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普通の基準
私は極々普通の家庭に生まれた。
父親はサラリーマン。
母親は専業主婦。
弟が一人。
この普通の中に違うものがあったと言えば
父親の親族、母親の親族の中で初めて生まれた女の子だった。
初めて姫が生まれたと家族はもちろん、親戚中が歓喜したと言う。
生まれてからずっと私は姫だった。
やりたいことは大体やれた。
ピアノがやりたいと言えば家にピアノが届き、ピアノの先生が教えに来てくれた。
絵を描きたいと言えば絵画教室に通わしてもらい、英語、習字、水泳、体操、全て希望は通った。
テレビで欲しいキャラクターの玩具CMが流れ
『欲しい』と言えば買って貰えた。
私にとっては、それが普通だった。
『欲しい』と言えば、その日の内か明日、遅くても数日後には手に入れられた。
私の中で普通の基準が出来た。
言えば手に入る。