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「仕事が軌道に乗ったら大丈夫だと思う。どう思う?」と秀郎が雅子に聞いてきた。
「私は夫婦として成り立っていないし、このまま成り立つように考えられない」雅子はっきりとそう伝える。
「俺は今でもやっていけると思う」秀郎が言った。
その瞬間、雅子はぞっとしてしまう。
「わかりました。とりあえずそう思ってるんだね。わかりました」雅子はそう言い、話し合いを終えた。
やっていけると思ってる……。
どうしよう、離婚できなかったら……。
不安が雅子を襲った。
雅子は心のどこかで、実は秀郎も離婚をしたい、と言うだろうと思っていた。
しかし、予期していなかった秀郎から発せられた言葉。
「俺は今でもやっていけると思う」
今日は疲れた。早めに寝よう。
ベッドに倒れこみ、雅子は深い眠りに就いた。




