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最終話 早いもんで、あれからもう60年か

 ついにラスボスの正体が(嘘

 それから更に月日が流れていくなかで――――


 俺とピクちゃんは結局ギルドへは登録せずに冒険者や探索者にはならないで、気ままにあっちへこっちへフラフラしているだけだったが、ギルドマスターも勧誘は無駄と分っているので何も言ってこなかったので助かったな。


 この世界へ来てから10年ほど経った頃から徐々にハッキリしてきた事実が一つあって、どうやら俺は年を取らないみたいなんだ。

 ステータス内に不老なんてものは見当たらないし、これってもしかしなくても元の世界の俺って死んでるよな、確かめようも無いけどね。


 初期から継続していたサテラちゃんによる地道な地形データー収集蓄積は、7年経つ頃には惑星全域を網羅するに至る。

 俺たちはそのデーターから広域簡易マップと3D大気圏内立体惑星球儀を完成させて、その気になれば場所を大雑把に決めて上空へ転移なんてこともできるようになった。


 基本的に転移で行けない場所が無くなったことにより行動範囲が飛躍的に広がっていき、そのころから徐々に迷宮都市より足が遠のいていく。

 ただ、旅をするにしても転移でポンポンってのは余りにも味気なく旅情に欠けるので、目的地に直接転移で移動ってのはほとんどした記憶が無い。


 そして……


 ――――さらに40年50年と時を経て、俺とピクちゃんは迷宮都市へとふたたび訪れてみることにした。


「はい、とうちゃ~く、にゅふふっ。さあさあ、やってまいりました! だよっ、迷宮都市。ずいぶんと久しぶりになったね、あるじ」


「しばらく来てなかったしなー」


「どれぐらいぶりだっけ」


「う~ん、最後に立ち寄ってから50年ぐらいなのか」


「惑星全域を、もう世界一周って感じですみずみまで見て周ってたからね~」


「いつでも転移で来ることができて、かと言って大した用事もなかったから、どうしてもね」


「アッ、じゃあじゃあ、あるじっ、初めて迷宮都市に訪れた時からだと、もう60年以上は経ってるって勘定になるんじゃない?」


「そんなんなるかあ~、歳もとるはずウッ、そうだよ俺歳とらないんだった。こっちの世界ではずっとピクちゃんと2人だけでの行動だったから、あまり意識してなかったよ……定期的に顔を合わせるのは、シンジュちゃんとサテラちゃんぐらいだし」


「だね~。1ヶ所に長くとどまっていると、必ず雑魚とか馬鹿がまとわり付いてきて、結局皆殺しにする羽目になっちゃうからしょうがないよ」


 全然関係ない話だが、年齢が固定されているから体型もと思ったらそんなことは無くて、暴飲暴食するとしっかり出てきやんのよ、腹がね……そして、ハイ、やりましたですよダイエット。

 それにしても中途半端すぎるんだよな、身体の仕様がさ。


「んじゃ早速、迷宮ギルドに顔をだしてみますかね、ピク殿」


「うむ、よきにはからえ、だにょ」


 俺らが最後に寄った時もロリフがギルドマスターをやっていて、今も継続されているんだろうな。

 一度ギルドマスターがギルド長のイスを後進へと譲ろうと試みたけど、圧倒的要望によりロリフが続投となったんだっけな。


 俺とピクちゃんは当初より明らかに立派になっているギルドの建物に驚いた。

 中にはいってみると活気があって繁栄振りを物語っている。

 ギルドマスター変身解除事件の業績増が少なくなく原動力として影響しているのだろうが、もう一人の原動力らしきギルド員がバッっと立ち上がった。


「あらあら、まあまあ、随分と久方ぶりですね、ピク様、アールジ様」


 そして俺達にそんな感じで声をかけながらギルド受付カウンター内から出てきた一人の女性はというと――


「「お姉さん、だっ!!!」」


 俺とピクちゃんは声をそろえて思わず叫ぶ。

 だってそうだろっ! 

 当時ギリギリ二十歳(はたち)だったとして、あれから少なくとも60年は経っているはずなんだ。

 なのに目の前には初めて会った頃となんら変わりなく、まったく衰えを感じない、いや、むしろ凄みを増したであろう美貌を誇るお姉さんが、なにくわぬ顔で昔のままに挨拶してきたんだからな。

 それはもう一瞬タイムスリップでもしたのかと思ったわ!


「わーい、お姉さ~ん、お久だね~」


 なのにピクちゃんは何の疑問も持たずに手を振りながら挨拶してるし……


「まてまてちょっと待って、ピクちゃん。普通の人種(ひとしゅ)だったお姉さんが今も現役受付嬢ってのはおかしいって。大雑把に計算しても年齢がオーバー80歳グェッ、ちょ、チョークッチョークッ」


「うふふ、アールジサマ、お首がこっているようですので、わたくしがほぐして差し上げますね」


 気が付けばお姉さんの腕がヌルっと首に巻きついていて、ギリギリッと締め上げられてるチョークスリーパーを、俺は必死にタップする。


 こ、これはっ、この技は! 俺がこの世界において唯一見切ることのできなかった格闘戦技、お姉さんチョークスリーパーっ!?


 ほ、ホンモノだ、本物のお姉さんだあぁぁっーーー! だがっ、この背中に押し付けられた豊満たる量感と本物(モノホン)の質感は何だっ……


 ――解放された俺が失礼を承知でお姉さんの胸を凝視すると、腕組みで胸を下から掬い上げるようズイッっとバストアップさせて強調しながら挑発セクシーポーズを取り、どうだっ! っと言わんばかりに見せ付けてくる。


「な・に・か、ご不審な点でっもっ、ございますか? アールジさっまっ!」


 フフンッってな感じで言葉を発したお姉さんの胸に聳え立つ双峰と、そして最もボディーラインのメリハリが強調されて見えるように、身体の角度やひねり具合まで計算しつくされた、それでいて無理のない自然なポーズ。


 完・全・体!!


 その立ち姿は、もう、これぞまさに王者の風格と言うべき、いや、王者の乳格と言う他ないだろう。


「ハハッ~、御見それいたチチましたあっーーー」


 俺は必要も無いのに思わず方膝を付き、騎士のする平伏をお姉さんに対して行ってしまう。


「あるじあるじっ、お姉さんのオッパイ凄いよ! 豊満だよ、天然生乳だよ、詰め物一切なしの純乳だよっー!」


 ピクちゃんは女性同士の気安さからお姉さんのオッパイを上下左右にタップンタップンっと揺らし揉みしだき、それを目撃した周囲の男性探索者たちはツツッっと鼻血を出して鼻を押さえる者、内股になり股間を押さえてハウッっと変な声を出す者などが続出し、そして男共の無様なその姿をディスる女性探索者も参加して阿鼻叫喚の地獄絵図で大惨事だ。


「ウフッ、ウフフフフッ、そういえばその昔、わたくしに対してペッタンコとかムニュウとか言い放った男が居たような……」


 ギルド内が一瞬ザワッっとしたかと思うと、あちこちから“何だとぉぶち殺す、我等が受付嬢殿に何たる無礼、吊るせ、絞めろ、埋めちまおう”などと、探索者たちので殺気立ったセリフが耳に入ってきた。


「ヒイィィッーーー!」


 今まですっかり忘れていたけど、言いました、覚えてます、その犯人は俺でありますっ!


「わたしくしの記憶では確かアール「――なにとぞ~なにとぞお~」……あら~、まあっ私ったら、名前をウッカリ忘れてしまいましたわ。残念ですわね、オホホホッ」


 クッ、この場は不利か……出直して仕切りなおすべきだな。


「あっと、そ、そうだ、用事を思い出した。いっ、いちど出直してこよっかな~」


 しかしまわりこまれた!

 お姉さんからは逃げられないっ!!


「あらあら、そんなそんな、つれないこと言わないでくださいアールジ様。ね」


 旗色の悪さから戦略的撤退を試みる俺の腕に腕を、ガッ! って感じに絡め組んできて、奥の個室へ連行しようとするラスボスお姉さん。


「ささ、ささ、こちらですよおアールジ様っ」


「わっ、わわ、む、胸っ、当たって……」


「うふっ、なに言ってるんですか、いやですねえ。当ててるに、いえ、はさみ込んでるに決まってるじゃないですか、アールジ様」


 お姉さんのそのセリフを聞いた周囲のヤローどもの殺気が更に膨れ上がる。


「コレッ、なに2人でじゃれあっとる。とっとと奥へ来んか」


 奥から出てきたギルドマスターがボケたことを口走(くちばし)る。

 クッ、50年経って目が腐りやがったか、このロリフは。


「久しぶり~、マスターさん」


「ご無沙汰、マスター」


 挨拶もそこそこに周囲の探索者の目がウザいので、奥の個室へさっさと退散することにした……


 ――席に着いて待っているとマスターが500年物のお茶を淹れてくれたので、俺もケーキやら菓子を用意しておく。


「ちゃんと茶葉は届いてたようだな」


「ふんっ、これに関しては感謝しとるぞ。それよりぬしらは、随分とあっちこっちでヤンチャしておったようじゃな」


「服に付いたホコリを(はら)ってただけだよね~、あるじ」


「ピクちゃんの言うとおり大した事でもないな。そんな些細なことより、お姉さんのアンチエイジングぶりのほうが驚愕だろ、エルフのマスターなら分るけど」


「オホホホホッ、いやですよアールジ様」


「マスター、お姉さんはいつ頃からこの究極完全形態に進化したんだ? 特に胸とか」


 胸囲(きょうい)驚異(きょうい)脅威(きょうい)とか、語呂がいい感じだ。


「うむ。子宝を授かって授乳し始めてからじゃな。むしろ産後どこに入ってたんじゃって聞きたくなるほどな、ウェストの引き締めっぷりじゃったぞ」


「美への探求の極意は、気合と根性なんだってのが分ったよ、あるじ!」


「ピクちゃん、そこは渇望と執念って言ったほうが真理へと近づくような気がするな、俺は」


 それから2時間ほどお邪魔して、おいとましてきた。

 まさかのお姉さんと再び会えるという嬉しいサプライズもあったし、迷宮都市を基点にしばらくこの大陸をウロウロするのもいいかもしれないな。


「じゃ、ピクちゃん、シンジュちゃんのとこ帰ろっか」


「はーい」


 こんな感じの適当な2人の軌跡は歴史の端々に小さく残りまくるのだろう。


 ラスボスはお姉さん…………こんな最終話ですみません。

 かなり強引な形になってしまいましたが、今話で一応の完結として一度締めさせて頂きます。


 三姉妹ネタはこのままフェードアウトで別に流用することにいたしました。

 中途半端に登場させて申し訳ありません。


 ここまで読んでいただいた皆様、拙作にお付き合い下さり誠にありがとうございました。

 それでは失礼いたします。


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