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ビリヤード部を作ろう! 顧問は憧れのお姉様!?:2

「高撞連は知っている? この12年で日本のビリヤードを取り巻く環境は劇的に変化した……遊びやギャンブルじゃない、競技ビリヤードが主流となり、日本高校撞球連盟:JHPBAが設立され、来年にはビリヤードの甲子園ともいえる、全国高校生ビリヤード大会が開催される予定にまでになった……私はね、この学校を日本一にするために顧問として雇われたの、元JPBAのプロとしてね」


 葉山プロが寂し気な口調で、部を潰した理由を語り始めます。


「先生が、プロ・ビリヤード・プレーヤー……だからあんなに巧かったんですね?」

「そう……でも実際に赴任して、ビリヤード部の姿を見て失望したわ……アナタたちの先輩は、このプレハブ小屋を根城に、飲酒や喫煙、賭け事を繰り返していたの……」

「そ、そんな……」


 葉山プロは眉を顰め、歯を食いしばりました。


「競技に向き合う気持ちなんか微塵も持たず、球を撞くどころか、まともにキューすら握らず、テーブルを雑然と散らかして怠惰の限りを尽くす……私は悟ったのよ、いくら高校にビリヤード部を作っても、そこは不良の巣窟にしかならない……全国大会なんて、開催するだけ無駄だってね」

「だから部を潰したんですか……」


私はその理由に、納得してしまいます……ビリヤードはスポーツ、決して遊びや賭け事ではないのですから。


「分かったら諦めなさい、この高校にビリヤード部なんて必要ないわ」

「待って…待って下さい! 私は真剣です! 真剣にビリヤードを……球を撞きたいと思っているんです!」


 私は食い下がりました、だって、この学校にはかつてビリヤード部があり、ビリヤード・テーブルがあって、私は真剣に、ビリヤードに青春を捧げたいと思ったのですから。

 幾ら先輩が悪いからと言って、そのきっかけをくれた先生が私を否定する……そんな悲しい事があってよいのでしょうか?


「おー、なんだー……やっぱあるじゃん、ビリヤード部!」


先生の言葉に歯を食いしばって耐える私の背中から、能天気と言えるほどの明るい声が響きます。

振り返ると、そこには亜麻色の髪をポニーテールに結んだ、長身の女の子が輝く白い歯を見せて微笑んでいました。


「あなたは、同じクラスの……」

「私は対馬つしま 優雅ゆうが! 小川ちゃんも嗅ぎつけたんだね……ビリヤード部、私も参加するよ!」


 対馬さんはそう言って、ニカッと笑います。


「先生……試合に勝つだけ、全国に行くだけがビリヤードの価値なんですか? 仲間と一緒に切磋琢磨して、一緒に成長していくのも、健全な高校生が歩むべき道だと思うのですが?」

「あなたは?」

「2組の森田もりた 花音かのんです。対馬さんとは同じ中学のビリヤード部でした」


対馬さんの後ろから、特徴的な大きな丸眼鏡を掛けたおかっぱ頭の女の子が歩み出ます。


「先生……調べましたが、ビリヤード部は廃部じゃなくて休部中……新入部員が4人になれば再開できるんですよね? 3組の大西おおにし 麻耶まやです、ビリヤード部への参加を希望します」


最後に現れたのは、Eカップの美少女です。

彼女もまた、スポーツ・ビリヤードをこよなく愛する、撞球美少女でした。


「みなさん……」


突然の仲間の登場に、涙腺が緩みます。


「初めまして、小川さん……私たち全員、葉山プロに憧れてここに入学したんだ」

「高校ビリヤードの全国を獲る……これは大きな夢です」

「つまり私たちは仲間……一緒に頑張ろう!」

「はい……はい!」


 孤独から一変、3人もの仲間が集まって……私は感極まり、3人を抱きかかえて涙を流しました。


「どうですか? 葉山先生……アナタが味わった失望を、私たちを指導して払拭してみませんか? 私たちは全員スポーツ・ビリヤードしかしません……部の再開……認めて頂けないでしょうか?」


森田さんが葉山先生に真剣な眼差しで進言します。

葉山先生はそれを受け、静かな口調で……。


「分かりました、部活を再開しましょう……ただし条件があります……小川さん!」

「は、はい……!」

「1か月後に、私の目の前でボーラードゲームを行い、40点以上を出しなさい。それが出来たら部を復活……顧問になってあげます」


葉山先生の目は真剣でした。

夢の高校生活……憧れの部活動……私には、やること以外に残された道はなかったのです。


快諾したものの、他の3人には分かっていました、ビリヤードを始めて1ヶ月足らずの私が、そのスコアをマークする難しさを……。


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