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「いや……だから、高い物を買えば長持ちするだろ?」
すでに何時間ともいう口論をしていた。
彼は一歩も退くことなく、給水を挟みながらのイビツな会話をしている光景は、親子ゲンカなのだろうとは皆、思うが、ワガママが過ぎた彼を叱っていると言われるとそうにしかみえない。
そこに、小さなペンチが飛んできた。
「いっってぇ………」
頭にそれがあたり、小石をぶつけられたみたいに痛かった。
「ユカばあちゃんに迷惑かけないでよねっ!」
そこにいる気の強そうな、短く髪を切った顔の丸い女が投げたのだ。