サマーバケーション、アルバイト大作戦! 5
私たちは土日を含む週3日でアルバイトに入りました。
週5日で入ることも考えましたが、それだと遊ぶ時間がなくなってしまうからです。
遊ぶためのお小遣い稼ぎなのにバイトで忙しくなっては本末転倒。
部活も宿題もあるし、とにかく女子高生には時間が足りないのです。
「小川さん、5番テーブルでチャレンジマッチお願いします」
「はーい、喜んで!」
チャレンジマッチにもすっかり慣れました。
勝率は5割もない感じでしたが、接客サービスにはちょうど良いと、メイド長は言っていました。
「お客様、お名前は?」
「神田です」
「では神田様、バンキングからお願いします」
「お手柔らかにたのむよ」
「はい!」
チャレンジマッチの指名率はなんと私がトップでした。
2位が摩耶ちゃん、3位が花音ちゃん、そして真打ちの紗絵美さんと優雅ちゃんが続きます。
単純な人気だと嬉しいんですが、私が最も勝つチャンスが大きい=チェキを取りやすいからだと言うことなので、複雑な心境です。
大抵は優雅ちゃんや沙絵美さんにチャレンジして、ボコボコにされてから悔し紛れに私を指名するというパターンがほとんど。
しかし私も負けるために試合をするつもりはありません。
かませ犬みたいな立場ですが、全力で球を撞いて歩合給を稼ぐのでした。
「9番、いただきます!」
バケットゴムの快音が響くと、9番左サイドコーナーに沈みます。
歩合給ゲットです!
「タマちゃん、最近調子良いですわね」
「本当、初日の動揺が嘘みたいだな」
「あーあ、私なんか指名すらないからなー……」
「中堅の辛いところですね」
「あーあ、私もバンバン指名取って歩合給ガンガン稼ぎたい!」
「大西さーん、2番テーブルチャレンジマッチお願いしまーす」
「お、言ってるそばから指名きた! 稼ぐぞ~!」
摩耶ちゃんが張り切ってテーブルに向かいます。
「あの、聞いて良いですか?」
私はメイド長に話しかけました。
「これって、賭け球ですよね?」
「うーん、そうとも言えないことはないわね。でも例えば、普通のトーナメントでもエントリーフィーは払うでしょ? そして勝ったら賞品をいただく……それと同じじゃないかしら。ま、ハンデなしの1セットマッチと言うのは、お互いにヒリヒリするでしょうけどね」
「そんなもんかなー」
納得いくような、いかないような、曖昧模糊とした気分になる私。
「取ったー! 歩合給ゲット!」
摩耶ちゃんの叫び声が店内に響きます。
「大西さん、もっとお客様の立場に立って、露骨に喜ぶのはやめなさい!」
メイド長の叱咤の声。
摩耶ちゃんはしゅんとなって、お客様に頭を下げます。
お客様はにっこり笑って、許してくれました。
そしてお客様は……私を指名したのです。
「お客様に失礼のないように、全力で相手してきなさい」
「はい!」
メイド長の言葉に真剣に頷くと、私はお客様の待つテーブルに向かったのでした。




