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非日常のはじまり  作者: ありま氷炎
第4章 犯した罪の大きさは……
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6

「おかしいな」


 逃げ遅れた他の生徒達を別の建物に避難させ、馬貴はカラスの数が減っていることに気がついた。執拗に自分を追うカラスの姿が見えなくなっていた。

 ふいとガラスが割れる音がして、外を見る。するとそれは大達が避難した教室であることがわかった。

 黒い塊が窓越しに見えた。


「あなた達、ここでじっとしていて。助けが来るまで、窓と扉を閉めておくように」

 

 馬貴はそう言うと、生徒を教室に残し扉を開け、駆けだした。



「どうだい。あたしとやりたいかい?」


 深くキスを落とし、少年の目を虚ろになっていた。欲食は大の頬を撫で、その首筋をぺろりと舐める。

 その周りではカラスに襲われた生徒達が鞄や、椅子を使い、必死に戦っていた。


「楽しい状況だねぇ。心が沸き立つよ」


「それはあなただけだよ」


 そう声がして、光の鞭が放たれる。欲食は舌打ちをすると大から離れた。すると大の体が力を失って崩れるように倒れる。


「大ちゃん!」

「!」


 間髪入れず鞭を振りおろし、馬貴は欲食を窓から外に弾き飛ばすと少年を抱き起こす。そして呼吸をしていることを確認し、安堵の息を吐く。


「大ちゃんにはちょっと刺激が強かったよね」


 馬貴はそっと大を床に横たえると立ち上がる。そして教室で暴れ回るカラスを鞭で打ち落とすと窓から外に飛び出した。




 花埜の目の前で、二人の少年が戦っていた。スポーツ刈りの少年はぐるんとその体を伸ばし、さらさらと黒髪を揺らす美しい少年を襲う。戦いは互角のように思えたが、時が経つに連れ、その力の差が明らかになっていった。


「清吉。わしを甘くみすぎだな。お前には落胆した。女の前に、お前の魂、消してやろう」


 神通は校舎の壁に叩きつけられ、動けない清吉に近づき、その手の平に気を込める。


「さらばだ。痛みは感じない。お前は永遠に消滅する」


 少年は手を振り上げ、校舎の壁で呻いている清吉に光の玉を叩きつけようとした。


「させない!」


 しかし、がしっとその手は捕まえられる。


「女か!」


 神通は舌打ちすると、自分の腕を掴んだ花埜を振り払う。すると少女の体が後ろに飛ばされた。


「かつては見殺しにした男を助けるか。やっぱり可笑しな女だな」


 美しい少年は地面に倒れこんだ花埜を冷たく見下ろす。


「が、その思考、面白い。やはりお前の精気をいただく。しかし、清吉が先だ」


 神通は視線を清吉に戻すと、再び光の玉を作る。


(清吉さん!)

 

 花埜は地面から体を起こし、ただ祈った。

 彼の痛みが癒されないまま、怨みを抱えたまま、消えてしまうのは許せなかった。


(私はまだ罪を償っていない!)


 少女の体が光り、その場から消える。


「!」


 ふいに目の前に眩しい光が現れ、神通は目を瞬かせる。


「女か!」


 光の正体に気がついたときはすでに遅く、光の鞭が神通を襲う。


「くそっつ!」


 神通は光の鞭を受け、数メートル後ろに飛ばされ、木々に体をぶつける。しかし、すぐに起き上がると光の弾で反撃した。


「おかみさん!」


 輝く光を放つ花埜の体を数発の光の弾が襲う。




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