語り部と誰?
少し考える様に顎に手を当てて視線を空中に漂わせるアウレウス。
言葉が思いついたと同時にこちらへと視線を戻した。
「そうだね……。 まずはこちらから少し質問だ。 君はこの世界の事をどれだけ知っている?」
「アルファとカキネ村の事を少しだけしか分かってない」
「そうか、君はまだそれだけしか分かってないのか。」
ペパの少しの説明だけで納得するアウレウス。
そんなアウレウスを見てペパは催促してみる事にした。
「そうやって自分だけで納得するなよ。 俺自身の事を教えてくれるんだろ? 早く次の言葉を切り出してくれよ。」
「焦らない。 取り敢えず君が選ばれた理由だけ言っておけば後は安全かな?」
そう言ってはまた少しの間、考える素振りを見せるアウレウス。
話が進まない……。
「ペパくん、君はこの世界の事をもっと知って見て視野をもっと広げるんだ。 それじゃ本題に入ろう。」
アウレウスは一区切りして話し始めた。
「まず一つ、都合が良かった。 条件に合うって言った方が良いかな? 死んだから呼びやすかったんだろうね。 二つ、一つ目と少し被ってしまうんだけど可能性が高いからだよ。 三つ、君じゃなくても良かったんだ。 今はこれだけで充分だと思うかな。」
「それだけ? 意味が読めないんだが……。」
これだけだと何を伝えたいのかが読めない。
支離滅裂も良い所だ。
「そりゃあね。 今の君じゃ意味なんて分からないのも当然さ。 だからこの世界に来た時の君に戻らないとね?」
「……それはどう言う……。」
どう言う事だ?と問い掛けた所でアウレウスは言葉を重ねて遮った。
「ゲームや漫画は面白かったよね」
何を当たり前の事を……。
「ゲーム? 漫画? なんの事だ?」
は?
俺は今なんて言った?
「そんなに驚いた顔なんてしないでよ。 もう少し語ろう。」
「そう言われても困る。 俺はそんな物は知らん。」
そんな訳はない。
俺の日常だったじゃないか。
「本当に? ゲームや漫画の知識であろうと異世界でそれは武器になり得るのに? 君は知らないはずの知識から敵を推察した事はないかい?」
「そ……れは……。」
吸血種の時だろ。
覚えてるに決まってる。
「じゃあ、最後に聞こうか。 君は誰だい?」
「俺……は……。」
ペパは間抜けな言葉を最後に少しの眠りについたのだった。




