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家に帰り、夕飯の支度をする。最近、秀郎の帰りはいつも遅い。
「今日も秀郎さんは遅いんだろうな」そう呟いて、ふと、点けていたテレビに目をやる。
夕方の報道番組がやっている。若い男性アナウンサーがボードを読み上げている。
「今日の特集は離婚特集です」
雅子はテレビに吸い寄せられる様に前に座っていた。一応、観ておこう、といった感覚だった。
旦那の浮気、DV、借金、嫁姑問題、セックスレス等……。
色々な事案が挙げられていた。
離婚かぁ。
ぼんやり雅子は考えてしまった。
もしこの先、秀郎とこの状況が続くのであれば、離婚という選択肢になるかもしれない。でもまだ早いとも思う。 まだ数ヶ月しか経っていない。
ごくたまに、一ヶ月で離婚したという事例を聞くことがある。一ヶ月で決着とはどういうことが決め手でそうなっ たのかと思う。
雅子にはまだ離婚に踏み切るには早いような気がした。
しかし、既に離婚という選択肢が雅子の中に着実に浮かび上がってきていたことに雅子は気がつく。
自身が作った料理を一人分の皿に載せる。
毎日帰宅が遅い秀郎を、雅子は先に夕食を食べて待つというのが常になっていた。
結婚祝い等でたくさん貰ったペアの食器達。
それらはテーブルにペアで仲良く並ぶことはあまり無い。
「休みの日も仕事」と言って秀郎は出ていくことが多い。
本当に仕事なのか?
あの女性用の水着とストッキングというアイテムについてもまだ未解決である。
謎が増える。
まさに、ミステリー。




