空回りスレチガイ
最終話です。
私自信この作品を愛していたため、最終話遅くなりました……ごめいわくおかけしました。
皆さんお久しぶり!
仲間 紫唖です。
私は、もう高校三年だからこの時期になると、クラスの仲間達は皆大学受験するみたい。
あれから、父さんに認めてもらうために私はこれまで以上に勉強をした。
すると、私はいつの間にやら、校内一番になっていた。
担任は、私を誉め千切った。なぜなら、この高校史上初の一番を持続した者だから……らしい。
一番を持続した事はウチの高校ではフランス留学へのチケットが渡されたようなものなのである。
と言うのも、毎年卒業者のなかから、最も成績優秀者を選抜するからである。
国が援助する資金でフランスに独学留学できるシステムだ。
この事を弥恵さんに話したらとても喜んでいた。
そして、一緒にフランスへ行くと言い出した。……どうやら本気だったらしい。
「あっちには、頼もしい知り合いが居るからさ」
誰だろう。とにかく私の為に緊急帰国してくれるらしい。 頑張って料理つくらないと!
と、弥恵さんの携帯がなりだした。
着メロが『アシタカせっ記』だ……もののけ姫ファン?
「あ!真由?……うん、うん。着いた?しぃちゃん家はね、三つ目の角だよ」
「え」
真由……さん?もしかして、弥恵さんの……。
「あぁ、しぃちゃん真由の事知らなかったっけ?」
聞きたくない。嫌だ。ヤメテ……
ガチャリ。
「弥恵ー!お久しぶり!」
いきなり、あかいドレスを纏った金髪の美女が……!まさか、この人?
「うわぁ!真由ハヤッ!」
あ。無理。こんな人に叶うはずがないよ。
真由さんは、弥恵さんに抱きつく。
「あの、真由さん……?初めまして」
「あらあら。可愛い子ね!もしかして弥恵、この子が例の弥恵の……ムグウ」
「バカッ!それいじょういいなよ」
あれ?弥恵さん顔真っ赤……真由さんの帰国がそんなに嬉しいんだ。
「あの、失礼ですがお二人はどんなご関係で?」
「あら。弥恵話してないの?」
「あぁ、俺達は……」
弥恵さんが何か言おうとした瞬間。
「恋人同士よー!」
と真由さんが叫んだ。十分だった。私は、涙が出そうになるのを堪えて、
「わ、私、醤油買ってくるね?切れたみたい」
と言った。自分の声が思ったより弱々しくて、びっくりしたけど、私は家を飛び出した。
去り様に、弥恵さんが私を止める声が聞こえた。
弥恵モード
真由ってば何言い出してんだよ!
しぃちゃん、あんなに弱々しい声……俺の事ちょっとは気にしてくれているのか?
俺、今までしぃちゃんに会いたくて沢山迷惑かけたけど、やっぱアンタを諦められないよ?
真由に相談するんじゃなかったぜ。
「何てこと言うんだよ!?」
「ふん。焼きもちよ」
「な……!糞姉貴!後でぶっ潰す」
先ずはしぃちゃん追い掛けなきゃ!
パタン!と戸を閉めて走り行く弥恵を見て、真由はにこやかに笑う。その笑顔は優しく美しい。
「こうでもしないと、あの子達はクッツキそうにないからね!」
紫唖モード
はぁ。私が馬鹿だったのよね。早く諦めれば良かった。
最初から分かってたくせに。弥恵さんだってきっと真由さんに会うために一緒にフランス行くって言ってくれたんだ。
「ばかだな私」
私は近くの公園に座り込んだ。
それから、何時間たったのだろう。弥恵さん達流石に心配するかな。……帰ろ。
私はあまり気が進まないから、家から遠い東口から公園を出た。
弥恵モード
俺は、公園に来ていた。部蘭子が揺れてる……紫唖が居たのか?
まだ近くにイルカもしれないな。
俺は公園の西口に走り出した。
はぁ。紫唖はどこいった?いない……つうか、大体俺と真由が姉弟に見えない方がおかしいんだよ!
俺達クォーターだから、同じ青い目と同じ金髪してるっつの!
……あれ?あれ紫唖か?紫唖だ!やっと見付けた!
ったく、世話がやけんな。
紫唖モード
なんか疲れちゃった。コンビニ寄ってこ。実際醤油切れてたんだよね。
「いらっしゃいませ〜」
わぁ。カッコいいお兄さん……!
弥恵さんなんてしらないんだから!この人に乗換え……
「おい、紫唖!」
肩に手が触れた。
この声……弥恵さん?
「弥恵さん」
「『弥恵さん』じゃねぇ、馬鹿!」
息切らして汗かいてる……もしかして、探してくれたの?
「探すだろ」
「ごめんなさい……真由さんは?」
「あ゛?糞姉貴なんておいてきたよ」
今なんて言って……糞姉貴って――
私のなかに、真由さんが思い出される。……あ。同じ青い目と同じ金髪してるっつの!
「あの、とりあえず醤油買います」
「……まいぺーす」
私達は醤油を買ってコンビニを後にした。
「ったく、真由も真由だ!」
「弥恵さん……探してくるたんですね」
「……まあね」
あ。またあの笑いかた。今日初めてだな。
「ありがとうございます。あの、私この際伝えておきたい事があります」
伝えるなら、今。真由さんがお姉さんだから、私が好きとは限らないけど。
ハッキリさせておきたい。
「んー?言いなさい言いなさい俺に!」
「……はい。あの、私なんか弥恵さんの事、好きみたいです」
切なくて、涙出てきた。弥恵さん、困るかな。
「……マジ」
「え?」
弥恵さん、泣きそうな顔してる?……断られるかな。
「紫唖って奴は俺を焦らせてばかりだ……」
「ごめんなさい……?」
「ちげえよ。俺だってお前が好きなんだよ」
え?
「えええぇぇぇぇぇーーー!?」
夕暮れに私の声がこだました。……恥ずかしい
「さぁて!見事二人もクッツイタ事だし!今日は一流パティシェ、橋矢田真由のパーティーよ!」
「会場俺ん家」
帰ったら、弥恵さんが真由さんを怒鳴る勢いで入ったけど、本人がクラッカーを持って手を繋ぐ私達を祝福したため、あれは真由さんの作戦だと判明した。
「真由はね、昔からあの方法でカップルを作って来たんだ。……俺忘れてたよ。恥ずかしいな」
さぁ!卒業まで頑張らないと!
ご愛読ありがとうございました。
10話程度しかないこの作品ですが、嫌味のないホストを書いてみたくて書きました。
弥恵さんを『ヤエ』と読んでいる方も居るかもしれませんが、彼は『ヒロエ』さんです。
仕事時のみ、『ヤエ』となります。
しぃちゃんに関しては、実はリア友がモデルだったり。
頭が良く、料理ができる可愛い子なのです。
……流石にバイオリンはひけませんが。
では、またどかかでお会いしましょう!