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支援と資格

「やあコウジ。昨日ぶりだね。……顔色があまりよくないようだ。どうした、何か心配事でも?」

「なんでもありませんよ」別に大したことではない。

授業料なんかを払ってくれるということは理解した。でもそれだけじゃ、アリスの為にならない。

「それじゃあ、支援の内容について煮詰めていこう」


〈所属、この項目を変更しますか?〉


「コウジ君、君も学校にはまともに通えてないね?中学から仕事ばかりしているね」

「シュージさんはどこまで知ってんですか」


「とびっきりの才能持った奴がいるなあと思ってね。結構調べたんだ。ごめんよ」

「僕みたいな貧困層を助けるなんて変だとは思っていましたけど、本当に変わってますよ」


うーんと思案するような唸りが聞こえる。

「現実的に言わせてもらうと、俺は君のお父さんの仕事仲間みたいなもんだったんだよね」

「父さんの仕事仲間⁈」


父さんはネットワークサービスに関係する仕事だった。それは知っている。父さんを知る人間だと知るとなぜかうれしい。でも知っているということはつまり……。


「じゃあなおさら……なぜ僕とアリスを助けるなんて言うのですか?父さん母さんが死んだと知っても誰も僕らを助けやしなかったのに!」



「……それだけは本当にすまなかったと思っている」

マイクをいじるような雑音が入り、画像の手が顔に手を当てている。


まて、僕は助けてくれるという人になんてことを。



「ごめんなさい。僕にシュージさんを責める資格なんてないですね。僕は無力で誰も守れなかったのに」

言い終わったとたん、声が明瞭に鳴った。


「君には君の気持ちを叫ぶ資格がある」


資格がある、だなんて言われたのは人生で初めてだった。

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