9話 数ヶ月ぶりの新しい服だ!
肩のケガは痛むが、それよりガルヤ達と和解できた事が嬉しい!!
9話 数か月ぶりの新しい服だ!
ガルヤ、キムル、ツーラと和解できた。 なんだか嬉しい!!
「そうだ、ちょっと待っていてくれ。 確か酒とつまみがまだあったはずだ」
隣の部屋からまだ半分以上のこっている酒樽と、食べ物をいくつか持ってきて並べると、3人ともガツガツ食べ始めた。
ガルヤたちは夕食をほとんど食べていないらしい。 特にガルヤは緊張して何も喉を通らなかったと言う。
「何をそんなに緊張していたんだ?」
「俺は謝ったことがない」
「えっ?」
「生まれて初めてお前に謝ってやったんだ。 感謝しろよ」
キムルを見ると、申し訳なさそうに頷いている。
「そんなことを自慢されても······」
「初めて謝ったのがお前で良かったと思っている。 ありがたく思えよ」
「それはそれは、ありがとう」
「フム」
「「「「ハハハハハ」」」」
色々話し、彼らも少し酔ってきた頃、ビルビの話しになった。
「ビルビって本当にいい人だよな」
俺がそう言うと、ガルヤの顔に緊張が走るのがわかった。 ガルヤは大きい体を丸めて上目遣いに俺を見る。
彼らは複眼だが、視線の先はよくわかるし、表情も豊かで人間並みに分かりやすい。
「ケントは······ビルビの事を······どう思う?」
「とてもいい人だし、本当に世話になっていて感謝している」
ガルヤは一段と小さくなっている(大きいけどね)
「ビルビってボルナックの中でも美人だよな」
「お······おう」
ガルヤのオレンジ色の顔が赤くなった。
キムルが笑いながらガルヤの肩を叩く。
「こいつ、ビルビをケントさんに取られそうで心配なんだ」
「取られる? あぁ······心配しなくてもそれはない。 俺には心に決めた人がいるからな」
夢に出てくる夢子さんだが、そこまで説明する必要はないよな······
しかし、ガルヤがやたら俺に絡んできたのは、もしかするとそっちが原因だったのかもしれないと思った。
「この世界に飛ばされて、会うことは出来ないかもしれないが、俺には彼女しか見えていないから心配するな」
背中を丸めていたガルヤの背筋が伸びた。
「そ···そうか······そうか······それは残念だな」
ひとつも残念そうには見えないが······
「ビルビはそうだな······俺には妹しかいないが、もし姉さんがいたらあんな感じだろうと思う。 知っているか? ビルビは結構口うるさくて厳しいんだ」
「そうそう、決め事には決して背かず、クソ真面目で怒るとかなり怖いんだ」
「その通りだ。 俺がケガをしたことを知ると、無理やり傷口を洗って薬を刷り込むんだぜ。 痛いと言うと我慢しなさい!って怒られたよ」
「·········お前···ケガをしているのか?」
「あ······」
話の流れで言ってしまった。
「ギギの爪が肩をかすめただけで、大丈夫だ」
「そうか······もう遅いし俺達もそろそろ帰るか。 大事にしろよ」
「おう、ありがとう」
気遣ってくれた気持ちが嬉しい。
「そうだ、傷が治ったら、俺の訓練に付き合ってくれないか?」
「もちろんだ、じゃあな」
3人は帰って行ったが、初めてこの世界で友達が出来たようで嬉しかった。
俺は獣舎に行き、繋いであるアンを連れて部屋に戻った。
「アン聞いてくれ、友達が出来たんだ。 お前も仲良くしてくれよ」
とにかく誰かに言いたかったのだ。 俺の横に寝転がるアンを抱きしめた。
「楽しくなりそうだ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日から毎日ビルビはケガの治療に訪れ、治療が終わるとガルヤたちと一緒にアンも連れて村の巡回に同行した。
やる事なす事が楽しい。 ガルヤとキムルも仲良くなるとよく喋りとても愉快な仲間だ。
······ツーラは喋らないけどね······
20日ほど経つと傷口は塞がり、随分痛みも引いて、ビルビから訓練のお許しが出た。
そしてその日に俺の服が仕上がり、ビルビが俺に差し出す。
みんなと同じようなシンプルなひざ丈の服だが、もちろん二本腕用だ。
そしてズボンとサッシュベルトも用意してくれている。 履いてみると、思った以上に動きやすくて肌触りもいい。
この世界に来て何か月も制服のままだったので、とても嬉しい。
着替え終わってビルビに見せると、彼女も喜んでいた。
サッシュベルトに鞘に入ったナイフを挟み、槍を持ってアンも連れて家を出る。
すれ違う人達が俺を二度見する。 何だか可笑しくて嬉しかった。
◇◇◇◇
いつもの訓練場に行くとガルヤたちが待っていた。
「よお! ケント。 似合っているぞ。 まるでボルナックだ」
「ハハハハハ、忘れたのか? 俺はボルナックだ」
「そうだったな、個性が強すぎだがボルナックだった」
「訓練を手伝ってくれるか?」
「もちろんだ。 手加減はしないぞ」
「よろしく頼む」
ガルヤたち三人とビルビが俺を囲み構えた。
◇◇◇◇
キムル、ツーラ、ビルビは倒れていて、辛うじてガルヤだけが肩で息をしながら立っていた。
「お前の強さは反則だろう。 槍術も体術も4人がかりでも敵わないじゃないか」
「ビルビにしごかれたお陰だよ」
「私が勝てたのは初めの基本を教える前だけだったわよ」
「ギギに勝てた事もうなずけますね」
ツーラはうんうんと頷いている。
喋ろうよ······
◇◇◇◇
一つ目の太陽が沈み、二つ目の太陽も傾いてきたので、みんなと別れて家畜が放牧されているサールに行った。
俺がピィッと口笛を吹くと、アミのマリと山羊のようなチルルが群れの中から顔を上げた。 アンがマリの所とチルルの所に走って行って挨拶をする。
もう帰るんだよと言っているみたいだ。
みんなと一緒に獣舎に入り、餌をあげてからブラッシングをしてあげる。
「そういえばチルルに名前を付けていなかった。 チルルが可愛い名前だからそのまま呼んでいたけど、よく考えるとみんなチルルだもんな」
どんな名前にしようか考えながらブラッシングをする。
······マリ······アン······トワネットという言葉が頭に浮かんだ。
「決めた。 今肩お前の名前はトワだ」
我ながらテキトーだなと笑う······まあいいか······
知らない土地で友達がてきる事って、本当に心強くて嬉しいですよね♪( ´∀`)人(´∀` )♪




