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第六話 拘束具

少し更新に間があいてしまいました。次はもうちょっと早く更新できるように頑張ります。

「さてと、行こっか」


 平塚と朝比奈を倒すと雨音がいきなり歩き出した。


「どこに? 連戦だったから少し休憩したいんだけど」


 と言うより、何で勝手に俺と一緒に行動することが決定しているんだ?


「男ならそれぐらいで愚痴を垂れてちゃ駄目だよ。て言うか、連戦って言うほど戦ってないし」


 まぁ、そうだけど。でも体力的なことじゃなくて精神的に疲れているんだよ。


「だからってすぐに移動する必要はないだろ? 残りの奴等が潰しあって疲れたところを襲う方が効率的だ」


 俺は元々その作戦でいく予定だったんだ。なのに開始早々、三人と戦闘になるし雨音とも会うし最悪な出だしだ。


「う~ん、確かに飛鳥ちゃんの言う通りだけどね。でも、それじゃあ、つまらなくない?」


「知るか。俺に戦闘を楽しむ趣味はない」


 これ以上、雨音の相手をするのも面倒くさいから逃げるか。俺の全力のスピードなら雨音も捉えられないだろう。リーゼントのチーターの程じゃないけど、俺も結構速い。


「じゃあ、バイバイ」


「ちょ、どこに行くのよ!?」


 雨音が水の鞭を咄嗟に出して俺を捕まえようとするが、俺のスピードには追い付けない。


 さて雨音から逃げ切ったところでどうするか。う~ん、屋上に行くかな。あそこは立ち入り禁止じゃなかったはずだ。それに屋上なら上から様子を見れるし不意討ちも無理だろう。

 俺はジャンプして一気に屋上に向かう。


「うわっ!」


 すでに屋上には男子生徒の先客がいた。男子生徒はいきなり下から現れた俺を見て驚く。


「食らえ!」


 俺は落下の勢いを利用してドロップキックを食らわして気絶させた。

 倒した名も知らない男はどうするか。とりあえず邪魔だし下に放り投げよう。

 男を放り投げた後、グラウンドを見てみると灰崎妹が二人を相手に戦っていた。動きを見る限り種類までは分からないがビーストだな。素早い動きで相手を上手く翻弄しながら戦っている。

 リーゼントとは違って細かい動きも出来るようだし厄介だな。そして灰崎妹は二人を倒した。

 さて、もう屋上から見える戦闘もないし寝るか。






「誰だ!」


 俺は誰かが屋上に入ってきた気配を感じたのでを覚ました。誰だ? 気持ちよく寝ていたのに。


「何でレクリエーション中に寝てたんだ?」


 灰崎か。昨日から常にしていたヘッドホンを外して首にかけている。


「ちゃんと誰かが来たら気付く程度には注意していたから大丈夫だ。て言うか、何で話かけてんだ? 不意討ちすればいいだろ」


「不意討ちで勝っても意味はない。西條とは正面と戦ってみたいんだ。何故なら、お前はドラゴンのイレギュラーだからだ」


「ッ!? 何故、そのことを知っている!?」


 何で俺が言う前から灰崎は俺の能力は知っている? 俺の能力は特殊で一般には隠匿されている。灰崎が知っているはずがない。


「そう警戒するな。俺は音のネイチャーだから聴力が常人よりもはるかに優れている。それで教師がたまたま会話していたのが聞こえたんだ」


「そういうことか」


 まぁ、後で言う予定だったから良いか。どうせ隠しきるのは無理だし。


「だから俺と戦ってみたいと?」


「そうだ。イレギュラーの力が見てみたい」


 イレギュラー、それは言葉通り普通のネオでは有り得ない存在。世界でも三十人程度しかいないと言われている。ネオはビーストでもネイチャーでも地球上に存在する力が元になっている。

 だが、イレギュラーと言われる力には元になる存在がない。俺の能力は空想上の存在であるドラゴン。まぁ、俺は力が目覚めきっていないからドラゴンの力は使えないが。

 他には吸血鬼や不死鳥の力を持ったイレギュラーがいるという噂を聞いたことがある。

 逆説的にイレギュラーが存在するなら、そういう空想上の生物が存在すると言う学者がいるが今のところ発見はされていない。


「ところで、灰崎のそのヘッドホンは能力と関係しているのか?」


 こっちだけ知られていると言うのは嫌なので俺は灰崎に質問する。


「これは俺の拘束具だ」


「拘束具?」


「ああ。俺の耳は1キロ先の落ちた小銭の音を聞き取ることが出来る。他にも二十人程度の会話なら聞き分けることも出来る。だから、拘束具で能力を制限しないと日常生活にも影響が出るんだ」


 ふぅん、なるほど。高い能力を持っていて操りきれていない奴は何か特注の拘束具を使用している奴がいるらしいが、こいつはソレか。


『ちょっと、いつまで喋ってるの! 可愛い飛鳥ちゃんと格好良い灰崎くんが仲良くしているのは目の保養には良いけど後にしてね! もう少しでレクリエーションが終わりだから早くしろ、って煩い先生がいるから!』


 先生からのアナウンスが聞こえてきた。何とも私情に満ちた発言だな。


『あ、でも先生的にはもう少し仲良くしていても良いよ。妄想が捗るから』


『貴様は生徒を妄想のネタにするな、といつも言ってるだろ!』


 一緒にレクレーションを見ている先生か? 中には普通な先生もいたんだな。


『俺は男同士の絡み合いなんかよりもバトルが見たいんだよ!』


 前言撤回、この先生も私情にまみれているようだ。やっぱり、この学校にマトモな奴はいない。


「て言うか、もう終わりそうなのか?」


「ああ、後は残り四人。俺達以外は雨音と雫だ。別の場所で戦っている」


 俺が寝ている間にそこまで進んでいたのか。

 ん?太陽の位置からして今は昼前か。クラスの人数は三十人。それがもう残り四人。思ったよりも早いな。


「で、どうする? 俺達も戦うか?」


「そうだな、戦闘開始だ」


 そう言うと灰崎は右手を前に出してパチンッと指を鳴らした。そして次の瞬間、俺は吹っ飛んだ。


「グハッ!」


 俺は屋上の柵にぶつかる。イテェ。

 何だ、今の攻撃は? ダメージはそれほどないが見えなかった。

 だが、正体が分からなくても先に攻撃すれば一緒だ。俺は灰崎に全速力で詰め寄る。


「遅い」


 灰崎がまた指を鳴らすと俺は吹っ飛んだ。だが、今度は警戒していたので何とかガードに成功する。

 にしても、こいつの攻撃の正体は何だ? そういや灰崎は音のネイチャー。


「つまり、今のは音の衝撃波か」


「正解だ。だが、分かったところでどうする? 見えない上に音速の速さの攻撃をふせぐことは出来ない」


 ああ、クソッ! 何とも面倒くさい能力だな。

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