呼ばれた理由は?
ブランコスの件が片付いて、リリシャから羊皮紙で連絡が来たので俺達は一度、新トント王国へと向かった。
様々な種族の助力で、綺麗に整えられた町並みは活気で溢れており、以前のトント王国とはいい意味で違う国になっているのが分かる。
俺らは、すぐに建設途中の王城へ向かい。
待っていたリリシャと一緒に客間へと通される。
客間の真ん中に机があり、両側に三人掛けの椅子が設置されている。
誰が椅子に座るかとじゃんけんをする。
タマは遠慮してじゃんけんには参加しなかった。
俺とセレス、アリ、チィエラでじゃんけんした結果。
チィエラがタマと一緒に立っていることに。
リリシャが自分のとなりに座ってもいいというが、タマは、立っていたほうが何かあった時にすぐに反応できるからと言って断り。
チィエラは、座るなたカイトの腰の上がいいっちとかバカの事を言うので、一発殴っておいた。
ちなみに殴られた後のチィエラは頬を火照らせていた。
まぁ、とにかく俺、セレス、アリが、リリシャに向かい合うように座って、タマとチィエラが俺達の背後で立っている。
そして、一枚の紙をちらつかせながら、話しを始めようとするリリシャ。
「カイトさん」
「嫌です」
「話聞いてもらないですか?」
「嫌です」
リリシャの話しを聞くことなく、俺は断り続けた。
客間が静寂に支配される。
その静寂を破ったのは、俺達をここに呼んだ当の本人リリシャだ。
「じゃあ、なんでここまで来たんですか?」
「以前、キスされたときの事を蒸し返そうと思いまして」
「あっ! あれは! 助けてくれたお礼ってなだけです!」
「ほうほう~、リリシャはお礼で男にキスをするのか~」
顔を赤くして目を反らすリリシャ。
リリシャに言葉攻めにしていると、左側に座っていたアリが、リリシャから見えない位置で俺の足に爪をたてる。
「いったい! 何すんだよ!」
「にゃ~? にゃんの事だにゃ?」
「こんのヤンデレが! もっとまともな愛情表現はねーのかよ!」
「愛情表現じゃにゃいにゃ、お灸をすえているんだにゃ、悪いわるーいカイトに」
「うっ、その目こわ……」
俺が、闇一色に染まったアリの目を俺は直視できなくて、右隣に座るセレスに目を向ける。
「せ、席変わって……」
「嫌よ、私が殺されちゃうでしょ」
「神具のおかげで死ぬことはねーから、俺と席変わってくれ!」
「カイト! あたちが変わるっち!」
「お前じゃんけんに負けたんだから、素直に立っとけ」
「違うっち! あたちがアリと席を変えるんだっち!」
「いいアイデアだ! よし来いって言うとでも思ったか! この変態ドワーフが!」
俺は、手で謎の上下運動をしているチィエラの意見を跳ねのけて、タマのほうを見る。
「タマ、アリと席を変わっtいだだだだだだ!」
「にゃんで私が、席を変わらなきゃきけにゃいのかにゃ?」
「えぐれるえぐれる! 見えちゃいけない物がみえちゃうから!」
「カイトがこれ以上余計な事をしにゃければ、私も素直に座ってるにゃ」
「まず、その闇に染まった目に一指しの光を灯してから、もう一度今の台詞を言おうか」
呆れ顔のリリシャが一枚の紙を取り出しながら、話しを前に進めようとする。
「えーっと、それでですね、皆さん」
「いや、嫌ですって言ってるじゃん、俺達はこれから少し休暇をもらうんだよ」
トント王国で捕まっていた奴隷の子供達は全員故郷に戻したし、ドワーフ王国、タイタニア、帝国の三国の同盟にも手を貸したし。
ドラゴンの裏切り者も倒した。
いい加減俺達は、休暇に入ってもいいじゃないか?
そもそも俺は、平穏に暮らしたかったんだ。
もういいだろ?
この世界に十分貢献したろ?
なら、もういいじゃん……、皆皆幸せになりましたエンドに向かって走りだしてもいいじゃん。
リリシャは、俺の言葉を無視して、手に持っていた紙を机にバンっと置く。
その紙を見てみると……海水浴の招待状と書かれていた。
「こ、これは?」
「えーっと、その……ちゃんとしたお礼ということで、皆さんにゆっくりとできる休暇でもと……」
「マジで?」
「マジです」
「ほんとに?」
「ほんとです」
「実は、何か問題のある海とかって言う落ちじゃない?」
「違います」
俺は、リリシャの顔をまじまじと見つめて、招待状を受け取ると、その招待状を二・三度見つめて、顔を明るくさせてバッと立ち上がる。
「よし皆! 休暇だ! 行こうぜ海!」
「ほんと! 海で休暇だなんて、最高じゃない!」
笑顔で両手を上げるセレス。
「にゃ~! 水着買わにゃきゃだにゃ!」
自分の胸に手を当てながら、目を闇に染めていくアリ。
「ぐふふ、あたちは……ギリギリの物を……じゅるり」
よだれをたらしながら、俺の股間を部分を見つめるチィエラ。
「お前は、水着禁止な」
「っち」
「今舌打ちしたか?」
「してないっち」
「殿、私が皆さんの分の水着を買ってきます」
ひざまずいて今にも部屋を出て行きそうなタマ。
「おいおい! 待ってタマ、わざわざ買う必要ないって、俺がみんなの水着を作ってやる!」
俺が、全員が体をピクっとさせて、動きを止める。
「へ~、どうやって?」
セレスが、拳をポキポキと鳴らす。
「教えてほしいにゃ~」
アリが爪を研ぐ。
「分かったっち!」
その場で服を脱ぎ始めたチィエラ。
「チ、チィエラ!」
服を脱ぎ始めたチィエラを止めに入るタマ。
「そ……そりゃ~、採寸する必要があるだろう……」
俺が、笑顔の状態で顔をぴくぴくと痙攣させる。
「へ~、アリ、この変態面白い事言ってると思わない?」
「思うにゃ~」
「ちょ、ちょっと待てよ、今までも何回かお前らの服を作ってやったことあったろうが、なにが問題なんだよ!」
「「問題しかないでしょ(にゃ)!」」
俺の発言に二人が、殴りかかってきた。
二人にぼこぼこにされた俺は、その後水着の代金を全部払わされたのだった。
皆さんどうもタライです!
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んじゃね~




