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S.A.K.U.R.A.~蒼の魂~  作者: 猫人間
【第壱章】七人の侍
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その玖―決着の行末―

龍二対鞍馬

十日にかけて続いたその死闘の決着やいかに――!?

 綾人達は龍二と鞍馬の元へと、足を急がせる――


 桜の森に入るとそこは、以前の美しい光景とは打って変わり、揺れによって桜の花びらが地に散り積もっており、中にはなぎ倒されている樹々もあった。


「うわっ……こりゃひでぇな……」


 綾人が絶句する。


「あいつら……無事なんだろうな……」


 直樹の言葉に一同の不安が募る。


「龍二~!! 鞍馬~!!」


 一同は二人の名前を呼びながら、奥へと進んで行く。

 そして二人と別れたあの場所へ辿り着いた――


 すると遠くに、二つの人影が見えた――


「あれは……!!」

「龍二!! 鞍馬!!」


 綾人達は急いで二人の元へ駆け寄って行く。が、


「待てっ……!! まだ……勝負は……ついていない……これで……決着をつける…………!」


 龍二の一言によって綾人達の足が止まる。


 二人とも十日前の姿とは違い、無残な風貌へと変わり果てていた――


 髪は乱れ顔は痩せこけ、ろくに寝ていない目は虚ろで、目の下には墨で塗ったかのように、はっきりと隈ができていた。

 身体中、生傷を負い、息は絶え絶えで、肩で荒い息をしている。

 立っているのがやっとの状態だったが、目の奥の瞳は闘争心を燃やし続けていた――


「十日も経ってまだ勝負がついてないなんて……!?」


 二人の姿に恭徳が絶句した。


 風になびいて桜の花びらが舞い散る――


 ――ザッ!!


 それを合図に二人は最後の力を振り絞り、刀を構え突進していった。


 ***


 ――シュッ!!!!


 二人の刀が交わった。


(………………!?)


 そのあまりの速さに誰も目が追い付かない――


 一時、時が止まったかのように誰一人微動だにしなかった――が、


「うっ……!!」


 動いたのは龍二の方だった。

 脇腹を押さえ、よろめいたかと思うと勢いよく膝を地面についた。


「龍二!!」


 綾人達が慌てて、龍二の側に駆け寄ろうとした――その時。


「ぐわっ……!!」


 鞍馬が膝から崩れ落ちるようにして倒れこんだ。


 どうやら相討ちだったようだ――


「おいっ!! お前ら!! 大丈夫かっ!?」

「来るなっ!!」


 綾人達が二人の元へ近付こうとするが、鞍馬が一喝してそれを止めた。


 龍二はふらつきながらもなんとか立ち上がったが、鞍馬は蹲ったまま、肩を上下させて荒い息を吐いていた――


 鞍馬が顔を伏せたままいい放つ。


「俺の敗けだ。この俺が十日かけても倒せないなんてな。さっさと、とどめをさせ!! 殺すなら殺せ!! 俺は逃げも隠れもしない!!」


 そんな鞍馬を見て、龍二が静かに言った。


「俺達は殺すつもりはない。お前に力を貸して貰いたいんだ」


 龍二の言葉に、鞍馬がとある疑問を投げかける。


「お前程の腕があって何故、人の下につく? お前は人の下につくような奴じゃないだろ」

「俺は誰の下にもついていない。こいつらは、そんな奴らじゃない」


 その言葉に鞍馬が荒ぐ息を抑えながら、怒鳴った。


「ふん!! そう言って、どうせ最後には裏切るつもりなんだろう!! あいつのようにな! 俺がこの世で一番、信用出来ないものはなんだと思う? 人だ! 人の心など信用出来ない!! 裏切られるくらいなら俺はこの場で死を選ぶ!!」


 あくまでも否定しつづける鞍馬に対して、龍二が静かに語った。


「お前は昔の俺によく似ている……」


 その言葉に、僅かに鞍馬が反応する。


「俺も以前は人を信用していなかった。仲間など所詮、上辺だけの付き合い。どうせこの世は嘘と裏切りばかりだと思っていた」


 龍二は傷ついた身体を引きずるようにして鞍馬の元へ近づいて行く。


「でもな。俺はこいつらと出会い、変わったんだ――」

龍二が語るものとは?

果たして、鞍馬の心は動くのか!?

そして、七人は"真の仲間"になれるのか?

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