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3:あたいのスカウター
「はい。これがお相手の写真よ」
そう言って母が手渡した一枚の写真。
「あー」
写真を見た途端、雅子の声が低くなる。ビジュアルで売ってない類のお笑い芸人といった風貌だ。
体型もかなり太めで、眼鏡をかけ、やぼったい雰囲気である。
顔の頬が膨らみ、鼻の穴は大きく、豚のようだ。
「なるほどなぁ。これはモテないな」雅子は呟いた。
「これは昔の写真で、今は雰囲気が違うみたいよ」母が言った。
「ふーん」
お見合いの経験がしたいだけ、という軽い気持ちだった為、雅子は気にも留めず写真を母に返した。




