ハリエンジュ(ニセアカシア)
江戸時代の江戸は世界でも有数の大都市で100万人が住んでいたとされる巨大都市でした。
1次産業に機械が導入されるまでの時代では町を維持するのに周囲の農村では町の8倍の人口が必要とされ、町の周囲という表現も曖昧ですが陸上では馬や荷車の使用や街道整備、海上では帆の改良などによる船速の上昇などで周囲という範囲が広がっていきます。
現代の日本でも食料自給率や鉱石や原油などの原材料を海外からの輸入に頼っている状況で、現代の周囲は船や航空機の発達でほぼ世界中が周囲とないっている状況です。
100万人の江戸の人口を関東の周囲の村だけではできないため太平の世の江戸時代では海運が発達していき多くの物資が江戸に運ばれていきました。
今回はその中で重要となる薪や炭や板材となる木についてですが、燃料にもなり家屋の建材にもなる木は現代の石油の様なものと作者は考えています。
薪や炭が不足すると関連する鉄や塩などの物資が高騰し、さらに鉄や塩を使う物資が高騰するため現代の石油の様にすべての価格に連動する物が当時の木でした。
江戸中期の1700年代に1年間に各地から江戸に送られた炭は80万俵(1俵60㎏)で薪は2000万束とされ膨大な量が毎年各地から江戸に送られていました。
炭は俵に入れ、薪はひもで縛って輸送していたのでこういう表記になります。
広葉樹では萌芽更新といって切断した箇所から新しく成長していくので植樹などはせずとも30年程度で木は再生されますが、木の成長よりも消費される木の方が多くなったことで江戸時代末期では貨幣改鋳や外国船による世情不安が原因とされる物価の高騰が言われますが木材不足による高騰もありました。
そんな木がなくなって禿山だらけの明治時代に森林の回復のために外国から入ってきたのがハリエンジュです。
マメ科植物なので痩せた土地であっても根粒菌の働きにより成長していき、あまりにも早い成長のせいで現代では日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれ国主導で伐採などが行われています。
成長の早い植物として竹がよく上げられ竹は天に向かって上に成長する速度が速く横も早いですが、ハリエンジュはそんな比ではないほど横に成長しそして種でも成長していきネットで知らない間に家の裏に森が出来ていたという画像を見たのですが3年で小さな森になると言うのもわかるぐらいに早い成長速度でした。
1000人程度の小さな町であれば消費される木は問題ないですが、町が大きくなるにつれて飲料水の確保と木の供給地が近隣に必要な事が町の規模拡大に重要な要素となってきます。
江戸時代の様に太平の世ではない戦国時代において大量の木の供給地を近隣で確保できることを考えたらハリエンジュは重要な植物ですが、北アメリカ東側が原産地とされコロンブスが到達したのが東側なので早期に発見されたと思いますが用途がわからなかったのかオーストラリア経由でヨーロッパに入ってくるのも遅かったようです。
棘がある木なので見た目はわかりやすく、よく高速道路とかに生えてて毎年伐採しているのに毎年見るぐらいに1年であそこまで成長するのがハリエンジュです。
現代では燃料や建材が木から石油に変わった事で悪者という扱いになったりしますが、日本で作られる蜂蜜の蜜源は4割がこのハリエンジュとされていて養蜂にとっても重要な植物です。




