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斜め上のダンジョンマスター・現代編  作者: ぴっぴ
第2章 動き出す世界
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第12話 世界の異変

「ヘイ! マスターこれを見てくれ」


「どうしたんだマッケンジー大尉、血相を変えて」


「国防総省から緊急連絡が入ったんだ」


 アメリカ軍のマッケンジー大尉が持って来たUSBをパソコンに取り込んで見てみると、そこには緑色のゴブリンと豚の鼻を持つ人型の魔物オークが映っていた。


「こいつ等を知ってるか?」


「知ってる。ゴブリンとオークだな」


 どこかの警察官とゴブリンやオークが戦っている画像だった、ゴブリンは拳銃で倒れていたがオークには拳銃が効いてないようで、噛み付かれたり殴られたりして警察官や市民が逃げ惑っている。ここが何処だか知らないが、早急に軍の治安部隊が出なければ犠牲者が大勢出そうだった。


「何でも良いから、こいつ等について知ってる事を教えてくれ。アメリカ軍は治安維持部隊に参加する事になったんだ」


「そうだな、ゴブリンに噛まれると痛いんだ。小柄だが人間並の力が有って爪も鋭いな」


「成程、なるほど。・・・・・・で?」


 大尉はメモを取りながら俺の話を聞いていた、これから自分達が派遣されるかも知れないので真剣な表情だった。軍人を底辺の人間と思っている者も居るかも知れないが、下級兵士は兎も角アメリカ軍の士官クラスになればマスターを取ってる人間も少なくない、彼等は優れた頭脳と強靭な体、そして強い精神力を持っている。


「オークに噛まれると物凄く痛い、そして並の人間より力が強い。そして人間よりタフだな」


「え~と、チョット聞いて良いか?」


「何だ?」


「噛まれた事が有るのか?」


「有る、スゲ~痛かった」


「そうか、その話を詳しく教えてくれ」


 俺が異世界でゴブリンやオークと戦った話が出来るので俺は嬉しくなって、それはもう大げさに話してやった。実際にはゴブリンやオークと戦ったのは大した数では無かった、それにスケルトンやポヨポヨが一緒に戦ってくれたので俺が単独で倒した数は10~20匹位のものだったが、100匹以上を単独撃破した話になってしまった。調子に乗りすぎたのは反省している。でもまあ大尉は聞き上手で、上手いこと相槌を打ってくれたりするのでツイツイ調子に乗ってしまったのだ。


「じゃあ、素手や槍で殺ったんだな。銃は使わなかったのか?」


「持ってなかったからな、画像を見る限りじゃ銃は効き目が弱いみたいだから、ナイフや素手の格闘も準備していた方が良いかも知れないな」


「そうか、良い事を聞いたサンキュー! マスター」


 そして次の日、大尉と一部の兵士達がダンジョンの警備隊から離れ、大陸の何処かの都市に派遣されていった。そして現在この情報は世界的に情報封鎖されている様だ。まあ、この情報が漏れたら直ぐに住民がパニックを起こし、放火や略奪が始まる事を政府は恐れたのだ。まあ実際、日本以外の国民はパニックを起こして大騒ぎする者が多いので、当然の事だとも思うが、知らせない事によって魔物による被害が増えることも又事実なのだ。ここら辺は略奪による被害と、魔物による被害のどちらが被害が大きいかを考えて行わないと成らない難しい判断が求められる所なのだな、こう言うのを政治的判断って言う。

 だが、昔なら成功した情報統制も今の時代では、ネットにゴブリンやオークの襲われている動画がアップされた事により一部の人間達には知られる様になっていた。各国の政府は片っ端からネットの動画を削除していたのだが、消したら増えるというネット独自の繁殖力により政府の努力も虚しく徐々に世界中の人達に知られていく事になった。


 そして各国政府は又もや俺のダンジョンに注目する事になったのだ。


「マスター、科学者の代表さんがお会いしたいそうですよ」


「今度は何だろうな?」


 そこには憔悴しきった顔をしたロジャー博士が待っていた。どうやら深刻な事態が起こっているらしい。俺やダンジョンにとってゴブリンやオークなど例え万単位で攻めてきても唯の餌でしか無いが、魔物に対する準備が皆無のこの世界にとっては魔物って奴は特大の脅威になるだろう。まあ、向こうの世界でも人間は魔物と戦っていたのだから、この世界の人間も頑張れば何とかなるんじゃないかな、とは思っていた。特に武器に関してはコチラの世界の方が進んで居るので何とか成るはずなんだがな。


「やあ博士、お困りの様ですね」


「はい、困っています。助けて下さい」


 世界最高の頭脳の博士が困って助けを求めてきた。俺なんかに助けを求めるとは相当に困ってる様だ、そして博士が語るには、問題の魔物の死体を調べても何故こんな生き物が発生したのか、また、何故急に現れるようになったのかかが分からないのだそうだ。


「考えすぎじゃないですか?」


「考えすぎ?」


「何故発生したか? 等どうでも良い事ですよね。いかに殲滅するかの方が重要でしょう。難しい事は生き延びてから考えれば良い事ではないですかね」


 異世界の人間はシンプルに魔物と戦って生き延びていた、たいしてこちらの人間は格好良く生き延びたり、他人に頼って生き延びようとしている様に見えるのだ。所詮、自然界は適者生存の原則が有るのだ、環境に適応出来なければ滅びるって事をこの世界の人間達は皆忘れている様だった。


 そして世界は学者連中が悩んで居る間に、魔物を封鎖する事が段々難しく成って来ている様だ。ネットに次々と魔物が人を襲う動画がアップされる事が増えてきたのだ。気になった俺は一番魔物に詳しいダンジョンコアに魔物の事を聞いてみた。


「コア、この世界にも魔物が現れた様だ。何か心当たりは有るか?」


「マスター、私が此処に来れたんですから、魔物がこの世界に来るのも不可能では有りませんよ」


「まあ、そうだな。また邪神の様な奴が送り込んで来たって可能性も有るしな。だけどダンジョンに敵が来ない所を見ると知ってる邪神じゃ無いかも知れんな。今回は本当に神の試練かも知れないしな」


 向こうの世界で創造神に会った俺は、この世に本当に神と呼ばれる存在が居ることを知っていた。そしてその神が何を考えているか等、人間ごときに分かるはずも無かった。唯の気まぐれかも知れないし、本当に神の試練かも知れないのだ。だから俺は取り敢えず不干渉で居る事にした、ダンジョンが攻撃されない限り動かない事にしたのだ。


 ダンジョン都市から遠く離れた場所で作戦活動をする兵士達がいた。彼等の戦闘力は世界でもトップクラスで警官等とは次元が違う火力を持っていた。そして戦闘訓練も十分に積んだ兵士達だ。言うなれば人類の最後の砦と言っても過言では無いだろう。


「クソ! クソ! クソ!」

「何なんだこいつ等!」


 マッケンジー大尉率いる部隊は、魔物の群れと戦っていた。ゴブリンは銃で殺せるが、素早い動きで当たりにくい。そしてオークは小銃でなら殺せるが、1発当たった位では死んでくれなかった。そして魔物は段々強くなってきている様な気がする。最初は素手だった魔物も今では武器を持っている奴が増えてきた、それに伴って部下達の犠牲者が増えて来ているのだ。

 そして最悪なのが、やられた部下が魔物に食われる事だった。魔物は人間を生きたまま食うのだ、食われる人間の悲鳴を聞きながら戦うのは兵士達には辛い、恐怖で精神をやられる奴も増えてきたのだ。この魔物との戦いは泥沼に入りかけていた。


「しかし、マスターって言うのは化物か。こんな連中と素手で戦うって正気じゃないぜ」


「撤退する! 全員第2次防衛ラインまで下がれ!」


 昼はともかく、夜は魔物の動きが早くなり益々戦いにくくなるので大尉は部隊を下げる事にした。これも実戦から学んだ貴重な知識なのだ。夜間は人間側が不利になる時間だった。




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