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 結婚式数日前から前日にかけて、世の花嫁の大半がそうなる傾向があるように、雅子は最高のマリッジブルーにとらわれていた。

 本当に秀郎で良いのか?

 正直なところ、雅子はこの一ヶ月の間、秀郎が嫌いとさえ思う時があった。

 なぜなら、秀郎はクリニックの開業で忙しく、秀郎のドタキャンが増え、連絡すらとれないことが多くなったのだ。

 仕事がかなり大変なのは聞いてた。

 しかし、それなりの配慮は雅子にするべきであろう。

 秀郎は全く器用なタイプでは無いため、そんなことは到底無理のようだった。

「開業医になったら人が変わるよ」

と、数人の開業医妻の友人からはそんな話しをよく聞いていた。

 彼女達は旦那のことを「自分の城という感じでクリニックが第一になる」や「旦那がすっごくえらそうになったり殺気だつ」と話していた。

 開業のプレッシャーやストレスからか、とにかく肉体的、精神的に開業した本人が大変なのだそうだ。

 本来であれば、結婚式は婚約後の半年後くらいが理想だと雅子は考えていた。

 しかし、秀郎が式は婚約後の二ヶ月後ということを強く希望したのだ。

 秀郎自身が結婚時期を早めたくせに、忙しいから、と結婚準備や雅子に関して配慮できないとはいかなるものか。

 また、未だに秀郎について、何処か不可解なことが多く、謎めいている部分を感じる。

 

それは良い意味の謎めきではなく……。


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