始まりの始まり
勇者回
「よし、これで終わりだな」
列くんはそう言って剣を鞘に戻す。
そう。
たった今、エルフを攫う集団の壊滅宣言をダスさんが下したんだ。
それどころか数人の傭兵を捕虜に出来たくらい。
正直ダスさん達も集団と言う意味ではエゲツナイと思う。
「それで攫われた人達の居場所は分かったんですか?」
私はダスさんに聞いてみた。
「ええ。 ゆっくりと優しくお話をしたら直ぐに喋って頂きましたよ。」
「なんか言葉と意味が全然違う様に聞こえたのは俺だけか……?」
大丈夫だよ列くん、私も別の言葉に聞こえたから……。
「でだ、連れ去られた場所ってどこだよ?」
「はい。 この森を出て最初に行き着く街、と言いますか国ですね。 そこに今はまだ囚われているとの事を話してくれましたよ。」
「その国?の名前はなんて言うんですか?」
「はい。 名は奴隷国家グルール。 貴族と奴隷の権力が反転する国ですね。」
奴隷……。
やっぱり居るんだ……。
そんな事を私は思っていたんだけど列くんが話を進めちゃう。
「それで? 場所が分かったんだ。 あんたらだけで行くのか? まあ、数人は既に売られたりしてんだろうけど。」
「そうでしょうね。 我らはグルールに宣戦布告も辞さない覚悟をしていますよ。 原因が一商人のせいだとしてもね。 自国で自由にさせてた国に非があると思います。」
「そう……ですね……。」
戦争かぁ。
嫌な響だ。
私達が居た場所が争いから遠すぎただけなの知れないけどね。
「エイン様、列様。 我らが同族の事に力をお貸し頂き有難かったです。 ここからは我らの戦い。 例え不利な状況でも我らは宣戦布告を行なうでしょう。 その前にどうかこの国を出て自由を謳歌してください。」
「……?」
ダスさんは何を言っているのだろう?
国を出ろ?
少しの間だけ頭が回らなかった。
その言葉を理解しようとしたくなかった。
そこに列くんが教えてくれた。
「要は戦争に巻き込みたくないから他国に行ってくれって言ってくれてるんだよ。 仲間の場所も大体絞れたし自分達だけでも探し出せるんだろうよ。」
「そんな……。 でも宣戦布告って……。」
「向こうさんに落ち度があるんだ。 ある程度の譲歩や商人なら本人の引き渡しに国事態が動く可能性もある。 宣戦布告ってのは悪い手じゃない。 最悪で戦うってだけだ。」
列くんはそこで話を区切った
「さて、ここからだ。 お前はどうする?」
私?
そうか、ここからは私の意思で動かなきゃ駄目なんだ。
ダスさんやエルフの皆さんに助けて貰いながら来んだ。
だから私は。
「今までの恩を返さないまま知らないフリは嫌だ。 戦いたくはないよ。 何が出来るのかも知らない。 けど、せめて見届けるよ。 私達が居る事で助かる命もあるかも知れない。」
「よし、決まりだな。」
「よいのですか? 意思とは関係無しに巻き込まれるかも知れません。」
もう知らない。
「私は自分を知らない。 けれど、人を見捨てる人間にはなりたくありません。」
そう言ってグルールへ向かう事にしたのだった。
次でやっと合流と言うか邂逅と言うか
主人公側は巻き込まれるだけです。
けど、主人公が巻き込まれるだけの展開ってあんまり見ない気がします
何かしらに関わってるのが多いかと




