本物の英雄
「…ここ、どこ?」
セレスがそう溢すように言うのと同時に、他の者たちも周りを見始める。
比較的近場にいたアリが、セレスのもとに駆け付けて
そして、続いてチィエラと、タマがセレスのもとに集まる。
モーノは自分の猿たちにお願いして、周りの確認を任せているようで、まだセレス達のところに集まるほど手が空いてないようだった。
しばらく、そこで待っていると
「よぉ」
空から、カイトが降りてきた。
地上に軽く着地したカイトは他の皆にここがどこなのかと、そして自分が何をしたのかを説明し始めた。
「まず、最初にワープした。マリオネットでマーキングを作ってそれから、国ごとね」
「国ごとって、あんたほんとにわけわかんない」
「うるせぇよ、セレス、黙って聞いてろ。」
「はいはい」
「んでな、サータンがプレート持ちのやつらに爆発する呪いをかけたって言ってたから…」
「爆発する呪いかにゃ!やばいにゃ!今すぐ逃げるにゃ!トンずらこくにゃ!」
「うるっさい!このバカ猫!落ち着け!」
「にゃ!バカはセレスだにゃ!私はバカじゃにゃいにゃ!」
「なんですって!このヤンデレキャットピープルが!」
「何するのにゃ!このエロフ!」
喧嘩を始めた、二人のアホは無視して、話しを落ち着いて聞いてる二人に向けて説明を続ける。
「そんでな、呪いをかけたって言ったから、マーキングした時に、呪いを解除できるように仕組んでおいた。そんで、ここはタイタニア付近の岩山だよ。」
俺がそう説明し終えると、タマがすぐに跪き
「さすが、殿!その知略、民を魔王の自爆から救うだけではなく、魔王に加担した反逆者にもお慈悲を与えるとは!このタマ、より一層の忠誠をここに誓います!!」
「う、うん、とりあえず跪かなくていいよ。」
「っは!」
「カイト~、そこは、面を上げてもいいっち、っていうっち!」
「おう~、俺の口癖はお前のように、なんとかだっち、とか変な語尾じゃないから、言いません~」
「変じゃないっち!」
「はいはい、変態子ちゃん、あちらに喧嘩中のお恥ずかしい仲間いますよ。」
俺がそう言って、喧嘩を続ける二人を指さすと
「「誰が、恥ずかしい仲間よ!」」
「お前らの事だ!周りを見やがれ!」
俺がそう言った途端に周りを見始める二人、周りではすでに幾人もの人が立ち上がっていた。
いまだ倒れている人は、ワープの衝撃に耐えられずに気絶している者が多いが、大半はすでに意識を取り戻している。
そして、その大半が俺らのほうを見て、口をあんぐりと開けている者がたくさんいた。
おそらく、セレスとアリの喧嘩を見て、呆れているのだろう。
「みんな、呆れてるな」
「いえ、殿あれは…」
タマがその続きを言う前に、口をあんぐりと開けていた者たちは、大手を振って、そして歓喜の声を上げる
そのうちの何人かが俺のほうに来ると
「英雄様だ!」
「空を駆け、大地を震わし、そして魔王を幾人も倒した唯一の人物!」
「英雄様よ!」
「意外とぱっとしないのね」
「おぉ、あのエルフ!すげぇ体!」
「あのキャットピープルの子も可愛いぞ!」
「なんだ、あの目つきの悪い高身長の女性は?すごい美人だな」
「ドワーフの子の胸でっか!」
なんだか、いろいろと声が聞こえるな…って
「誰がぱっとしないって!言ったやつ出て来やがれ!そこは嘘でも、きゃ~かっこいい!言ってみやがれ!」
すると、棒読みで近場にいた女性たちが…
「キャーカッコイイー」
「殺す!そこに並べ!このビッチども!」
「ちょっ!自分で助けておきながら、ちょっと情緒不安定過ぎない!落ち着きなさいって!」
今にも棒読みでそう言ってきた女性に殴りかかろうとする、俺を止める仲間達
「っていうか、英雄とかいうな!俺はお前たちを助けたくて助けたんじゃないんだ!ここにいる俺の仲間達を助けたくて、そいつらの居場所を守りたくてこの国を救った!だから英雄とかいうな!」
俺がそういうと、周りで、歓喜に震えていたトント王国民たちが一斉に黙る。
俺は、そいつらに背を向けると
「本物の英雄だ。」
「自分の功績を押し付けないなんて」
「なんか、顔は微妙だけど、カッコイイかも」
顔は微妙だとか言ったあの女性はあとで、分からせてやるとして
再び、歓喜に震える国民達
俺はそんな国民達に背を向けて、トント王を探し始めた。
ふぅ~、あと数話でトント王国転覆偏が終わる。
あぁ、のちほど章管理で変えておきますね。
だいぶ予定が狂わされましたけど、まぁなんとか綺麗に終われそうでよかったです。
終われるよね?うん大丈夫だ、きっと大丈夫だ。
などと、自問自答をしてしまう自分に若干引きながらも、作品投稿を頑張っていきます。
それでは、皆さん、もしもいいなって思ったら、感想、評価、レビュー、ブックマークなどよろしくお願いします。
そんじゃ、また明日。




