精霊
「エイン様、列様。 ここが『精霊の泉』と言われる場所でございます。」
ダスさんが暴走して元に戻ってから連れて来られたのがここだった。
ダスさん曰く「精霊の集う場所」で綺麗な場所だった。
「今日中に精霊様と契約をしていただきます。 お二人はこの場所から何かを感じ取れますか?」
「いや、俺にはなんにもだ。 強いて言えば熱くも冷たくも感じるか……?」
「私はなんだか涼しい風が体から離れない感覚がします。」
私達二人がそう言うとダスさんは驚いた顔をしてこう言った。
「お二人は精霊様の力を感じ取っているのですね。 まずは感覚を慣れさせる所から始めようと思っていましたが誤算でした。」
「そんなに凄い事か?」
「ええ、我々エルフでも最初は精霊様を感じる事すら出来ません。」
そうなんだ。
でもここからなんだよね……。
気が重いな……。
こうしてられない、契約しちゃおう!!
そう思って私はダスさんに話を振る。
「それでどうすれば契約する事が出来るんですか?」
「精霊様によって異なりますが、エイン様が感じているのはおそらく風の精霊様でしょう。 風の精霊様はお話しや噂話が好きですね。 対価として面白い話や話し相手を求めます。」
「対価か。 なら俺のはどうなんだ?」
「列様はおそらく火の精霊様でしょう。 火の精霊様は火その物を対価に求める事が多いです。 ただ例外もあるのですが……。」
ダスさんがそこまで言って次の言葉を言おうとした時だった。
私が感じていた風が熱風に感じる程に周りの熱さが変わった。
これは……怖い……。
そんな感情を抱いていると次に今度は冷気で周りが寒くなる。
それを感じたダスさんは驚いた顔をしている。
そして声が聞こえた。
『面白い奴が居るじゃねえかよ。 おい坊主、俺と遊んでみませんか?』
男性のようで女性みたいな変な声。
二つの声が混じった様な声が列くんに話しかける。
「あんたは何者だよ。」
『おっと、いけませんわ。 私とした事が名前をまだ言ってなかったな。 俺達は熱を司る精霊サラマンダーです。』
「熱? 火じゃなくてか? 生憎だが俺は火の適正しかねえぞ?」
『あん? んー? 何言ってんだ貴方は。 貴方の適正は『熱』に決まっているでしょう?』
列くんは取り敢えず相手の事を聞いたのには驚いたけどそれ以上に……。
適正が熱?
一体どういう事だろう。
私はダスさんに顔を向けて見るけどダスさんも全く知らないと言った顔をしていた。
そんな事をしているとサラマンダーが続けて話始めた。
『今はそんな事はどうでも良いのよ。 どう? 私達の遊びに付いて来れるのなら契約をしてやるぞ?』
熱の精霊サラマンダーはそう言ってのけた。




