格差問題について考えてみた
あ~貯金がなかなかたまらないなあ。こんなため息をついている人も多くいるのではないでしょうか。
そこで目を向けたいのが、最近よく取り上げられる格差問題。グローバルな社会で自由に資本が国境を超える中、成功者は巨万の富を得て、対極に底辺労働者は固定化されてなかなか貧困から脱しえません。
では、社会や国家がそれに対してできることとは何なのでしょうか。格差の一つの誘因として、「新自由主義の台頭」ということもよく指摘されるところです。
新自由主義とは、政府による市場への介入をできるだけ抑えて、規制のない市場環境を目指す考え方です。市場への介入?規制?なんだそれ、という疑問がありますよね。有名なところでは、金融政策と財政政策がありますが、他の事例を見てみましょう。
例えば低所得者向けの公営住宅なんかも、いわば不動産業界への介入です。日本の国民皆保険なんかも保険業界への介入です。規制と言えば、大店法という法律がありました。商店街の小さなお店を守る為に、大規模な店舗を開業する際には、届け出制にしていました。また、関税なんかも国内産業を守る為に敷かれています。これも規制の一種です。
新自由主義はこういった政府による保護政策をできるだけ取っ払って自由に商売させてくれというものです。先ほどの例でいえば、日本の皆保険なんかはTPPでアメリカの保険業界に狙われていましたね。皆保険がなくなれば向こうの会社はとびっきりのパイを獲得することになるのです。
こういう政府の介入は、社会保障という側面もあります。皆保険、公営住宅なんかは低所得者をなんとか生活面で支援するという役目もあるのです。
新自由主義とは、お金儲けを自由にさせてくれという意味合いでその名がつけられています。そういった弱肉強食を良しとする考えから、「自由」と銘打っていますが、ナショナリズム・保守主義と繋がる場合が多いのです。ここがややこしいところですね。
本来「自由」や「平等」とは左派、リベラルの代名詞のようなところがあります。リベラルは社会的弱者への手厚い福祉を要求することが常です。リベラルの「自由」とは「国家による圧政からの自由・搾取からの自由」を意味し、新自由主義の「自由」は「弱者を救済する必要のない自由・搾取を規制されない自由」だと思っておけば幾分か整理できるかと思います。
さて、私の見解とすれば、やはり政府の介入は必要だと思います。そもそも大企業と零細企業では、資金面の違いから商品単価が異なるので、どうしても小さい企業ほど不利になります。
例えば大企業では資本装備率(労働者に対する設備投資の比率)が高いので、長いスパンでみれば当然コストも低くなります。そして潤沢な資金があれば材料の大量発注で材料費も抑えられます。大なるものは益々大になる。単価で勝負できない零細企業はすぐに淘汰される。
こうした事情を考えると、大店法ではありませんが、なんらかの中小企業への支援策が必要ではないでしょうか。勿論、市場では競争は必要です。懸命に取り組んで成果を上げることの意義は大きいでしょう。しかしなるべく公平なスタートを切れる仕組みというのも大事だと思います。
以上、昨今の格差問題について述べてみました。どうだったでしょうか。また機会がありましたらお暇つぶしにお読みくだされば幸いです。