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雅子に気がついた秀郎が雅子にむかって声を荒げた。
「汚いんだよ! きれいにしろよ!」
後片付けすると言ったからそのままにしたのだ。
そして、それが病人に言う言葉??
雅子の中でプチんとキレた。「あなたはいつも、感謝がない! 偉そうだ!」気がついたら叫んでいた。
秀郎は雅子を睨みつけ、
「お前だって片付けてやってんだから感謝しろよ!」と雅子にすごい剣幕で怒鳴った。
お前と言われたのは初めてであった。
またその怒り方は取り憑かれたような、病的な異様な怒り方だった。
男性に怒鳴られたことが無かった雅子は驚きつつ、「どうもありがとう!」と皮肉たっぷりに答えて寝室に戻った。
ベッドに横になり雅子は考えていた。
なんなんだあの人は……。
穏やかで優しい人ではなかったの?
穏やかで優しい人と結婚したんじゃなかったの?
そんな声が雅子の頭の中をこだまし、雅子は眠りについた。
***
その言い合いをした数日後は、少しぎこちなかったが、心なしか秀郎の態度が柔らかくなっていた。
雅子はそんな秀郎に少し安堵する。
しかし、未だに秀郎と雅子には男女の行為が無い。




