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第4章 ツールを探せ!



 妙な機械を身に着け町中を飛び回り、妹を無事救出した忙しかった日から一夜が明けた。

亨は妹と共にびしょ濡れのまま帰宅して、空を飛んだことは黙っているようきつく言いつけた。恵らも兄妹と共に帰宅してあれこれと言いくるめるために四苦八苦したことは間違いないだろう。

そう考えながらに、亨は上々寺への道を歩いていた。

ちょうど休日であったため、昨日は、あの場でお開きにして今日に事態の解決(?)を持ち越したのだ。どちらかと言えば自身の体力と気力の限界であり、あのままエールに話を聞こうにもまったくもって頭には入らないだろうと確信したこともある。

「華蓮さん、ちゃんと看てるかな・・・」ぼそりと呟いた。

日をまたいたことで一番の心配は何よりエールである。行き場のない彼女を、とりあえずは上々寺に預けることにしたのだ。華蓮が面倒を見ると張り切っていたため、断る理、、由もなく預けてきたが――心配がないと言えば嘘になる。

「・・・お」

そうして昨日と同じく通学路を通るように進んでいくと、上々寺の庭から伸びる松の木が見え、ちょうど寺の敷地入口で話し込む一組の男女がいるのがわかった。

「出流!恵!」

亨はそれが友だとわかって駆け寄った。

私服姿の二人は、やってくる亨に気が付いて「よぉ」「おはよう」と挨拶の手を挙げた。

「大変だったんだってな?昨日?」出流が笑み交じりで問いかけた。

「・・・あぁ、お陰で全身バッキバキだ」ぼやいて亨が返した。

「ねぇ、エールちゃん・・・大丈夫かな?」と、そこへ恵が亨に聞いた。

その質問は亨も聞きたいことである、きちんとした回答など持ち合わせてはいなかった。

「大丈夫・・・・・・・だと思うが、嫌な予感もする」

少々、顔を引き攣らせて亨は言うと、いざ寺の敷地内へと進もうと、二人を連れて進んでいくのだった。


                              ※


 「デデン♪デンデデン♪」

寺の敷地内には妙な鼻歌交じりに箒を金髪の少女がいた。そしてそんな少女をボケーと眺めて、寺の縁側で頬に手をつく華蓮がいた。華蓮は羽織っただけの袈裟をカーディガン代わりにしては、大きな欠伸とともに思いっきり背伸びをした。

「んー・・・!んぁ?」

と、そこへ誰かがやってきて、華蓮の意識はそちらに向いた。

「おはようございます」

やってきたのは亨、恵、出流の三人であった。恵が代表して挨拶をすると、亨と出流も続けて頭を下げた。

 と、、恵の挨拶に気が付いたのか鼻歌の少女もくるりと振り返った。

「あ!昨日の!え・・・と確かメグ・・メグ・・・」

振り返った少女はなんとサングラスをしていた。それも昨日まで着ていた特徴的な服は、とりあえずは現代社会に相応しい女性的な服装に変わっていた。

「恵よ。佐々木恵ちゃん、昨日教えたでしょ?エールちゃん?」背後から華蓮が言った。

「そうそう!恵!メグちゃん!」

華蓮の助言に、うんうんと頷いてエールが恵に笑顔を振りまいた。サングラスのせいで目元は確認できないが、口角はにんまりと上がっていた。

「お、おはようエールちゃん・・・どうしたの、それ?」思わず恵みが問いかけた。

「えへへー!いいでしょ!華蓮さんに借りたんだ!あいるびーばーっく!」

「・・・そ、そう」

よくわからない語尾を付け足すエールに戸惑う恵。そんな背後では亨と出流が、いぶかしい顔でやりとりを眺めていた。

 そこへ、眠たそうにしていた華蓮が「よっこらせ」と縁側から降りると背伸びにしながらにエールと恵に近づいた。

「・・・いやぁ。エールちゃん、色んなものに興味津々でさぁ・・・私の持ってたDVD片っ端から見ちゃってさ――すっごく影響されやすいみたいなの」ワハハと軽く告げて華蓮が頭を掻いた。

その横ではエールが、もっていた箒を剣に見立てて『ブウン!ブウン!ピシュウゥウウ!わたしがおまえのちちなのだ!』とかなんとか、ごっこ遊びをしている。

恵は今一度首をかしげて「そ、そうなんですか・・」とつぶやいた。


「・・・なぁ、あれが超科学宇宙魔法少女エールちゃんなのか?」

「あぁ。それとフォースの加護を受けた未来サイボーグってのが追加されたらしい」

出流の質問に亨は冗談交じりで答えた。見事、有名映画のキャラクターになりきってはしゃいでいるエールに、亨は恵と同じように首をかしげて、やれやれと肩をすくめた。

「おーい、エル子!」

「ん?」

と、亨がごっこ遊びに夢中のエールを呼び止めて、こちらに視線向けさせた。

「あ、サポーターを変な使い方してた!え、と、・・・そう!トールね!」

発音は変だが、エールが亨を指さして次には剣代わりの箒を突き付けた。

横では華蓮が「合ってる合ってる」と笑顔で頷いている。

「だいぶ、馴染んだじゃないか。一日ですごい成長だな!」亨が第一にエールの服装を褒めた。

「ふふふ・・・――でしょ?」と、自慢げにエールが鼻高々と笑うと「実はね」と続けた。

「この星のツールは全部ヒィアートを使っていないから、魔法族の私でも触り放題!ビデオも見放題なのよ!」

大きな声で恍惚とした表情で言ったエール。

しかし、その喜ばしい彼女とは対照的に皆の表情は固まっていた。

「・・・ヒィ・・・?魔法――なんだって?」出流が思わず声を漏らした。

「わかったろ?これがあいつの真骨頂だ」亨が呆れ声で出流に教えてあげた。

すると、まだまだよくわからない単語を並べるエールを見て華蓮がストップと彼女の肩に手を置いた。

「はいはいはい・・・・エールちゃん、皆固まってるから、わかりやすく言ってあげて」

「へ?わかりやすくって・・・何を?」

「だからさ、その・・・フィアットだっけ?」

その瞬間、驚きのあまりに飛び上がったエール。ずり落ちたサングラスの下から何度も目を瞬かせて少々声を失っていた。

「・・・・・・・・――う、ううううう噓でしょ!?ヒィアート知らないとかあり得るの?!大昔からあるものなよ!?どうやって生活してるっての!?」

凄まじい動揺の仕方に、皆が少し身構えた。昨日もそうだったが、コスプレイヤーが妄想設定を捻りだしているとは思えないほどのリアクションである。

「どう・・・って?電気とか・・・ってこと?」恵が、エールの問いかけの一つに応えた。

「電気?!電力ってこと?!そりゃあるけど、ヒィアートに比べたらコスト掛かりすぎるでしょ?!」

エールが畳みかけるように言葉を並べる。

「その、ヒィアートってのはエネルギーとかの類ってことかい?」出流が眉を潜めて問いかけた。

しかし、その問いに答える前にエールはポカンと口を開けたままに、再び声を失っていた。

「・・・―――ど、どうなってるの?いくら銀河の果てでもヒィアートの存在を知らないなんてあるわけないし・・・いったいここどこなの・・・?」

そうしてグルグルと目と思考を巡り回らせて、ブツブツと呟くエール。

そんな彼女に今度は亨が一歩踏みよって声を掛けた。

「・・・よし、エル子。こうしよう――小さい子供に教えるみたいに、俺たちにお前のいた場所のことを事細かく話してくれ」

「ほ、本気で言ってるのそれ・・・?」エールが引き気味な顔で亨を見て言った。

と、そこへ。

「お願いエールちゃん、話してくれたら次はアメコミ映画見せてあげるからさ」華蓮が続いた。

「教えましょう!!」

即答だった。



                          ※


それから、エールによる饒舌な説明会が始まった。

「だからね、ヒィアートってのはどこにでも誰にでもあるクリーンエネルギーで、宇宙中どこでもヒィアートを動力にしたツールで溢れてるのよ!ま、ツールのおかげでできないことも少ないから、魔法族の魔法も特別扱いされてないってわけだけど」

ペラペラと口早く言うエール。その脇では華蓮が何本かDVDをチラつかせている。

「つまり万能エネルギーか」出流が呟いた。

「ねぇ、エールちゃん、ツールって?」恵が聞いた。

「ヒィアートで動く道具のことよ、私の翻訳チョーカーとか、トールの持ってるサポーターも、それと昨日の飛んでったボーダーとかね」

自分の首元と亨を指差してから、人差し指を立て自慢げに応えるエール。寺の庭先で行うそれは説法会と、言うにはただ小煩いだけだが、少女は嬉しそうに話を続けていた。

「万能エネルギーで動く超科学アイテムか・・・――介護用だけど」

ケントがぼそっと言って、昨日から持っているサポーターをポンポンと手の上で遊ばせている。

「・・・ふーむ。まぁ、それなりにわっかたような気もするけど」と、出流が少々不満げな顔をしながらも言い「それで、魔法ってのは?」と問いかけた。

それに対して、亨も恵も「そうだよな」と頷いてエールの方を見た。

「おい、エル子、飛んでみろよ」亨がぶっきらぼうに言った。

「なにそのカツアゲみたいな言い方?」エールはぶすっとした顔で言うと、強く亨を睨みつけた。無論横から恵によって軽く小突かれた亨は、しぶしぶ言い直して、出流のために魔法を披露してくれと頭を下げるのだった。

「・・・えぇ、うーん、まぁ、いーけど。また箒かぁ・・・バランスとるの面倒なのよねぇ」

承諾しつつも、持っていた箒に目をやったエールの表情は少し強張っていた。

「へぇ、魔法使いはみんなスイスイ乗れるもんだと思ってたけど・・・違うんだ?」華蓮が唯、思ったことを問いかけた。

「うーん、乗れるは乗れるんだけどさぁ・・・どっちかというとクラシックというか、レトロというかオールドタイプな感じ?若者向けじゃないってのかなぁ――とにかく操作が面倒なのよ」

肩をすくめたエールの言葉が続く。

「『田舎じゃ乗れたほうが仕事でも使うことあるから便利だぞ』、とかって言われるけど――正直、微微妙なとこなのよね」

「・・・マニュアルとオートマみたいな差ね」華蓮がボソリと呟いた。

すると。

「だから!」エールの声が突然大きくなった。

「箒以外でなんかないの?大きめの板とか、布とかでもいいけど?」

言いながらにエールは亨や恵達に視線を送る。しかし二人ともに、そんなもの持っていないと首を横に降った。一方で出流は、何かを見つけたのかどこか一点を見つめていた。

華蓮のことであった。

その視線の先を追ってエールも華蓮を見やると、ちょうどいいものを羽織っているの気がついた。

「華蓮さん!それ貸してよ!」

「へ?!それって?袈裟のこと?」

エールが指差したのは華蓮の羽織っていた坊主の袈裟であった。

ただ一枚上から羽織っているだけで、下は何の変哲もない普段着出る。なんちゃって僧侶の代名詞とも言えるスタイルが崩れようとしている瞬間であった。

「だ、だめよ!これ一着しか無いし、クリーニングだしたら結構するんだから!」

「ダイジョーブ!汚さないから!」

「・・・昨日は川に落ちたけどな」

亨の余計な一言にエールが再び眼光を鋭く睨みつけた。

「あの時は箒だったし、重量オーバーだったからよ!」

しかし、そうやってエールが亨の方へと意識を向けている間に、華蓮はすぐさまに寺の方へと駆けると、またすぐに戻ってきてエールの足元に何かを置いた。

「・・・は、はいこれ・・・これならどれだけ使ってもいいわ」

小さく息を切らせながらに言って、持ってきた何かをエールに使うように促した。

「これって・・・新聞?」エールが首をかしげて、足元の何かを拾い上げた。灰色した紙の集まりが何束も置かれて、バサッと広げれば少女の背丈の3分の1ぐらいにはなった。

 一面、二面に番組欄。スポーツ、経済、地域情報、おくやみ欄、更には途中まで解かれた数独なんかも垣間見えるが、そんなものはどうでもいい。

「エールちゃん、どう?」

「・・・で、できると思うけど・・・」

華蓮の低めな声に、すこし声が詰まって応えるエール。

「・・・・・・・紙か」

そして困った顔で小さく呟いた。


                            ※


「おぉ、本当に飛んでるぞ!」

空に舞い上がった新聞紙の束に出流が感嘆の声を上げていた。

もちろん、その新聞紙の上にはエールが乗っかっており、長い金髪を揺らしながらに険しい表情を見せていた。

「や、破れないでよ・・・」

足元の新聞紙に向けて『頼むぞ』と真剣な眼差しのエール。空を飛ぶことよりも、新聞紙が破れて落っこちないかと、その心配が彼女の思考をいっぱいにしていた。

しかし、亨達にはその切迫した状況はいまいち把握しきれないでいた。そんな中をエールは慎重に空飛ぶ新聞紙を操作して高度を上げていく。

「ねぇー!これで私が魔法使えるってわかったでしょ?!」

そして丁度、本堂の屋根ぐらいの高さからエールが地上向けて問いかけた。

「おー!もういいぞ!出流も納得の出来だ!」

と、亨が横に立って空中浮遊の凄さに騒ぐ親友の代わりに応えた。

「だから言ってるでしょ!魔法族だって・・・――ん?」そうして、やれやれと空飛ぶ新聞紙を下降させようとしたエールだったが、ふと本堂の屋根の方に違和感を覚えてそちらを見やった。

「・・・なに、あれ?」

見えたのは、屋根の上に浮かぶ妙な物体であった。

気になったエールは新聞紙を操作して、ふよふよとそれに近づいて行った。

「んー・・・?」

首をかしげ眉を潜めては物体を覗き込むエール。それは見れば見るほどに奇妙だった。屋根の上、つまりは宙に浮いた形で、掌サイズの直方体の一部がはみ出しているように見えた。

「なんじゃこら」好奇心と興味本位の本能が赴くままにエールはそれに手を伸ばし引っ張ってみた。

グイッ!と手元に引くことで、物体はすんなりとエールの手に収まった。

「え!?これって!」

しかし、それは彼女に小さな衝撃を与える形になった。

「私のスマートツール!?」エールが叫んだ。

引っ張り出した物体はやっぱり直方体で、表面いっぱいに液晶のような画面が配されていた。

しかし、エールの衝撃は手にした物体の跡にも続くものがあった。

「・・・そ、空に穴が・・・!」

直方体を握りしめながら、それが浮かんでいた後を見て何度か瞬いた。物体を引き抜いた後の中空には、なんと小さな穴が開いていた。空の色とも違う禍禍しい背景が穴の向こうに見え隠れしている。

 一体全体、この宙に空いている穴はなんなのか。謎と謎が続くことにエールの好奇心はまた高まって、今度は小さな穴を覗き込もうと近寄ろうとした。

その時。

ビリビリビリ!!

「げ!!」

意識を穴の方に向けすぎてしまった。遂に限界を向けた新聞紙が彼女を支えきれずに、見事に破れてしまったのだった。

 瞬間、少女らしからぬ声を上げてエールがすぐ真下にあった本堂の屋根に落下、そのまま下り坂の瓦屋根を転がってしまった。

「エールちゃん!」恵と華蓮が叫んだ。

「華蓮さん!梯子を!早く!」亨は迅速に対処しようと指示を飛ばした。

それに急いで頷いた華蓮はエールの救援のためにと梯子を用意するのだった。


                             ※

 

「大丈夫か!エル子!」

本堂の屋根の上へと亨が率先して昇ってきた。あとから恵、出流、華蓮と続いて屋根瓦に転がるエールに歩み寄った。

 斜めな足場に注意して近寄ると、ちょうど破けた新聞紙が飛び散っていくところだった。

「いたたた・・・」

と、当の本人は打ち付けた腰を擦りながらも身を起こすと、亨らに『気にするな』と手で合図してそのまま屋根の上の方を指差した。

 それに皆の視線が移動した。

「な、なんだあれ?」「空に穴が開いてる?」亨、恵と呟いてあとの二人も同じ思いだと頷く。

「これが挟まってたのよ」と、エールが手にしていた何かを皆に見せた。

「・・・へぇ、なにそれスマホ?」出流が聞いた。

「スマ・・ホ?それがなにかわかんないけど、これはスマートツールって言って通信やネットもできるツールで今じゃ誰でも持ってるものなのよ」

「ふぅん、じゃ、やっぱりスマホじゃん」エールの説明に華蓮が相槌を打って応えた。

 あまり驚きを見せない華蓮や出流に向けて小さく咳払いをすると、彼等を押しのけて空にあいた穴がよく見えるところまで足を進めた。

「エールちゃん?これも、魔法やヒィアートっての類なの?」恵が尋ねた。

「う、うーん・・・少なくても魔法じゃないと思うけど・・・――この模様どっかで見たような」エールが穴を覗き込んでは応えた。

 穴の向こうに見える青白い空間。奇妙な斑と幾何学模様の筋が入り組んでいる。その不気味で摩訶不思議な光景を、エールはどこかで見たような気がして首を傾げた。たしか、ツールの片付けをしていてた、あの時。

眉間に皺を寄せ考え込むエール。と、次の瞬間。

ピピピピピピピ!!!

エールの持っていたスマートツールが甲高い着信音を奏でだした。

「わっ?!」

思わず驚いて声を上げたエール。慌ててスマートツールの画面を操作するために確認をすると、そこには1人の女性が写真が画像として映し出されていた。

「リーナス!?」エールが再び大きな声を上げて映し出された女性の名らしきものを叫んだ。

 しかしその女性は赤い肌に真っ白な長い髪をしており、知的な眼鏡をかけているとはいえ、とても地球人と同じ人間には見えなかった。コスプレか特殊メイクか、そういった類のものに扮装しているのだろうとしか亨達には考えつかなかった。

「も、もしもし!リーナス!?これ繋がってるの?!」

と、唖然とする徹達を放っぽって、エールはスマートツールを画面を操作しマイク部分目掛けて声を荒げた。すると。

『やっと出ましたか、エールさま。いったいどこにいるんですか?緊急用の信号まで使わせるなんて、そんなに博士の引っ越し手伝いが嫌でしたか?』

赤い肌の女性が、テレビ電話よろしく画面内で身動きして喋りだした。知的な眼鏡を触りながらに落胆の声をだしては、画面越しにエールに呆れ顔を覗かせていた。

「ち、違うわよ!事故よ!博士のバリア装置倒しちゃって・・・!それで変な稲妻に巻き込まれて!」

エールが弁明を込めて早口で応えた。

『バリア・・・?あぁ、そういえば倒れていましたね――直しておきましたけど・・・それが原因でサボり中だと?』エールの意思は伝わらずリーナスから冷たい言葉が飛ぶ。

「だから事故だって!そのせいで別の太陽系にまで飛ばされちゃったのよ!たぶんワープツールかなんかが起動したのよ!」

『・・・・・・たしか、あの中にワープの類のツールはなかったはずですが・・・』

「へ・・・?」

その言葉にエールはキョトンした顔を見せては目を瞬かせた。ここに至ったはずの理由がひとつ崩れ去ってしまったからである。むむむ、頭を抱えるエール。

 すると、そんな彼女の隙をついて亨が割って入った。

「こ、こんにちは!」と、悩むエールの代わりにスマートツールを覗き込んで挨拶をしてみた亨。しかし、リーナスから返答はあったものの『◯△□☓?』と、何語かわからない言葉で返されて固まってしまった。

「・・・な、なんて言ったんだ?」出流が亨に問いかけた。

「わ、わからん・・・」亨が首を横に振る。

「エールちゃんが、首輪してないときに使ってた言葉に似てたね」

「あぁ、言われればそうかも」

恵と華蓮が軽く推測しながらに呟いた。

と、そんな亨達の割り込みを奪い返すように顔を赤くしたエールが、リーナスの映る画面を掴まえた。

「そんなんじゃないから!トールは唯の恩人のひとりなの!!」

それまで悩んでいた表情など吹き飛ばして怒り顔のエール。その台詞と顔を赤らめているのに亨以外の3人は、だいたい何を言われたのかを察するのだった。


 「と、とにかく!こっちからは自力で帰れないのよ!恐ろしく技術のない星でね・・・ヒィアートすら知らないのよ?」

『・・・まさか、そんな星が存在するはずが・・・』リーナスが難し顔で言った。

「あるのよ、それが。で、地球って星なんだけど――銀河地図もないから位置も把握できないわけ、だからさ、そっちで調べて迎えに来てくれない?ほら、あの鳩の便利屋さんいたじゃない?」

『地球・・・―――聞いたことありませんね・・・わかりました、調べてみます。少々お待ち下さい』

そう言うとリーナスは画面からいなくなって、画面は暗くなり通信は終ってしまうのだった。

ふぅ、と一息ついてスマートツールをポケットにしまうエール。しかし、そんな彼女に今度は亨たちからの質問攻めが待っていた。

 「お、おい!今の誰なんだ?!なんて言ってたんだ?」亨が聞いた。

「あ、そうか。あんた達には翻訳されてないからわからなかったのね」とチョーカーを触りながらにエールは小さく頷いた。

「今のはリーナスって言って、私の家庭教師の助手よ。親戚の家の執事でもあるわ」

「そのリーナスさんって、・・・あの、地球人なの?」今度は恵が聞いた。

「え?どー見ても違うでしょ。ナントカ族って頭のいい種族でね、博士の発明のほとんどを手伝ってるのよ」

恵の問にすんなりと否定の答えを与えて、エールが少々自慢げに言う。

「・・・う、うーん、とりあえずエールちゃんの知人と連絡が取れたってのは一歩前進なわけでしょ?」そこへ華蓮が、話をまとめようとズイッと前に出た。

「じゃ、一度母屋に戻って話さない?屋根の上で話し込んでたらお父さんが五月蝿いからさ」

「そ、そっか・・・まぁ、通信はできるわけだし」

スマートツールを確認してエールが華蓮の提案に頷いた。

 そうして皆は屋根から降りようと、ハシゴの掛かった下方部分にまで足を進めた。

ちょうど、その時。

ピピ・・・ピピ・・・・ピ・・・・ピ…ピ・・・・・・・・・・・・ピ

再びエールのスマートツールの着信音が鳴った。しかし、今回はなぜだか途切れ途切れで、まるで電波の届かないエリアで鳴っているようだった。

「リーナスからだ!・・・けど、なんでこんな信号が弱いの?」

「さっきとなにか違いでもあるのか?」出流が気になって問いかけた。

しかし、よくわからないと首を横に振ったエールはスマートツールを片手に持つと、そのまま信号の回復する位置を探して動き出すのだった。

 と、言っても先程から移動距離など他愛のないもので、結局はさっきの空に小さな穴のあいた位置にまで屋根をまた登る結果になってしまった。

「も、もしもし!リーナス!?」

『エールさま?』

再び同じような澄ました顔のリーナスが見れて安堵の息を漏らすエール。それに首を傾げるリーナスが見えたが、エールは改まって「それで?」と問いかけた。

『やはり地球という星は見つかりませんでした』

「じゃ、まだ地図にのっていない星ってこと?」

『いえ、その可能性もありますが・・・それよりも古代文書にそれらしき一文を見つけました』

それを聞いた瞬間、エールは顔が引きつって少しだけだが固まってしまった。

「この話、長くなる?」『短くしろと言うのなら、4コマ漫画ぐらいにしますが?』

リーナスの冗談を聞きながらに、エールはまた頭を抱えた。下方では亨や華蓮たちが、母屋に戻ろうと待っている。もちろん、それに従いたい気持ちもあるが、なにより先に話を聞いてしまい気持ちの方が勝っていた。

「うーん、リーナスちょっと待ってて」と画面に向けて謝ったエールは、くるりと振り返って亨たちを見やった。

「ごめーん!先戻ってて!後でいろいろ説明するから!」

と、声を張って皆に言うエール。それに亨たちは手をあげ「わかったぞ」と合図を送ると、華蓮を先頭にハシゴを降っていくのだった。

 そうして全員が屋根を降りきったところで、再びエールはリーナスとの会話を続けるのだった。


                           ※


本堂の屋根の上で一人、スマートツール相手に睨めっこするエール。

画面の向こうでは知人であるリーナスが何冊か分厚い本を用意して話を始めようとしていた。

「・・・で、結局どういうことなわけ?」

『はい。簡潔に言えばエール様がいる場所は古代神話に出てくる星の名とよく似ています。チ・キュー、ガイヤー、アス、テッラ・・・などなど古代史の中にも時々出てくる程度ですが』

リーナスがパラパラと分厚い本をめくって見せて難しい文章の山を見せつける。

「こ、古代・・・って、それじゃ何?私は大昔にきちゃったてわけ?ヒィアートすら見つかってないような?」

『それは確証がありませんが・・・エール様は博士のバリア装置を一度解除しましたよね?』

「・・・う。し、したけどそれは事故で」

『おそらくその時に『空間亀裂』が起こったはずです』

「く、クーカンキレツ?あの青白い稲妻の事?」

『そうです。バリア装置はそれを抑えるためのものです。ご存知ですよね?』

周知の事実だろう。と問いかけられて、なんとか笑ってごまかすエール。

「ししし知ってるってそれぐらい!それでそれが何でタイムスリップに繋がるのよ?!」勢いでリーナスの疑惑の目を乗り切るエール。

『これは博士の確認を取らないとわからないことですが、亀裂の走った後には言わば簡易的なブラックホールが発生するのです。それは一瞬の出来事で、見た目には稲妻が走ったと同時に近くにあるものが消失してしまいます』

そう説明されてエールはようやく合点がいったと大きく頷いた。

「な、なるほど。それに巻き込まれたわけだ――それが、つまりは私は消失しないでここに飛ばされたと・・・」

『空間亀裂にそこまでの作用があるのならばの話ですが』

低くも冷静な声で告げるリーナスにエールは、画面に顔をこれでもかと顔を近づけた。

「タイムスリップだろうとなんだろうと、原因はわかったわけだし――早く迎えに来てよね」

『無理です』リーナスの心無い返答に、エールがギョッとして目を見開いた。

「なななな、なんでよ!?」

『当然でしょう?時間移動ですよ?博士や魔法族、それに古代人にだって成しえなかったことですよ?どうやって可能にしろというのです?』

「じゃ、私はどうやってここに来たのよ?!」

『そこです』と、叫ぶエールとは対照的に静かな声でリ―ナスが告げた。

『第一、この通信はどうやって行われているのか?そもそもいくら災害時緊急信号であっても他の太陽系にまで届くはずがないのです』

「な、なるほど・・・」その言葉に頷くエール。

『少し周りの景色を見せてくれませんか?』と、画面の向こうでリーナスが提案した。エールは言われるがままスマートツールのカメラ部分で屋根の上の景色を存分に映して、彼女のリクエストに応えた。

『・・・・・・・・・・・なるほど。全く知らない文化だろうというのはわかりました・・・が、その空に空いてる穴はなんですか?』

やはり、と言うべき問いにエールも困り顔を見せた。

「それがわかんないのよ。スマートツールはここに挟まってたし・・・あと、ここから離れたら信号も弱くなったの」

『・・・ふーむ・・・おそらくは空間亀裂の名残でしょうね。それのおかげで、こちらとの繋がりを保っているのでしょう・・・だから通信の際はこの穴にかなり接近しないと行えない』

「え?じゃ、リーナスと話すときは、いちいちこの屋根の上に登らないといけないの?」

『あら?屋根の上でおしゃべりなんてロマンチックじゃないですか?』

「・・・そーかなー・・・面倒くさいだけだと思うけど」リーナスの冗談に愚痴ってはエールが溜息をもらす。


 『――さて、この繋がりを保っていれば時間移動と空間亀裂の関係を調べることもできるでしょうしエール様をお迎えすることもできるでしょう・・・けど問題はそこではありません』

「も、問題?!」

と、突然のリーナスからの忠告に目を丸くしては瞬くエール。

「さっき言いましたよね?空間亀裂は近くのものを消失させると?――つまり、巻き込まれたのはエール様だけじゃなく、傍にあったいくつかのツールも一緒にそちらに送られている可能性があります」

「・・・あ」エールはサポーターとフライボーダーを思い出して声を漏らした。

「あ、あるわ・・・今のところ二つ・・・」

『やっぱり』リーナスが溜息交じり言った。

『いいですか?もしもその『チキュー』が古代神話の舞台、つまり過去の世界だとするなら歴史改変を起こすような事態は避けるべきです。ヒィアートさえない時代にツールだ魔法だと騒ぎを起こせばなおのことです』

「そ、そうよね・・・その通りだわ――ははは・・・」

内心「早く言え」と顔では笑って応えたエール。既に空を飛ぶ魔法を見せたし、亨はサポーターを使っているし、ボーダーについては何処かへと飛んで行ってしまった。もはや取り返しがつかないのではと、思いながらに冷や汗が垂れる。

「ち、ちなみにどのくらいこっちに来てるかわかる・・・?」

『まだ数えていませんが、それも後で報告します。ですから、今はツールの探知のためのアプリをそちらに転送します』今度はリーナスが画面に近づいたかと思うと、なにやら指先で操作しており、次には画面の上部に『受信完了』の文字が流れた。

「・・・あ、あのさ・・・つまりこれはツール集めをしろってこと?」

『そうです!でなければ、今の未来が消えてエール様も消えるかもしれないのですよ?』

「だ、だよね・・・あはは・・・」がっくりと肩を落としてエールが深いため息をつく。

『安心してください博士にはすぐに働かせますから!それでは検討を祈ります!』

「あ、ちょ・・・!リーナス!」

それだけ言って通信が途絶えてエールはひとり屋根の上で呆然としていた。

 結論だけ言えば、大昔にタイムスリップしてしまい、歴史を変えないためにもツールを集めろということだった。それも可能性の話ではあるが、どうにも気が進まないでいた。

「・・・さぁて、どこまで説明したものか」

そう呟いてエールは気落ちした体を動かすと、屋根を降りるために再び梯子へと向かった。


                           ※


 母屋の軒先に集まって、亨たちはエールの戻りを待っていた。

恵は心配そうに本堂の方を見やっていたが、他3人はそうでもなく、華蓮はゴシップ誌を読み漁り、出流はチラリと見たリーナスが巨乳だったという話を熱心に亨に言い聞かせていた。亨も亨で、それを話半分・・・否、八割りほどには聞いていたが、恵の静かな殺気を感じて彼女と同じく視線を本堂に向けていた。

そこへ。

「戻ってきた!」恵が声を上げた。

その声に皆もそちらに顔を向けると、腕組をしてブツブツと呟きながらのエールがこちらに歩いてきているのが見えた。

「よ、どうだったエル子?」亨が聞いた。

「あの赤い人、迎えに来ててくれるって?」華蓮も続いて問いかけた。

「え・・・あ、うん。迎えには来てくれるんだけど・・・時間がかかるっていうか」それにエールが表情を曇らせて応えた。

「それでも帰れるんでしょ?にしては浮かない顔だね?なんかあったの」今度は出流が優しく聞いた。

「あぁ、ここが過去の世界とかツール集めなきゃって面倒くさくて」と、そこまで言ったときエールがハッとした顔を見せて「あ!」と声を漏らした。同時に曇っていた表情が青くなって、冷や汗が噴き出した。

 もちろん、妙なワードが飛び出しことに今更驚きはしないが、気になって亨たちは眉を潜めた。

「過去の世界・・・?」「ツール集め?」亨と出流がつぶやくが、エール自身は「しまった」という顔を見せて口を噤んでいた。

「なになに?エールちゃんマジで未来から来たの?テイ八百系?液体金属系?最新の粒子系?」華蓮が面白がって尋ねた。

「あぁ、あの、それは、その・・・可能性の話というか・・・――禁則事項というか・・・」

急にしおらしくなって、言葉を選んでいるのがまるわかりのエールに亨らは「おいおい」と息をついた。しかし、皆の思いと逆らうように恵が強い眼差しを宿してエールの手を取った。

「お願いエールちゃん!詳しく話して!私たち、あなたのこと全力で協力するから!」

「め、メグちゃん・・・で、でも話すわけには」

と、熱い恵の言葉に心が揺れるエール。だが、そんな恵の背後で華蓮がなにやらガサゴソ動いているのが見えた。亨らも気になってなんなのかと確認した。

 そこには真面目に説得中の恵とは真逆の行為を行う華蓮の姿があった。誰もが知る『ドラゴン』のカンフー映画のDVDをチラつかせてはエールに見せびらかせていた。

それを見てエールの揺れていた心は、すんなりと決まってしまうのだった。



母屋の縁側に集まって、エールはリーナスからの話をかなり嚙み砕いて説明した。

既に脇には華蓮から借りたポータブルDVDプレーヤーが設置され、カンフー映画も絶賛再生中であった。

「・・・ふーん、それじゃこのサポーターみたいなのを探さないといけないのか?」

「え、あ、うーん。まぁ、そんな感じかな」

ポリポリと煎餅をかじりながらにDVDに夢中のエールは、亨の言葉など右から左に聞き流しては答えていた。

「なーんか面倒なこと押し付けられちゃったのねエールちゃん」

「そーなんですよー・・・ポリポリ・・・――あのまま帰れると思ったんですけどね・・・」

華蓮も一緒になって煎餅をつまんではDVDを眺めている。カンフー映画を初めて見るエールへと解説を入れながらにあれこれと妙な情報を吹き込んでいる。

と、事の大変さと、何よりエール本人が本腰を入れていないのに恵がまた心配になって口を開いた。

「エールちゃん!それでツールってのは、どこにあるの?」

「ふぇ?」

恵の真っすぐな声に、やっとDVDから視線を外したエールが彼女へと目を合わせた。真剣なまなざしが飛んできて、ちょっぴり気まずい気持ちになってしまう。

そうして脇から華蓮がそっと指を伸ばして一時停止のボタンを押したのを横目に確認すると、改めて恵と向き直ったエール。

「・・・それが、その・・・わかんないのよ・・・リーナスは向こうで調べたら連絡するって言ってたけど」熱い思いの問いに対して、肩を透かした答えになってしまってエールが頭を掻いて申し訳ないといった顔を見せた。

「なにか簡単な検索方法とかないのか?そのヒィアート?てのを辿るとか?」そこへ出流が聞いた。

「・・・・・・・――それに特化した種族なら行けそうだけど・・・私にはなぁ―――・・・」と、呟いたエールだったが、最期を言い切る前にハッとした表情を見せ「あ!」と声を上げた。

「そうだ!リーナスがアプリを送るとか言ってたっけ!」

すると急いでスマートツールを確認するエール。シュッシュッと素早く画面を操作して目当てのアプリアイコンを探し出す。

「これだ!」

そして、ついに見つけたのかひとつのアイコンをタッチした。同時にスマートツールの画面上に半立体の映像が浮かんで、ソナーのようなレーダーが映し出された。

無論、その半立体という近未来的な技術に皆の感心の声が上がっていた。

「おぉ!すごい!立体映像か!メガネ要らずのやつか!」

「でもこれ平面画像が浮かんでるって感じだから、正確には立体映像じゃないんじゃないか?」

亨、出流と新しい玩具を見たような嬉々とした目でエールのスマートツールを覗き込んだ。しかしそんな浮かんだレーダーを睨みつけて、エールがせっせと触っては何かを確認していた。

「・・・そっか、これ博士作のツール探知機か・・・と、いうことは私のチョーカーとこのスマートツールは映らないから・・・」

ぶつぶつ言いながらに、どんどんレーダーを操作していく。そして。

「え、と、これがフルサポータ―の反応ね」

レーダーにひとつ赤いポインターが現れたのを見てエールが呟いた。

彼女から見て目の前に亨。そしてレーダー上でもちょうど亨がいる位置でポイントが点滅している。

どうやら正常に起動しているようで、ホッと胸を名でおらしたエール。そうして次には、未発見のツールが探知できないかと、設定を広範囲へと変更しだした。

「・・・うーん、あのフライボーダーはどこまで行ったんだろ?」

何度か探知範囲を拡大してみては新たな反応がないかを確認するエール。だが、やはりというべきか何処へと飛び去った星型円盤ツールの行方は知らずのままであった。

「・・・・まったく・・・――ん?」

「なにかあったか?」

すると、レーダー操作に小慣れてきたエールの手が止まったことに亨が問いかけた。

「・・・あった・・・!こっちの方角!!」

レーダーを確認して新たなポイントが見つかって方角を指さすエール。みんなの視線もそちらへと集まってしまう。

「・・・昨日の、あの円盤が飛んで行った方角とは違うな」亨が思い出して言った。

「別のツールってやつなのかもな」出流も腕を組んでは賢そうに見えるようにすました顔で言った。

「ねぇ、あっちて何かある?」

と、指さしたままでエールが皆に問いかけた。

「あぁ・・・最近できた黒木屋って居酒屋があってねアラサー女子の間で」

「・・・小さいけど動物園とかあるかな」

華蓮の声をさえぎる形で恵が言って応えた。

「・・・ほほぉ・・・動物園――かぁ」

するとエールは首元のチョーカーを自慢げに撫でながらにニタリと笑った。



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