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ビリヤード部を作ろう! 顧問は憧れのお姉様!?:5

「まずは、ヘッド・スポット……丸いシールが貼ってあるでしょ? ここにラックの先頭を合わせて、球を置く……やってみて」


渡会プロの指示通り、私は3角形の機の枠を、丸いシールのある位置に先頭を合わせ、ラシャに置きます。


「はい……こうですか?」

「オッケー、そしたらラックを動かさないように、残りの9個をラックに入れて……しっかり押さえて先頭へ詰める……」


股も言われた通り、10個の球をラックの中に入れ、前へ詰めます。

ラックを外すと……

「あ、先頭の球が転がっちゃった……」

「そう言う時はラックで球を追いかけて、もう一度詰めてあげて」


言われるまま、先頭の位置を何度か繰り返して組み直しました。


「安定した……かな?」

「どれどれー……うん、OK! 最初にしては良く締まったラックが出来てるよ」


渡会プロが微笑みます。


「じゃあ、フットスポットからブレイクして……の前に、手球の撞点は?」

「真ん中より少し下……ストップショットの位置だと思います」

「さすがはボクの教え子、分かってるねー……じゃ、撞いてみて?」


ガキィィン!


思いの外響く音がして、私が初めて組んだラックの球はテーブルの四方に散っていきました。


「さあ、この配置……タマちゃんならどこから狙う?」


手球はほぼ台の中央……穴前付近に残った球も数個あります。

私は真っ直ぐしか知りません。真っ直ぐしか入れた事がありません。


「分かりません……穴の近くにあるか、真っ直ぐに近い配置にある球から……かな?」

「ま、キミはセンターショットの練習しかしたことないから、そうなるよね?」


渡会プロが笑います。


「ダメ……何ですか?」

「ダメじゃないけど……ボーラードで40点取ろうと思ったら、一投で2個、2投で2個、1フレームで最低4個は落とさなければならない……そうだよね?」

「はい……」

「だったら、穴前の球をまず落として、その次に簡単な配置になる様に、手球を誘導する……出しも覚えなきゃね?」


いきなり難易度の高い事を言われました!


「そんな、無理です……私、真っ直ぐしか撞いた事ないのに!」

「大丈夫! ボクたちに出来る事は、手球を的球の狙った位置に真っ直ぐ撞き込む事だけなんだから……それだけの事で、全ての事象をコントロールする……それがビリヤードなんだよ?」


渡会プロの微笑みに悪戯な空気が混じって来ます。


「ボクはキミの真っすぐを見て来たけど、本当に正確な真っ直ぐだった……見て」


そう言って席を立ち、プロは球を2個持ってコーナーに向かいます。

そして、球をコーナーポケットにあてがいます。

その球は、コーナーの幅にカッチリと嵌りました。


「ほら、ポケットには球2個分の幅があるんだ……センター・スポットからの真っすぐには、この幅を十分に仕えるから、多少ズレてもポケット出来ちゃうの。でもキミの球は違う……正真正銘の厚み100%……本当の真っ直ぐが撞けているんだ……それはとてもすごい事なんだよ?」

「でも、曲がってる球は入れた事がありません……」


私の不安を払拭する様に、渡会プロが続けます。


「一緒一緒! これから1ヶ月で、一通りの厚みが見えるようにしてあげる! ビリヤード部を復活させるんでしょ? ボクを信じて……ね?」

「……はい」


流石に今回ばかりは、渡会プロの言葉に安堵を覚えることは出来ませんでした。

しかし私はやるしかないのです。

この方法しか、夢を実現させる手段はないのだから……。


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