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第1話:物語の始まり

 朝霧翁が平行世界のもう一つの日本を救う為にかねてから用意していた作戦の前倒しを決定する。


 そして、朝霧本社の会長室に二人の男性がソファーに座っていてその前面に総帥である朝霧がいた。


「よく、集まってくれた! 既に聞いていると思うが“暁の再生光”を前倒しで実施する事に決めたがよろしく頼む」


 朝霧の申し訳なさそうな表情で首を垂れてお願いする様子に二人の男性は慌てて総帥たる人物が簡単に頭を下げないで欲しいと反対に恐縮する。


「朝霧総帥、私はあの時から総帥の為なら命を捨ててもいいと決意したのですから。三年前、会社を不当解雇されて妻に離婚をつきつけられて娘とも引き離されて絶望状態に陥り、東尋坊で自殺を図った時に助けて頂き車の中で頂いた熱い玄米茶の味は忘れられません」


 『富嶽武雄』、今年で満五十歳を迎える人物だが先ほどの通り、不幸な目に逢ったがこうして今を生きている事に喜びを感じていたのである。


「有難う、富嶽君! そして、東郷君もすまないね? 折角、裏組織を抜けられて普通の……一般市民としての生活を再び奪ってしまいこの朝霧、本当に申し訳ないと思っている」


 『東郷重利』、今年で二十歳を迎える美青年でジャーニーズに入れば即、世界的トップに昇り詰めるぐらいの雰囲気を纏っている。


 富嶽はこの東郷と顔を合わせたのは今日が初めてであったが何となく遥か昔に会ったような気がしたのだがまあ、気のせいかと思ったのである。


 東郷は富嶽の方を向くと笑顔でよろしくお願いしますと言ってくる。

 そんな二人を見ていた朝霧は少しだけ頷くと二人に言葉を発する。


「富嶽君、この東郷君は君にとったら息子のような歳だが格闘を始めとするありとあらゆる知識を持っているのでこれからの君を補助する立場となってくれるだろう」


 富嶽は東郷によろしくお願いしますと頭を下げると東郷は吃驚してこちらこそと挨拶するが私のような若造に頭を下げる人物に意外な表情をする。


 それを見ていた朝霧はふっと笑みを浮かべると東郷に富嶽と言う人物はこういう風に腰が低くて年下でもきちんと頭を下げる事が出来る人格者だと言うと東郷も成程と頷く。


「さて、話は戻るが君達に来てもらったのは計画が前倒しになり二月後には出発となったが覚悟は出来ているのかな?」


 朝霧の言葉に二人が頷き、富嶽が朝霧に二月後の出発は片道切符ですね? と尋ねると朝霧は頷くが一言だけ付け足す。


「勘違いして欲しくないが特攻して死んで来いとは全然、違うぞ? ジャンプした世界で生涯を終えて欲しいのだ。勿論、これから行く世界を救う役目は果たさないといけないが?」


 そう言うと朝霧は両名の前に計画書の束を渡す。

 冊子には“超極秘”とハンコが押されていてそれをパラパラとめくって中を確認したがとんでもないやばい語句が沢山あってしかも見たこともない機械の設計図みたいなものも記されていた。


「今から一週間かけて缶詰め状態でこの書類に目を通して覚えて欲しい。一言一句ではなくて要点を頭に叩き込んでほしい。まあ、この東郷に関しては、暗記関係は凄まじいから覚えられなくても彼に聞けばいい」


 東郷は富嶽に笑顔でこれからよろしくお願いしますと言うと富嶽もこちらこそよろしくお願いしますと言う。


「それでは今から共に行動するメンバーを紹介しようと思うから二時間後、呉軍港地下ドックまで来てくれないかな? それまで本社ビル食堂で飯を食べていたらいい。全てタダだから好きなだけ食べて欲しい」


 そう言うと朝霧は鈴を鳴らすと秘書が出てきて共に退出していく。

 部屋に残った二人は暫く沈黙状態であったが東郷から食事でも行きませんか? 声を掛けられると富嶽はそうだねといい、二人も立ちあがって部屋から出ていく。


 勿論、極秘書類を持って。

「……東郷さんは朝霧翁様の事をよく知っていますが……貴方も只者ではないのでは? 裏組織とか言っていましたが?」


 二人は階段を使って四階下の三十六階まで歩いていた。

 東郷は笑みを浮かべて頷くと話せば長くなるのでこれから嫌でも缶詰め状態になりますので気分転換として私の事を全てお話ししますよと言う。


 これから共に行動するのですから包み隠さず、私の元の正体と組織とかについてと答えると富嶽は申し訳なさそうに有難うと礼を言う。


「(成程、貴方は昔から変わらないですね? 礼儀正しくてあの時の私を自分の大切な用事を放っておいても……)」


 そうこうしている内に食堂がある階について食堂に入るとこれも又、とてつもなく広くて二百人ぐらいの社員が食事をしている。


 二人は食券販売機で好きなメニューを押すと食事券が発券されてそれをカウンターに持っていくと愛想のいいおばちゃんが凄まじい手捌きで料理を盛っていく。


 二人は料理が乗っているトナーを持って呉軍港が見渡される窓の方に行き二人でそこに座る。


「東郷さんは伝統的な日本的な和食か、イメージ的には会わないが?」


 屈託ない笑顔で東郷にいうと彼も笑みを浮かべて皆に言われますが私は和食派で洋食や中華は殆ど食べないですねという。


 そんなたわいもない話をしながら楽しく食事を取っている時に二人組の老齢男性が近づいてきて喋りかけて来る。


「食事中にすまないね、私は『狩衣幸次』でこっちの禿は『坂田重蔵』だ。これから会うこともあるのでよろしく」


 そう言うと二人は少し離れた窓辺の椅子に座って食事を始める。

 東郷がいうには、かなり変わっている人達ですがとても優秀な方達ですのでこれからもお世話になりますということを教えてくれた。


 食事が終わって豪華なデザートを食べた富嶽達は満足してそのまま一階に降りて少しだけ呉軍港を散歩する。


 停泊している海上自衛隊の艦船が静かに停泊していて写真等の撮影にピッタリな風景であった。


 そして時間が迫って来たので二人は朝霧造船区画内に入り、エレベーターで地下五階を押す。


「さあ、どんな方達と会うのでしょうか?」


次話は戦闘艦の紹介と乗員達の面通しになります。

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