表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/45

タマちゃん、球の重力に囚われる!:5

「ビリヤード……入門……初心者っと」


その日の夜から、私はインターネットの虫になりました。

 何せ未知の領域です、上手くなると決めても、何をどうすれば良いか分かりません。

 ネット上には実に様々な情報が載っており……混乱しそうになりながら、私は基本的な用語から学んでいく事にしました。


「なるほど……白い球が手球、色の付いた球が的球で、球は打つんじゃなくって、撞くって言うんだ……」

「レスト? キューを支える左手か……これも二種類あるのね……どっちが良いのかな?」

「構え方は……ふむふむ……」


 最近は便利になりました…お父さんのパソコンで、基本的な情報が全部手に入ります。


「明日、またロサに行ってみよう……」


布団を被った私の口元は、綻んでいました。

 私にとって、それほど楽しかったのです、ビリヤード初体験は!


「また来ちゃった……」

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

「は、はい! お一人様……です!」


緊張する私に、店員さんは優しく台を勧めてくれます。

キューを借り、台に向かった私は……。


「まずは、センター・ショットだ……」


台の中心に的球を置き、手球をフットライン、コーナーのド正面に配置します。

そして、的球の真正面に向けて構え……撞く!


「あ、あれ!?」


まっすぐに球を置き、まっすぐに構えて、真っ直ぐ撞いたはずなのに……的球は台の短クッションの真ん 中に向けて飛んで行きました……ドそっぽです。


「おかしいなー……もう一回!」


 的球の真ん中に目掛け、もう一度撞きます。

 でも結果は同じドそっぽ……。


「もー、なんで!? 何で入らないの!」


 一時間以上、ネットの情報通りにしている筈なのに、何度も何度も同じ真っ直ぐを外す……一球もポケットに入らない!

 私の苛立ちが頂点に達した時……。


パチパチパチ……。


柔らかい拍手の音が、私の背中に降り注ぎました。


ハッとなり振り返ると、そこには温和な微笑みを浮かべた、綺麗なお姉さんがいました。


「真っ直ぐが入らないでしょー?」


彼女の問いかけに、私はアホの様に無言で頷きます。


「一生懸命練習しているのは分かるけど、キミには見えてないんだよ……真っ直ぐが♡」


そう言って微笑むお姉さん。

私はその瞳のカリスマ性の虜になります。


「あの……お姉さんは?」

「私? 私は渡会明日香わたらいあすか……JPBAの女子プロです」

「え……プロのビリヤード・プレーヤー?」

「そう……貴方の真っすぐ、私が一緒に探してあげようか?」


運命の出会いと云うのは、立て続けに起こるものです。

渡会明日香プロ……後に私のカリスマとなる彼女との出会いは、私の青春を大きく揺さぶる事になるのでした。


「で、君はビリヤードが上手くなりたいのかな?」

「はい! 誰にも負けないくらい、ビリヤードが上手くなりたいです!」


私の叫びに、渡会プロはにっこりと微笑みました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ