その拾弍―七人の侍―
一同は武士櫻のある、決戦の地――「櫻門」へと歩みを進める。
誰もが緊張な面持ちで向かっている――と思いきや。
「臣ぃ~疲れた~ぁ~、おぶって~ぇ~」
先頭を行くのは――臣と、その隣でべったりとまるで、"こいびと"のようにくっついて歩く龍二。
「あー! もう邪魔だ……!! まとわりつくなって! 歩きづらい!!」
臣が迷惑そうに、離れろと龍二の体を押し退ける。
「とかいいつつ、一緒に歩いてくれる臣大好き~ぃ! 臣ぃ~!」
「…………うるせぇ!!」
しかし、その顔は満更でもなさそうだった――
そんな二人を遠くから見守り、半ば呆れながら後の五人が続く。
「あいつら距離近すぎやで? ほんま緊張感のない奴らやな~ぁ」
「健二郎も人のこと言えないだろ。健二郎だってあんな感じだったぞ」
英莉衣が苦笑いしながら言った。
「ちゃうわ!! 俺はあんなにべったりはしとらん!!」
あくまでも認めようとしない健二郎。
「それにしてもあの二人、不思議ですね……つい数日前まではお互い命をかけて戦ってたのに……」
恭徳が疑問を投げかける。
「刀を交えることで生まれる絆ってのもあるんだよ。にしても、仲良すぎだがな……」
苦笑しながら答える綾人。
「きっと龍二は共に戦いお互いを認め合った、心から理解し合える仲間に出会えて嬉しいんだろうな」
直樹がうんうんと頷きながら言う。
「やっぱりよく分かんないです……」
「ホンマにお前は、まだまだ子供やな~ぁ」
「じゃあ健二郎さん、分かるんですか?」
「もちろん! 俺は大人やからな!」
「ふーん……」
「なんやその顔……なめとんのかぁ~」
健二郎がまた恭徳に喧嘩を振りかけた。
「あーあー、もー、お前らは……おーい!! 龍二! 臣! なんとかしてくれ~」
助けを求める綾人。
「駄目だ……あいつらも聞いちゃいない……」
そういう直樹の目線の先には――
遠くでイチャついて(?)いる龍二と臣の姿。
「本当に大丈夫なのかなぁ~、こんなんで。あいつら自由過ぎ……」
綾人が呆れながら言った。
「まあいいんじゃねぇか。あいつらやるときにはやるし、これが俺達"三代目"なんだから。ありのままの俺達でいいじゃねぇか」
「そうだな……」
直樹の言葉に綾人は深く頷いた。
こうして"三代目侍"は誕生したのだ――
***
皆のまとめ役で、締める時は締める。お父さん的存在の朝霧綾人。
皆の見守り役で、細かい所まで気配りする。お母さん的存在の金剛直樹。
中立的立場で、周りを和ませる熊谷英莉衣。
喧嘩っぱやいが、誰よりも仲間思いの茂庭健二郎。
皆の弟的存在だが、誰よりも一生懸命な望月恭徳。
普段は冷淡だが、いざという時に頼りになる衣笠龍二。
感情を表に出さないが、裏では誰よりも努力家の鞍馬武臣。
三代目は七人でひとつ。
誰一人として欠けてはいけない。
これが、三代目なのだ。
そしていざ、決戦の時――
【第壱章】七人の侍編はここまでです(^^)
最後までお読み頂きありがとうございました!
次回はいよいよ、三代目侍が本格始動!!
是非、お楽しみに(ФωФ)




