振り、厚み、スロウ……ボーラード大特訓!:6
大幅に書き直し、尺も伸びました。
タマちゃんの10フレームは、まだまだ続きます。
第1フレームは困難を極めました。
ブレイクを決めた手球は斜め後方に飛び、サイドポケットの角に弾かれて辛うじてテーブル上の中央付近に残ります。
「球成り、球成り……」
呪文を唱える様に、テーブル上の球を見渡す私。
狙える球は、二個ありました。
7番はテーブル中央から左のコーナーにほぼ真直ぐの配置にあります。
そしてもう一個、5番は少し薄めの右サイドの真正面です。
どっち? どっちを先に落とせば良い?
私の疑問に答えをくれたのは、渡会プロの言葉でした。
『目先の安易さに惑わされないで、3個先の取り口まで見極めるんだよ?』
7番は厚過ぎて、入れた後の手球の動きが直線的になり過ぎます。
押しにしても引きにしても、次の球が撞き辛くなるのは必至。
対して5番サイドなら、球が容易に走る上、サイドの中央に対し0度の角度なので、それほど難易度は高くありません。
私は5番に狙いを定め、サイドに沈める選択をしました。
まだまだ台の上には10個の球があります。
特にトラブルのない配置で、球成りに転がせば次の選択肢が生まれるでしょう。
「球成り、球成り……」
ここまで来たら、迷わないことです。
5番を私はサイドに入れる厚みに集中して、手球のど真ん中を撞きました。
手球は5番をサイドに押し込み、さらに転がって……4番と8番を沈められる位置に停止しました。
「次!」
次も二択です。
今度の状況は逆……4番を厚めのストップで取れば、次の一球、3番に繋がります。
私は4番を選び、精神を集中させます。
4番を沈めた手球は少しだけ動いて、3番に対して右コーナー真正面の位置に止まりました。
「次……次は!」
私は迷いました。
3番意外に容易に落とせる球はありません。
無理して薄めの球に挑戦するか、詰まるのを承知で手堅く3番を落とすか。
『こういう時はね……』
渡会プロの言葉が甦ります。
『1フレーム二投しかないんじゃない、二投もあるって考えるんだよ?』
「分かりました……」
私はプロに教わった通り、ど真っ直ぐの3番をストップショットで沈めます。
それにより、台上の配置から考えて素直に入れられる球が無くなりました。
『もしも、1投目で入れられる球が無くなったら……』
私は比較的厚めの6番を選んで、それを穴前に運びます。
1フレームの1投目はこれで終了。
2投目で穴前に運んだ6番を沈め、5個目となる球は穴に選ぶことが出来ず、薄目になった7番を飛ばして終了しました。
第一フレーム終了……得点:4点。
「ロサより球が転がらない……ラシャが重いんだ」
暫く使われていなかった所為で、ラシャの張りが緩み、埃の蓄積もあって、思う様に球が転がりませんでした。
今後、ロサで渡会プロから教わったような球を撞くためには、より強い力で撞かないと……。
私は物凄い集中力で、環境情報を書き換えようとします。
でもそれは無駄だと、すぐに結論付けられました。
『たった10フレームで、ラシャの目を読むのは不可能だよ、球を転がせないなら、転がさなくても良い配置を狙いな……』
「こうなったら意地でも、2投で4個を続けるしかない!」
私はラックを組み直し、第2フレーム目に挑みました。




