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雅子は咄嗟に方向を再び変え、よしあきに電話をかけた。
しかし、よしあきは電話に出なかった。
「あぁ、今日はもう帰らなきゃかな」
そう呟やき、雅子はくるりとまた身体の向きを変え、二歩足を進めた。その時、手に持っていたスマホが鳴った。
よしあきからの着信だった。
「もしもし? よしあき君?」
「あっ雅子さん。さっき電話くれてたよね。どうしたの?」
「終電で、そっちに行っていい?」
「え……? うん。わかった。次の駅で降りるから、そこから終電に乗るね」
「うん。ありがと。じゃあ、後でね」
再び身体の向きを改札に向け雅子は歩き始めた。改札に入りホームに着く。
ちょうど終電の電車が来たところだった。雅子は急いで乗り込む。
車両には週末の夜を楽しんだであろう酔っ払いのサラリーマンや大学生でいっぱいだった。
運よく二人席が空いていたのでそこに雅子は座った。
「〜この電車が終電となります。電車が発車します」
アナウンスが流れ、電車が発車した。
雅子:今電車発車したー
よしあきにラインをする。即レスが返って来た。
よしあき:オッケー! 何両目?
あたりを見渡す。えーっと、ここは五両目か。
雅子:五両目だよ
よしあき:了解




