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火中の栗

 連日投稿は今日までになります。

「ぬしら……もう、わしも細かなことは気にせんことにしたわ」


 アホな横槍が入ったり予定外の転移とかもしたが、やっと今日の本題であるマスターが聞きたいことについて答えていく。

 内容は、まあ予想通りで山頂消滅と新ダンジョン、南部での紛争の際に第二王女がクチにしていた妖精さんはもしかしてって話だった。

 ギルドマスターにはある程度の情報開示をしておいたほうが面倒がなさそうなので、ドラゴンホルモン焼きから山賊アジトまでの支障ない部分だけ話をして、これからは尻拭いをヨロシクってかんじだ。


 話の途中からは逆に聞くんじゃなかったと言わんばかりの、胡乱(うろん)げな眼差しが哀愁をそそるマスターは、一言だけポツリともらした。


「なんて(はた)迷惑な……」


「いやいや確かに俺たちは、火中の栗をばら撒きまくってるけど、拾うかどうかはそいつらの勝手なんだし、自己責任ってやつだろ」


「だよね~、美味しい物を食べて山が消し飛んだりするけど、ピクたち悪くないよねっ、あるじ」


「ピクさん、それはやめてください。そのうち大陸ごとなんてことになったら笑えないっす」


「えへへ~、ごめーん」


「こ、こやつら……」


 俺はついでに市場には流さないけどと断りを入れて、純威石、赤竜の鱗と爪、黒龍の鱗と牙、ディメンションネックレス、オリハルコンの焼き物用串なんかを見せながらマスターに聞く。


「マスターもネックレス要る?」


「くれりゅあっ――頂戴(ちょうだい)の意――」


 口調が変になっているが、マスターでも内部時間停止のマジックバックは持ってないらしい。

 髪の毛をもらい認証登録をして渡してあげると、アポーツやステルスをテストしながらテンション上がりまくりだ。

 マスターには今後も迷惑かけるかもだからサービスしておく。


「のう、ぬしらが所々でクチにする、その存在力とはなんじゃ?」


「ああいや、俺たちが適当に言っているだけで、ほかに適切な言葉があればそっちでもいいんだけど、その存在が内包する力とかエネルギーって意味で使っていて、対象は生物に限らないかな」


 帰ろうとするとそんなことを聞かれたので簡潔に説明した。

 改めて、そんじゃ生ゴミはまかせたとマスターにいって、しばらくは大陸をあちこち周ってくるからと断り、お姉さんにも挨拶をしてギルドをあとにする。

 純威石というシンジュちゃんのお土産が、棚ボタで手に入るという嬉しい誤算があったので、東へ向かう前に一度ホームへ帰ることにした。

 リーダーにも声を掛けにいって、余った日数分の金は次に街へきたときにもらう情報の前金ってことで話をつけておく。


 真樹フィールドへ帰った俺たちは2週間ほどシンジュちゃんとダラダラ過ごしたのだが、ありていに言うと金ぴか勇者君()けだ。

 そろそろいいあんばいで頃合かなと、ログハウスを経由して出発しようと表に出るとそいつは居た。


「アンタのこと覚えてるよ。昔一度、目が合ったことあるよね、前の世界で。消滅から逃れるなんて、強運じゃん。あ、でも、再びピクと顔を合わせちゃったってことは、そうでもないのかな、ムフフッ」


 強奪スキルもちを差し向けた雑魚神を(めっ)したあとの、威石創造デモンストレーションが余程こたえたのだろうか、目の前では自称邪神ってヤツがピクちゃんに土下座して(ふる)えている。


 他の神々はこの世界とピクえっくすに対して過度の干渉はしないということで一致していたのだが、滅んだ雑魚神だけが何も考えずに軽はずみな行動を取ったらしい。


 そいつの巻き添えにされて、この世界を消滅させられてはたまらないので、何とか怒りを収めて欲しいと邪神が代表として詫びを入れに訪れ、いや、むしろ他の神々はビビッてしまい止む無く引き受けたが正解なのだろう。


「そんなにピクってキレやすく見えるのかなあ~。自称邪神のアンタよりさらに小物だったじゃん? あの雑魚。あんなのいちいち相手にするのもバカらしいし、下らないチョッカイかけてこないってんなら、もう帰っていいよ」


 そもそもなんでピクちゃんが前の世界を消滅させたのかというと理由は簡単で、全知全能の神たる我にしたがえ、それに対してふざけんなドッカァァッーーーン!!! ってことらしい。


 そして今、俺は邪神に並んで土下座している、それは何故か?


「世界を消滅ってことは、対消滅の反物質的な何かか、それともピクちゃんのダークなお股に飲み込まれ「アアンッ!!」――」


 ――ズザッっとDOGEZAを決める俺。


「ピクえっくすよ、お前のパートナーはバカなのか……」


「ふんっ、ま・あ・ね~」


 ほっとけよ、俺はボケないと死んじゃう(びょう)なんだよっ!


 ◆

 ◆

 ◆


 大樹海から10日ほどで帰還して、報告等を済ませた(のち)の今、個人的にも親しい姫様の御部屋をプライベートで訪れている。


「姫様、お待たせしました」


「2人しかいない今ここで私のことをそんな風に呼んじゃうんダァ~、(うるわ)しの聖女さまは」


「むむっ、だって、うっかり名前呼びしちゃったら大変でしょ。だったら普段から姫とか姫様とか呼んでおけば、いざっていうときも体裁とれるじゃない」


「ん~、あんた人気あるし大丈夫じゃない?」


「それでもです。だいたい、お城で正式なお披露目の際に、私まで道連れで引っ張り出すことなかったでしょー。あ~あ、光属性魔法に対して無知だったあの頃の私を引っ叩いてやりたいわ」


 確かに私は光属性回復系固有魔法所持者だが、まさか死んだ人が生き返るなんて自分でも思ってなかった。

 本来ならと但し書きが付くのだが、それでも私の様な者がおいそれと言葉を交わして頂けるような地位の方ではないのだけどね、この王女殿下も。


「陛下への報告もすませたし、あとは国の偉い人たちにお任せね。めでたしめでたし」


無っ理(むっり)で~す、聖女様はすぐにひっぱりだされまーす」


「うう~、ちょっとは夢を見させてくれてもいいじゃないっ」


「フフフッ、だけど稀人か~、それも未所属の。おまけに妖精とはね。さっそく会いに行きましょうっ!」


「んなあっ!!」


「うふっ、冗談よ」


「チョッ、チョットオッーーー!! ヤメテヤメテッ冗談でもやめてよねっ」


「も~、分ってるってばっ。昔みたいにお城を抜け出して~、なんてのはやんないから」


「ホントによっー、お願いよおー」


「でも、もし、その稀人さんが訪ねてきたときは、私もちゃんと紹介してね。じゃないとぉ~……」


 これは是が非でも稀人さんに、いえ、むしろ全部押し付けちゃえば、私は聖女をお役御免となれるかも、クフフッ。


「なんか(わる)そうなニヤケ顔、他所(よそ)では見せちゃダメよ、それ」


「ヒャァァッーーー!」


 当面の敵であった雑魚神を潰したので、一度完結扱いとするつもりおります。

 俺たちの戦いは~的に、エピローグのような数話でうまく〆られるといいのですが。


 次話は来週までにはなんとかと思っていますが、どうなりますか。

 予定は未定と言う言葉が頭の中で今チラリと……


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