表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

製鉄

 日本の製鉄と言えば玉鋼を取り出せるたたら製鉄ですが、明治時代に入り鉄鋼を大量生産するために高炉と転炉が導入されたたら製鉄は縮小していきました。

 そんなたたら製鉄の利点を上げると鉄鉱石を原料とする高炉に比べリンや硫黄などの不純物の成分が少ない強度の強い鉄を作れることです。

 たたら製鉄は鉋流しによって採取された砂鉄を利用するため、鉄鉱石に比べ砂鉄は採取場所に制約がかかりました。

 鉄を得るのに窯づくりから1週間かかり、操業が1回終わるごとに窯を作り直すため生産量も窯を作り直さず操業できる高炉に比べると少なかったのです。

 国友の鉄砲鍛冶によると、鋼原料は出雲・播磨の物がよく、備中・備後は次、陸奥・仙台・安芸はその次と砂鉄であっても採れる地域によって品質が違うと残されています。


 幕末の鉄製大砲と言えば韮山反射炉が出てきますが、長州藩の郡司鋳造所ではこしき炉を複数使い鋳鉄製の大砲を製造していました。

 銑鉄の大砲なので反射炉の錬鉄で製造できる大砲に肉厚で比べ脆いと思いますが、反射炉や高炉といったものを使わなくても千年以上前からある技術でも鋳鉄製の大砲が作れることを証明しています。


 製鉄の歴史の中で石炭を乾留させてコークスを鉄の還元剤として利用されてから利点が複数あり、木炭に比べて発熱量が高いため高温を得られることと大量にある事です。

 石炭が利用されるまでの製鉄は炉を建設して周囲の森林を炭に変え、周囲に炭がなくなり運搬することもできなくると炉を解体して使える資材を移設して森林を炭に変える繰り返しのせいでヨーロッパでは伐る木材がなくなった事もコークスの使用を後押ししました。


 現代の鉄の価格は1㎏10円ちょっとと非常に安い金属となりましたが、コークスが使われる前の木炭が使われていた時代はどこの国でも鉄の金額が穀物価格の2~6倍と言われ、穀物価格の6倍から時代が進むにつれて技術が進歩したのか2倍に収束されるそうです。

 何に値段がかかるかと言うと炭が8割で残りが人件費と鉄鉱石と言われ炭の価格をいかに抑えるかが鉄の価格低下につながるかがわかります。

 木を炭にすると水分が抜け元の1割の重量になりますが、炭を焼くのに木が必要であり、製鉄や鍛冶の時にも炭がいるため鉄を使用するということは大量の木が必要となります。

 炊事をするのに薪や炭を使うため町に人が多く住むようになれば大量の木材が必要となり広大な森林が必要なため、燃料に石炭が使われるまでは王や行為貴族よりも広大な森林を持った領主が裕福だったという話もあり石炭が使用されるまでは木を制した物が商業を制する時代でもありました。


 製鉄にコークスが使われるようになると鉄の価格は下がっていくという話なのですが、鉄の価格の利点何かという話になります。

 応仁の乱以降の日本は国内で長く戦が続きますが応仁の乱前後で大きく違う点があり、応仁の乱以前は武士は一族や郎党などの限られた者だけが戦をしていましが応仁の乱以降は農民兵が主体となり参戦する者が増えていきました。

 兵士が増えるということはそれだけ武器や武具の量産が重要となり手の込んでいた今までの装備が見直されていきました。

 身分のある武士たちにとって自分の命を守る武器や武具は重要な物ですが、戦を生業としない農民兵が使用する物では低価格の量産品で装備の充実が重要となります。


 戦国時代で一番殺傷能力があったとされるのが弓矢とされ一番重要なものだったと思いますが、消耗品の様な矢の値段を考えたら普段から練習をしていない農民兵に当たるかどうかもわからない矢を無駄撃ちするのは厳しくなってきます。

 参戦者の多い戦で射撃武器にとって重要なのは射程と弾幕であり命中精度は数mずれるような状況であっても敵に当たるような状況であれば気持ち程度と思います。

 農民兵が使う量産品の矢を考えるとヤダケは武家屋敷に植えられているのでタダとして、矢羽も水鳥や鶏からとればタダとなり、鏃の値段が重要となってきます。

 計算がめんどくさいので大雑把に行きますが鏃は22グラムで0.02㎏として、1貫を2石として1貫を10万円と仮定して農民1人の生産力0.5貫を5万円とする。

 5万円をすべて米にするという強引な計算式の上で年間1人100㎏のコメを必要とすると、凄い適当な数字で米が1㎏500円とします。

 0.2㎏の米の値段が25円となり鉄は穀物価格の6倍ということで鏃1本分の鉄が150円という適当な計算結果となります。

 そこに鉄を鏃にする加工賃やヤダケや矢羽以外の費用も適当に合わせて1本で矢ができるとすると、当たるかどうかもわからない矢を農民兵に撃たせるかって話になる。

 矢は敵が射た者や戦場に残った物を再利用すれば安くなりますが、1番値段のかかる鉄を量産化すれば農民兵も気軽に射てて十分な弾幕が張れるはず。

 参考としてイギリスの長弓兵の矢は安く見積もって1300円でそれ以上高いという話で、今回矢1本200円としたけどたぶんそれ以上に値段はかかったと思います。


 高炉を使った製鉄で排出される高温のガスを利用するという話がありますが、高炉について相当知ってないと厳しいと思います。

 排出されるガスは一酸化炭素や硫黄分などを含んだ毒ガスで目に見えない気体でそれを再利用するのは周囲にガスが拡散リスクがあり吸い込んだものは窒息死や毒の後遺症が出てきます。

 製鉄で排出されるガスは十分な知識が無いなら煙突を高くして空気中に炭酸希釈したほうがいいと思います。

 現代の製鉄所では発生した炭酸ガスを回収し使用していますが、ガスを使用する場所付近に行く物は炭酸ガス濃度計や使用時に放送やサイレンを流すなど対策をしているという点を十分に考慮してほしいと思います。

1回5㎏程度の生産量を5時間程度で作れるもので高さ2m程度の仮設トイレ程度の大きさなら5回程度の操業なら大丈夫みたいですが、熱の影響で壁にひびが入ったりで休まず連続操業するには耐火レンガが必要みたいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ