サマーバケーション、アルバイト大作戦! 1
一学期の期末試験を終え、久々に解放された部室で、私たちは夏休みの計画を立てていました。
優勝こそ出来なかったものの、いろいろな店のビギナー・トーナメントに出て刺激を受けた私の腕前はビギナーを返上し、C級の底辺と言えるほどに上達しています。
かくしてC級プレーヤー、ハンデ3をいただく事になった私とビリヤード部員は、海水浴やバーベキュー、夏祭りや花火大会など、夏の遊びであれこれと盛り上がっていました。
だがしかし、ビリヤード部員たちに立ちはだかる大きな壁があります。
それは、お小遣い。
「先立つものがないね……どれか一つに絞ろうか」
「でも、どれ一つとして捨てられないよ……」
「カネは天下の回りものと言うけど、何周回っても私たちの番は来ないわね」
頭を抱える私たちの背後に伊庭さんの声が響きます。
「じゃあ、働いてみますこと? 私のホームで、臨時のバイトを探していますが」
バイト先はもちろんビリヤード場。
伊庭さんの一言で、5人の夏バイトが始まるのでした。
ビリヤード場でのバイト……最初はウェイトレスのような仕事を想像していましたが、メインの仕事は一人で来たお客様のビリヤード相手をする合撞き要員でした、しかもお客様がいないときには練習し放題。ここまで出来て時給1000円+歩合給という破格の仕事です。
高校生には破格の条件でしたが、気になることが二つ。
まず、制服がゴスロリメイド。
しかもコスプレ衣装屋にあるような安っぽいものではなく、きちんと採寸した本格的なオーダーメードです。
私は確信しました。
「そうか、ここが黒薔薇会の本拠地か……」
そして気になることの二つ目。
そのビリヤード場は、ポケット6台という小さな店ながら、独特のイベントで人気を博していました。
そのイベントとは……メイドさんチャレンジマッチ!
お客さんは店員のメイドさんから一人を指名して、エントリーフィ1000円を払って1先で試合をします。
そしてお客様が勝ったら2ショットのチェキを撮ることが出来る……というもの。
ちなみに試合に勝てれば、エントリーフィーの50%=500円を歩合給としていただけます。
普段は黒薔薇会のメンバーで回しているこの店ですが、夏休み中は公式戦や何やで欠勤するメンバーが増えるため、紗絵美さんが私たちに白羽の矢を立てたのでした。
「いかがでして?」
「そうですね……やります、ただチェキとは言え、知らない人に写真を持ち帰られるのには抵抗あるかなー」
「大丈夫よ、勝てば良いんだから」
「それはそうですが……」
「良いじゃん、可愛い服が着られて、思う存分ビリヤードができて、おカネまで貰えるんだから、乗らない理由がない。ね、タマ、やろうよ」
「服装と強さの関連性はありません。それを証明して見せます」
「もちろんラスボスは私だよな? ならいいぜ」
「分かりました、葉山先生には私からお願いしておきます。ようこそ私のホーム、ビリヤード999へ!」
こうして、私たちは一夏の思い出作りのためにアルバイトをすることになるのでした。




