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雅子は家の近くのスターバックスにいた。
ぼんやりと窓を見ながらソイラテを飲む。
仕事の休憩中だと思われる若いサラリーマン風の男性、暇を持て余したおば様達、大きな声で 笑いながら談笑して いる大学生達、そして子供づれの家族達。その家族達を見ると、せつなさが込み上げてきた。
まさにそれは雅子が思い描いていた結婚後の未来の情景である。
素敵な妻と優しい旦那。そしてかわいい子供。
今の雅子と秀郎からしては、想像すらできない将来。
あの水着やストッキングを発見してしまい、その上、全くのコミニケーションも取れない秀郎との関係。
どう良い想像をしても、あのような素敵な雰囲気の家族にはなれないように感じてしまう。
雅子は立ち上がり、飲み終えたカップを戻し台のゴミ箱に入れた。




