表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/45

タマちゃん、球の重力に囚われる!:3

「うわあ……」

「結構広いね」

「それに思ったより静か……」


エレベータの扉が開き、飛び込んできたのは、無数のビリヤード台が整然と並んだ広大な空間。

空調の涼しい風がそよ吹く室内の照明は控えめで、その分台を照らす照明の明るさが、個々の空間をおしゃれに盛り上げています。


お客さんの入り具合は疎ら……騒ぎ声が聞こえる訳でもなく、むしろ静かでした。


「意外と空いてる……これなら待たずに入れるね」

「よし、突撃だ!」

「すみませーん、女子高生3人!」

「いらっしゃいませ、テーブルは何台ご利用ですか?」

「へ? あの……一台で良いです」

「畏まりました、では12番テーブルをお使いください」

「は、はい……ありがとうございます」


受付カウンターでキューを貰い12番テーブルに向かう途中……。


「台って、人数分借りられるのかな?」

「それって、一人でやるって事? ボーリングとはだいぶ違うね……」


ひそひそ声で話しながら、私たちはテーブルにつきました。


「さて諸君、ビリヤードのルールは知っているかな?」

「はい大佐! 先に9番を落とした人が勝ちです!」

「そう! ナインボール! 最初に一番少ない番号の球にさえ当てれば、何をどうやってもいい……9番ボールを一番早く落としたものが勝つ、過酷なゲームだ!」


智ちゃんたちの会話を、息を呑んで聞く私。

この数字が書いている球……9って書いてある縞々の球を落とせば勝ちなんだ……じゃあ、10~15の縞々は、何に使うんだろう?


「じゃあさっそく、やってみよう!」

「まずはこの木の枠を使って、9個のボールをダイヤモンドの形に組んで……1番が先頭、9番が真ん中……っと」


智ちゃんが手際よく仕切る中、私と由紀ちゃんはビリヤード用の長い棒(キューって言うそうです)を持って、その姿をポカーンと見守っていました。


「よっしゃ! じゃあ、誰が最初に打つか……ジャンケンしようぜ!」

「え……ジャンケン!?」

「そ、ブレイク・ショットはジャンケンで決めるの。ビリヤードは、最初に打つ人間が、一番有利に立てるんだぜ?」

「そーなんだ……」


知識のない私には、智ちゃんの講釈が絶対です。

私たちはジャンケンをして……勝ってしまいました。


「かー! 球輝の勝ちか……いいよ、ブレイク打って」

「でも私、どうすればいいか……」

「難しく考えるなよ! こう、台の真ん中に白い球を置いて、一番めがけて真直ぐ打てばいいんだって!」

「球輝ちゃん、がんば!」


智ちゃんたちの言葉に励まされ、私は長い棒を持ち、ヨロヨロと構えます。

正直、自分の身体をどう使えば上手く行くのか、さっぱり分かりません。


「い、いくよー……」


私が球を打とうとしたその時……。


ドゴォォォン!


物凄く低く、重い轟音が私の鼓膜を劈きました。

驚きに振り返ると、そこには……。


まさにブレイク・ショットを終えた彼女が、そこに佇んでいたのです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ