旅行予定
僕は立ち上がった。とても重大な決心をしたのだ。
「そうだ、京都に行こう」
バカを見るような目で……、いや、『ような』はいらないか。
バカを見る目ではるさんが見てくる。
「いきなりどうしたの?頭でも打った?」
酷い言われようだ。
「いや、どうもしてないよ?なんとなく京都に行きたいなあと思って。ほら、だって今は夏休みでしょう?その割に何処も行ってないしデートらしいデートもしてないなあ、と気づいたんだよ」
「デートはしてないかもしれないけど、毎日こうやって一緒にいるじゃない。それだけじゃだめなの?」
とはるさん。
「いやあ、毎日一緒にいるだけでも楽しいんだけどね?でも、せっかくの夏休みなんだよ?少し遠くに旅行に行ったりとかそういうのしたくない?」
「確かにそれもそうね。なら、ヨーロッパに行きましょう」
「はい?」
うん、聞き間違えたんだな。
もう一度聞こう。
「えっと、どこに行くっていいましたか?」
「ヨーロッパよ」
聞き間違えじゃない。
ヨーロッパといえばあのヨーロッパだよな。
海外の、ロシアの隣らへんにあるあのヨーロッパだよな。
むしろロシアがヨーロッパまである。
「ヨーロッパのどこに行くんです?」
「ドイツやフランスとかはどう?」
ロシアじゃなかった。
「さすがにそれは急過ぎませんか?」
はるさんは口を尖らせ不満そうに
「なによ、蓮は私と旅行したくないの?」
と答えが分かりきっていることを聞いてくる。
「もちろん、行きたいに決まってるじゃないですか」
「じゃあ、そういうことで。チケットとホテルは取っておくから」
「って本当に行くの?」
とはるさんを見るともうすでに旅行会社のページを見ている。
おいおいまじかよ…
はるさんはかわいいくせに頑固だし自分がこうと思ったことは曲げないし、頑固だし…
そんなことをグダグダ考えているうちにもう予約を取ったようだ。
パソコンを閉じている。いや、どんだけ早いんだよ仕事。
僕の彼女は優秀すぎる。さすが僕の彼女。
「そういえば連はpassport持ってるんだっけ」
予約した後に聞くんかーい。
しかもなんでちょっと英語っぽい発音してるの、もう海外気分なのかな、はるさん。
早くない?ねえ、はやくなーい?
「持ってますよー」
「なら大丈夫ね。さて準備をしましょう。」
「いつから行くんですか?」
「一週間後。」
ん?何かおかしい。
「いつから行くんですか?」
「一週間後の意味が分からなかったのね… 七日後よ。」
いやいやさすがに一週間って言葉というか、意味は知っているけど…
いや、でも急過ぎないかな…
でも言っても聞かないしないなあ…
どうせなんか言ってもしょうがないけど一応言っておこう。
「ねえ、はるさん…?ちょっと急過ぎない?ほら、準部とかいろいろあるしさ。もう少し先にしてもいいんじゃない?ほら、次の冬休みとか」
「何、蓮は私と旅行したくないんだ?行きたくないんだ?へえ、そっかそっか。」
「いやだなあ、はるさん。そんなわけないじゃないですか。ああ、もう楽しみだなあ。」
弱っちい僕であった。




