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宮廷プリンセスナイト  作者: 友浦
なれの果て
34/39

なれの果て<3>

 メイドがぴかぴかに磨き上げた金の手すりの階段が囲う、二階まで吹き抜けの光の国王城の誇りし玄関ホール。そこで、ソラトは一人佇んでいた。

 その向こう側で、盛大に繰り広げられているパーティ。見渡す限りの広々とした広場的空間には、宮廷料理人が腕を振るった数々の料理が並び、思い思いに着飾った客人たちが「貴殿もですか」「おかげさまで」「御無沙汰しております」――挨拶を交わしながらうきうきした様子で歓談している。

 司会者が咳払いを一つすると、会場は水を打ったように静まり返った。王族までも列席するこの集い。

「それではこれより、光鳩勲章授与式典を開式いたします」

 ユカリコ姫が開式の辞を述べ、厳かな空気の中、名前が読み上げられていく。光鳩勲章授与式典。部門ごとに分かれた、光の国で最も栄誉ある勲章の授与式である。堂々と発表されていく光の国随一の技を持ちし者の名。

 剣士ソラトも、笑顔と感動をもってその時を待ち受けるはずであった。今年の、「騎士部門」『光鳩勲章』は自分以外にはいない。実力もさることながら、王の御前で王家を守り抜いた功績もある。

 ――「おまえが、最後の砦となれ」

 外衛騎士団長にも、近衛ナンバーワンを超えたことを認めてもらった。条件は満たしたはずだった。外衛からの受賞者はこれまでに前例がないことだけが不安だったが、だからこその期待もあった。生まれも育ちも関係なく、力こそを認めさせる。その夢が叶うはずのこの場――

「『光鳩勲章』「騎士部門」第百五十号……」

 それなのになぜ、俺は外にいる。

「東之リキヤ!」

 生まれた時から、決まっていたのか。

 司会者の口からその名が呼ばれた瞬間、

「最初から、無理じゃねえかよ……そんなの」

 強張る表情で吐き捨てるようにつぶやいたソラトは、

(やってられっか――っ)

 たまらず、ホールを後にした。

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