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S.A.K.U.R.A.~蒼の魂~  作者: 猫人間
【第壱章】七人の侍
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その捌―信じる心―

 ――それはまだ恭徳が仲間に入る以前のこと、龍雲院にいた龍二に会った一同は、鴛鴦からの伝言を伝え、一緒に戦って欲しい事を告げた。


 それを聞いた龍二は静かにこう答える。


「確かに今の世は激動の渦の中にいる。悪がのさばる世の中であっていいはずはない。そこは利害が一致している。行動を共にしてもいいだろう……」


 予想外にもすんなりと受け入れた龍二に、綾人は安堵した。


「本当か! やったー! なんだ~丈さん、龍二は難関だとか言っといて全然じゃないか。じゃあよろしくな! 龍二! 今日から俺達の"仲間"だ!」


 その時、龍二が眉を吊り上げると、口端を引き上げ鼻で笑った。


「"仲間"? ふん……笑わせるな。俺は手を組むだけで、仲間になどなったつもりはない。俺がこの世で一番信用していないものは、なんだと思う? "人"だ。人は所詮、自分中心にしか考えられない。どう頑張っても、誰かの為に何かをしようとしても、結局は一番自分が大切なんだ。最後には相手を平気で裏切る。人の心などそんなものだ。 人の心ほど信用出来ないものはない。だから俺には仲間などいらない……!!」


 そう言って立ち去ろうとする龍二を健二郎が止める。


「おいおい! お前ぇ! ちょっと待てやー!」


 振り返った龍二はひと睨みする。

 その瞳の奥には何も映っていない――暗く深い闇のようなものがみえた。


「俺は誰の指図も受けない。それが気に入らなければ、この話は解消だ――」


 そんな龍二に、一同は誰も何も言えなかった――


 ***


「そうだったんですか……あの龍二さんが……確かに冷淡な所はありますが、そんな自分本位な行動をするような人ではなかったですけど」


 恭徳が信じられないというように言った。


「そうだな……でも一緒に旅をする内にあいつは変わっていった。口数は少ないが、あいつは少しずつ俺達に心を開くようになったんだ」

「あいつはこの中の誰よりも鞍馬の気持ちを理解してやれる。だからこそあいつは一人であの場に残ったんだ」


 恭徳の言葉に隊長二人が言った。


「龍二ならきっと大丈夫だ!! あいつを信じよう……!!」

「せや! せや!」

「はい! 信じましょう!」


 綾人の言葉に健二郎と英莉衣も同調する。


「僕も信じます……!! 龍二さんを……勿論……鞍馬さんのことも……!」

「おう!! よく言った! 偉いぞ!! 恭徳!!」


 恭徳の言葉に直樹が、恭徳の頭をわしゃわしゃと撫でる。

 一同が笑顔に包まれた――


 その直後――


 突然、地面が大きく傾いたと思った瞬間、ゴォーッという地響きと共に地面が激しく揺れ始めた――


「なんだ!? じっ、地震かっ!!」


 綾人達は地面に伏せて揺れに耐える。

 しばらくして揺れが落ち着き、顔を上げると、その先に見える山を見て絶句した――


 山の上では烏の大群が黒く空を覆い尽くし、至る所では山崩れが起き、幾つも桜の樹がなぎ倒され、抉れた土肌が見えていた……


「おいおい……あいつら大丈夫かよ――おいっ!! 行くぞ!!」


 有無を言わさず、綾人達は龍二と鞍馬の元へと急いだ――

いよいよ第壱章クライマックスに向けて

動き出す!!

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