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異世界移転するたびに俺が伝説の英雄になる件  作者: 杏子
第一章 人間世界から昆虫世界編
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21話 後ろをついてきている?

 21話 後ろをついてきている?!





 次の日も石矢作りと石矢を射る練習をしていると、ガルーラが俺の所に来た。


「そろそろ帰らなければなりなせん」

「しかし······」

「もう予定より四日も遅れています。これ以上遅らせる事は出来ません。 塩は後日サムリク様が責任をもって届けてくださることになりました」


 それだけ言うと戻って行った。

 戸惑っている俺を見ていたガルヤが、肩を叩く。


(あきら)めろ。 この村までお前が背負う事はない」

「·········」




 ◇◇◇◇◇◇◇




 その日のうちに荷作りを整え、明日の朝一番に出発する事になった。


 夜、責任者達と俺達がサムリクの家に招かれ、夕食を御馳走になる事になった。 夕食にはダムダとアストも呼ばれている。 




「今回は本当に色々とご迷惑をおかけしました。 お詫びと言っては何ですが、いつもより荷を多めに入れさせてもらっています。

 そしてケント殿が御自分のアミに荷車を引かせなくてもいいように、アミを二頭差し上げます」


 今までの人を見下したような偉そうな態度は影を潜め、腰の低いいい(フォーアームス)になっていた。



 

 みんなで美味しい食事を味わっている時、腕に包帯を巻いたナムルトが入って来た。


「まだ、動いちゃだめだ!」


 アストが驚いてナムルトに走り寄る。


「明日、皆さんが出発してしまうと聞いて、どうしてもツーラさんにお礼を言いたくて」


 アストに支えられ、ナムルトがツーラの前にやってきた。

 

「大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫です。 ツーラさんがいなければ私は死んでいました。 本当にありがとうございました」


「俺だけじゃお前を助けられなかった。 アストも命がけでお前を助けに戻って来てくれたから助かったんだ」

「はい、彼にも感謝しています」


「早く傷を治せ。 しかし腕が一本減ったくらい何ともないだろ? ケントなんか初めから二本しかないが、充分な働きをしているからな」


 みんなが一斉に俺を見る。


「二本あれば充分だ」


 俺は両腕を広げて見せた。


 そのあと俺は立ち上がった。

 みんなは何があるんだと、俺に視線を集中する。


 俺はナムルトの前に行き、頭を下げた。


「すまない。 すぐに助けに行くことができなくて。 あの時は何というか······(われ)を失っていたんだ」

「とんでもないです! ケントさんの凄さは分かっていますし、アストやサムトさんからも色々と話を聞きました。 立ち直ることが出来て本当に良かったですね」



······やはりみんなには全て見透(みす)かされていたんだ······



「うん。 全部みんなのお陰だ。 みんなも本当にすまなかった! そしてありがとう!」


 今度はみんなに向かって頭を下げた。


「おいおい、俺達は何もしてないぞ。 お前が勝手に殻に閉じこもって、いつの間にか立ち直っていたんだろ?」

「それでもみんなのお陰なんだよ! 感謝の気持ちを素直に受け取れ」

「受け取った!」


 ハハハと、みんなが笑った。




 そういえばと、アストが言う。


「ハクってこんなに賢いという事を知りませんでした。 ズブグクの足跡を最初に見つけたのもアン殿だし、ズブグクが向ってきた時にいち早く気付いたのもアン殿だし、それに、常にケントさんにピッタリと寄り添っていて、何だかとっても羨ましいですね」


「地球には犬という動物がいます。 犬も訓練次第でとても人の役に立つようになります。 アンは私のアミの番犬用として村長(むらおさ)がくれたのですが、私は知らずに犬と同じ感覚で家族として飼い始めました。 

 私もハクがこんなに賢いとは思いませんでしたよ。 本当によくやってくれます。

 今ではなくてはならない私の大切な家族です」


 俺は横で大人しく寝ているアンの頭を撫ぜた。 すると寝ながらフワフワの尾をワサワサと振った。


「それから、アンに殿()はいりませんから」

「ハハハハハ、ケントのその言葉を聞くのは何回目かな? みんなアンに感謝しているって事だ、言わせておけ」


 ガルヤが豪快に笑い、みんなも笑った。




 ◇◇◇◇◇◇◇




 出発の時には多くの村人が見送りに来ていた。 


 中でもダムダとアストと、ケガを押して見送りに来ていたナムルトは、名残惜しそうにしていた。




 出発間際、俺はツーラの所に行った。


「サムリクさんに貰った余った方のアミを、列の一番後ろにつないで歩かせてくれないか」

「ん?」


 ツーラは少し考えていたが、納得したように「わかった」と言って、何も聞かずに指示に従ってくれた。




 イルムナックのみんなに別れを告げ、多くの人に見送られながら、ターンナックの商隊は出発した。




 ◇◇◇◇◇◇◇




 帰りの旅は、何事も無く順調だった。 しかし時々アンが後ろを気にしている事があり、マリもたまに落ち着きをなくすことがあった。


 俺も時々最後列にいるツーラ達の所まで下がっては、後ろに注意を払った。




 ツーラが不安そうに後ろを振り返る。


「静かすぎるな」

「ああ、やはり付けられている」 

「それでアミを?······」と、キムル。


 その会話を聞いていた護衛の一人が俺に聞いてきた。


「どう言う事ですか?」

「ズブグクがついて来ている。 この辺りの獣はズブグクの気配を察して、どこかに逃げたのだろう。 だからギギやハクの気配がない。 ただし、奴が来ても攻撃するなよ。 このアミを置いて逃げるんだ」


 ギョッ! とした護衛が辺りを見回した。


「周期的に言えばそろそろ来る頃だ。 気を付けろよ」



 そう言ってから前に戻って行き、ガルーラにもその事を説明した。 そしてみんなにも決して攻撃しないようにと釘をさしておいた。



 ◇◇◇



 その日の夕方の事だった。 急に後ろが騒がしくなった。


「走れぇ!!」


 後ろから怒鳴り声が聞こえた。


「みんな! サールまで走れ!」


 徒歩の者と積み荷を護りながら走る。 後ろを見ると大きな黒い塊がアミに覆いかぶさっているのが見えた。 確かにあのズブグクだ。 それを尻目にサールまで走った。




 

 やはり一番後ろに引いていたアミだけを襲ってきた。 これでしばらくの間、襲撃はないだろうという事で、そのまま先を急いだ。












巨大ズブグクがターンナックまでついてくる!!( ̄□||||!!

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