表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界移転するたびに俺が伝説の英雄になる件  作者: 杏子
第一章 人間世界から昆虫世界編
7/326

7話 初めての死闘

 7話 初めての死闘




 翌日から俺はビルビに槍術とナイフ術、体術を習い始めた。 


 スーパー〇ンの力を持っているが、戦いというものをしたことがない。 ギギがどんな動物かは知らないが、素手で戦うのは無理があるだろうし、危険な生き物はギギだけでもないらしい。



 この昆虫世界には弓がない。 それに剣や刀もない。 それを作る材料も技術もない。 


 ただみんなが使っている刃渡り20㎝ほどのナイフは一見プラスチックだが、切れ味が抜群で刃こぼれもしないので、研ぐ必要もないそうだ


 実はそれはズブグクという生き物の鎌だと教えてもらった。 その鎌をディナという硬い透明の石で削って形を作る。 


 一度ナイフを加工するところを見せてもらった。


 透明の石をロクロのように回しながらナイフを削っている。 海で見かけたダイヤモンドかもしれないと思った。

 というのもディナはとても硬く、どんなものも削ることが出来るそうだが衝撃に弱く、扱いには注意が必要だと言っていたからだ。



 その場所で俺に合った槍とナイフを作ってくれた。



······やったぜ!······やはり男は武器に萌える······




 それはいいのだが、訓練中のビルビは鬼教官だった。 


 彼女曰く「貴方(あなた)の身体能力が高すぎるので、私も本気で相手をしないと直ぐに負けてしまうもの」だそうだ。


 水泳部のしごき並みにしごかれる。




 狩りにも連れて行ってもらった。


 動物を殺すのは忍びなくて、初めは見ているだけだった。 しかし獲物の恵みに感謝し最大限苦しまずに、そして安らかに地に還ることが出来るようにしてあげる事が、我々の最大の謝罪だと言われた。


 フォーアームスは決して無駄な殺しはしない。 それは自然の秩序を守る事でもあると言われた。




 初めは小さなウサギのような動物だった。 槍で倒した後に必ず急所を刺して、できるだけ苦しまないように息の根を止めてあげる。

 左側の一つ目と二つ目の足の間が急所だ。 そこにナイフを差し込むと、一瞬硬直してから力尽きる。




 慣れとは恐ろしいもので、3頭目には躊躇(ためら)いもなく急所にナイフを突き刺すことが出来るようになっていた




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 最近の俺は暇が出来ると、アンを連れて村の中を見てまわっている。


 村の周りは柵で囲ってあるが畑の周りと、道のある所は柵が切れている。 すぐ横が森なので、猛獣などが潜んでいれば危険だ。



「ここに門をつけた方がいいな。 今度ナブグさんに相談してみよう」

「ここは柵が壊れているから修理をしてもらわないと」



 先ずは守りの強化だ。



 俺が来てからまだひと月も経っていないのにもかかわらず、既に二人の子供がいなくなっている。 守ってあげる事も遺体を見つける事さえできなかった。


 村人が会うたびに「腕を失くした神」と言って話しかけてくれる。 「ケントと呼んでくれ」と言っても誰も聞いてくれない。



 腕を失くした神と言われるたびに、心が痛んだ。



 ◇◇◇◇



 それから一か月ほど過ぎたある日、俺が畑の中程にやってきた時に急にアンが唸りだした。



 嫌な予感がしてアンの唸っている方向に走っていくと、大人達が畑仕事をしている横で遊んでいる子供に向かって、黒い物体が近付いてくる所だった。


「逃げろぉ!!」


 俺は大きな声で叫び、猛スピードで走ってその物体に体当たりした。


 俺に体当たりをくらったそれは吹っ飛び木に叩きつけられたが、すぐに体制を立て直した。 そして今度は槍を構える俺を標的にしたようだ。

 それは体長が3m以上ある黒っぽい虎のような猛獣だった。 多分こいつがギギだろう。


 思った以上にデカイ。



挿絵(By みてみん)



「アン! 離れていろ!」


 横でバウバウ吠えるアンを後ろに押しやると、理解したように少し離れて静かになった。 


「よし!」


 様子を(うかが)うギギに向かって再び槍を構え直した。 

 ギギは遠巻きに俺の周りをゆっくりと移動する。



 実のところ俺は攻撃してくる猛獣と対峙するのは初めてで、心臓が早鐘のように打っている。 ギギの動きを少しも見逃さないように、全神経を研ぎ澄まして集中する。


 ギギの足が地面を蹴った。 間一髪のところでギギの爪を(かわ)して、離れ際に槍で足を斬る。 しかし傷は浅い。 直ぐに身を(ひるがえ)して大きな口を開いて向かってくる。 俺は飛び上がりギギを飛び越えて後ろから槍を振り下ろすが、やはり大きな傷を与えることが出来ない。


 大きなギギに対して槍の刃は短い。


 何度か口や爪を(かわ)しては攻撃するが、深い傷を与えることが出来ない。


「とにかく動きを止めないと······どうすればいい······」



 再び飛びかかって来たので横に(かわ)すと、ギギは俺の後ろにあった太い木をクッションにして身を(ひるがえ)し、再び襲い掛かって来た。 予想外の動きに慌てて避けるが間に合わずに、ギギの太い爪先が左肩を引っ搔いた。


「つっ!」


 左肩に激痛が走る。 しかしギギは攻撃を緩めないので痛がっている暇はない。

 身を(ひるがえ)すと同時に攻撃してくるので後ろに飛び下がり、先程のギギのように後ろの木を蹴ってギギを飛び越えると、爪を伸ばしてくる前に思いっきりギギの腹を蹴り上げた。


「ギャァ!」と叫びながら飛ばされて、大きな岩に激突してギギは気を失った。


 急いで倒れているギギの所に飛び、急所にナイフを突き刺す。 すると一瞬体を硬直させると、ぐったりと動かなくなった。




「ふぅ~~っ、やっと倒せた······」


 安心した途端、肩の痛みが襲ってくる。 木にもたれて座り込むと、アンが走ってきて俺に飛びつき、顔を舐めてきた。


「いい子だったな、アン。 よしよし」


 俺がアンを抱きしめていると、建物の陰から俺の死闘を見ていた村人たちがゾロゾロと出てきた。


「凄い! 一人でギギを倒した! ()()()()()()()が助けて下さった! ありがとうございます!」



 みんなが俺を取り囲み、片膝を着きながら口々に叫んだ。





 その後ろからガルヤたちが走ってきて、死んでいるギギを見て呆然としていた。



 



猛獣のギギを倒した!!(´д`|||)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ