[め]に限りなく近い[あ]
付き合って半年が過ぎようとしているのに、まだ彼女のことをあまり知らない。
どこに住んでいるのかはモチロンのこと、名前さえも教えて貰えずにいた。
警戒しているのは分かるが、もう付き合って結構経つ。
名前を聞いても、頑なにヒミツと言ってくる。
偽名でもいいから、言ってくれという気持ちがかなり溢れている。
もしかしたら、ヒミツという名前なのでは?という考えさえ湧いてきていた。
ここは、持ち物から探るのが一番だ。
持ち物に何かしらの、痕跡があるはず。
彼女が席を立った隙に、彼女のカバンを漁った。
すると、プリクラ帳のようなものが出てきた。
そこには、彼女の姿と、名前らしき文字が書かれたプリクラがあった。
でも、その名前らしき平仮名二文字を見ても、確信には至らなかった。
その文字が、ある平仮名とある平仮名のちょうど真ん中だったからだ。
【あい】なのか、それとも【めい】なのか、全く分からない。
でも、[め]に限りなく近い[あ]だろうという考えに落ち着いた。
プリクラ帳をカバンに戻すと、彼女が、たまたま会った親友と戻ってきた。
そして、彼女の親友は僕に向かってこう言った。
『めいの彼氏さん?』