遅れて来た少女! 漆黒の女王見参!! 3
かくして始まった、ジャパンナイン・ビリヤード。
「まずは私のブレイクからだな……行くぜ!」
麻耶ちゃんのキューを掴む手に力が入ります。
「レディ……ブレイク!」
「ち、ノーインかよ……花音、頼んだ」
麻耶ちゃんのブレイクは強烈でしたが、球は一個もポケットしませんでした。
この状態から、権利は花音ちゃんに移ります。
「分かりました……本気で行かせていただきます」
花音ちゃんがキューを構えると、がら空きの1番に向け、狙いを定めます。
1番はコーナーにポケット、続く2番に完璧な出しを取ります。
2番ボールを花音ちゃんが難なくコーナーにゲット。
点球の3番に向かいます。
花音ちゃんの出しは完璧で、3番はコーナーに真っ直ぐになります。
そして問題なく3番を沈め、1点×4を獲得。
次の四番に向かいますが、薄目に外して終了します。
そして、3番手……伊庭さんの出番です。
伊庭さんは残った配置を一瞥すると、台を一周回ってから、4番ボールに狙いを定めます。
この球……サイドに沈めるには極薄のカットしかありません。
伊庭さんは全神経を的球に集中させ、極薄のカットに入ります。
撞かれた手球が勢いよく走り、チッという微音と共に的球をカットして、サイドに沈めます。
次は点球の5番……伊庭さんは台の局面を冷静に把握し、サイドにこれを取り、2点×4、8点を獲得します。
次いで、6番は無謀なショットで当てるのに精一杯……撞き順が変わります。
球を受け継いだ優雅ちゃん、彼女は6番を難なくポケット、点球の7番をコーナーに沈め、さらに8番の取りも完璧に決めます。
そして最終、9番をコーナーに冷静に沈める優雅ちゃん。
手球をキッチンに収め、3点×4=12点を獲得します。
私は……私に出番は、全くありませんでした。
第一フレームを終え、結果は勝ち点ゼロの私と麻耶ちゃんが-6点、花音ちゃんが4点獲得5点支払で-1点、伊庭さんは8点獲得4点支払で+4点、そして優雅ちゃんが12点獲得3点支払で+9点となりました。
「さすが、やるわね……」
伊庭さんの目には、もはや優雅ちゃんしか映っていない模様。
「さすがにジャパンの5撞きはきついなー」
「実力差がもろに出るものね……」
「私、一球も撞けませんでした……orz」
そう、そうなんです! 優雅ちゃんの後だとほとんど取り切られてしまい、出番が全くないまま終わってしまうんです!
これがジャパン……お金を賭けていたとしたら、私は単なるATMと化してまうのは必至……恐ろしい世界もあったものです。
生涯もう二度とジャパンはするまい……そう心に誓う私なのでした。
だがしかし、残酷なプレーは続いてきます。
私も頑張りましたが、点球になると緊張してしまい、外すことが多々あり、私の点数は、もはや参考程度にしかならない領域に達していました、点球ゼロです、莫大なるマイナススコアですってば!
思えば、球を取りに行く9ボールはこれが初めて……だからと言って諦める訳にも行かず、自分の入れの低さに辟易しながら、せめて一点、一矢報いたいと、必死にキューを振るのでした。




