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S.A.K.U.R.A.~蒼の魂~  作者: 猫人間
【第壱章】七人の侍
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その肆―退却―

 誰もが息を呑んだとき――


 ――キーン!!


 金属音と共に鞍馬の刀が止まる。


(…………!?)


「なに動けねぇ奴狙ってんだよ……てめぇ――」


「龍二!!」


 恭徳に覆いかぶさるように龍二が瞬時に己の刀で、鞍馬の刀を受け庇ったのだ。


「お前は――?」

「俺は衣笠龍二」

「衣笠――知ってるぞ。その名」


 鞍馬が振り下ろしていた刀を離すと、龍二を見据えたまま、ゆっくり右横へと足を滑らすように移動する。


「お前の噂はよく耳にする。かなり腕の立つようだな」


 そう言いながら龍二は、鞍馬を見据え同じく右横に移動する。


「お前も、風の噂でな。お前もかなりの腕だと聞くぞ」

 

 そう答える鞍馬のその瞳は、好奇心の光が宿っていた――


「いい機会だ。ここは俺とお前の一騎討ちで勝負したい。だから他の奴らには手ぇ出すな」


 龍二の言葉に鞍馬は一瞬、眉を釣り上げたが、すぐにまた戻し、頷いた。


「ああ、分かった。俺とお前どちらが上か――」

「はっきりさせようじゃないか――」


 二人の間で火花が散る――そうみえた。

 そして龍二は綾人の方を見て言った。


「隊長!! この場は俺に任せてくれませんか?」

「龍二――!?」


(いくら龍二でも、この場で一人にさせる訳には……)


 戸惑う綾人に、龍二が真っ直ぐに真剣な瞳を向けて言った。


「大丈夫です……!! 必ずこいつを説得させて連れていきますから。俺を信じて下さい……!!」


(これは、相当な覚悟だ――俺達が居たらかえって邪魔になるな……)


「龍二……っ……分かった! だが、無理はするなよ! おい!! お前ら!! ひとまず退却だ!!」


 綾人が残りの五人に向かって叫んだ。

 直樹が動けない恭徳の元へ駆け寄る。


「恭徳!! 大丈夫か!?」


 直樹が恭徳を背負って立ち上がった。


「はい……でもまだ龍二さんが……!?」

「ここは龍二に任せろ!!」

「そんな――! 嫌だ!! 龍二さん!!」


 抵抗する恭徳に構わず、直樹は走り出す。


「おっ、おい! 本当にええのか?」

「仕方ないです……この場はひとまず任せるしか――」


 英莉衣と健二郎もその後に続く。


「待って!! 龍二さんが!! 龍二さーん!!!!」


 直樹に背負われ、それでも龍二の名を叫び続ける恭徳に綾人が叱責する。


「恭徳!! 龍二を信じろ!!」


 そう言う綾人の目も少し涙目になっていた。

 本当は綾人だって龍二が心配で堪らない。

 しかし、隊長である自分がしっかりしなければならないのだ。

 恭徳に言った言葉は、自分自身に対して放った言葉でもあった――


 綾人は何度も振り返りそうになるのをグッとこらえて走った。


(必ず無事でいてくれよ!! 龍二――!!)


 綾人達は後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした――。

話によって文の長さが不規則ではございますが、何卒ご了承くださいm(_ _)m

なるべく揃えるように頑張ります!

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