあ、井上さんにお願いしようか。ちょうどいいよね?」

さすがは不運のマユだなと思いながら悠太は告げた。

するとマユは「分かった。やるから」と言ってきた。経緯のわりにはすんなり受けてくれてちょっと不思議に思う悠太。

 井上マユはどういう星のもとで生まれたか知らないがある場所以外では結構な確率で不運に見舞われていた。そして今回は「みんなで買い物楽しそう」と志願した買い出し班だと軽音部の舞台で歌う予定とかち合う事を思い出したため、審査員という文化祭2日目に拘束されるお仕事と交代する事になったのだった。


 審査員を代表して峯岸瑞希がマイクを握って説明した。

「お料理チームが作った料理を試食を担当する私たち審査員が食べ、私達が皆さんにどのチームの料理がいいのかアピール、そのアピールに対して投票をしてもらう形式で行います。観客の皆さんは直接食べられません。そのかわりに私達審査員が試食して一押しの料理について熱くアピールします。そして審査員に対して挙手投票してもらい優勝チームを決めます。作り手の力量だけでなく私達審査員の舌とアピール能力も問われるのです。そして最後に決めるのは皆さんです」


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