7話
なんでだろう。
たかが隠れんぼなのに見つからない、その事実だけで胸が苦しくなってしまう。
隠れんぼは見つからないゲームなはずなのに不思議だ。全然嬉しくなんか無い。
「隠れんぼってこんなにつまらないゲームだったんだな。」
遠巻きに大神と美月の声を聞く。
「あーあ、つまんない。」
声に出して言ってもなにも変わらないのに呟いてしまう。
「なにやってるんだろうな。」
これじゃあ、前と同じだ。つまらない日常をただ食い潰す。
「要らないなら、その命下さい。」
いつだかのテレビが言っていた言葉だ。欲しいならあげるけどねぇ、上げる方法がわからないんだよ。
こんなつまらない日常なら来世に期待した方がマシな人生を送れるんじゃないかな。
もっとこう、ドキドキハラハラが待っているような生活が。
そして来世になってもドキドキハラハラが無いかもしれないから神様になったのに。
非日常が待っているって言ったのに。
「本当につまんないよな。隠れんぼ。」
「こんなところに居たんですか。」
「美月、もう隠れんぼは二度とやらないのじゃ。」
「え、なんでですか。」
「つまらないのじゃ。今日のところは帰るのじゃ。」
それだけ笑顔で言うとふわふわと空に帰って行ってしまった。
「大神さまは存在感がありますね。」
「ふーん、僕は存在感が薄いから見つけられなかったの。」
「はい、そうです。良くわかりましたね。ですから闇退治に行きますよ。それしか存在感を強く出来ないんですから。
目指せ、隠れんぼ最弱伝説です。」
さ、最弱って、嬉しくないよ。あー、でも嬉しいのか。それだけ存在を認めて貰えるなら。
「複雑。」
「そうして大神さんよりも早く見つかっちゃうのです。ハハハハ、主さま、最弱伝説。
いいですね、いっぱい闇退治をして存在感をあげて最弱になりましょう。」
「でも、................あんなに怖い思いをしなくちゃいけないの。」
すると腕をクロスさせて引いた。するとあの闇のように腕は鋭く尖ったカマキリの鎌のような形になる。
色は美しく青白かった。やはり満月のような感じた。
「私が主さまをお守りするので安心して下さい。」
「でも、」
「でももあれも無いのです。うるさいですよ。」
キッと僕を睨み付ける。
「わかった。行こうか。」
まだ美月のことなんか知らないし付き合いも短いけど睨み付けられたときのあの目に賭けてみようかな。
「それじゃあ、闇退治に行くか。」
「ええ、最弱になりましょう。」
「やっぱりせめて最強とか、かっこよくしない。」
「えっ、隠れんぼ最強の座に立っているのは今の主さまではないのですか。」
「うぅ、そうかもしれないけどさぁ、」
「主さまは最弱伝説を作るのでしょう。一番に見つかってしまう最弱の存在に。」
やっぱり複雑な気分になってしまう。
だって最弱扱いとか色々と心に塩を塗りたくられているような気分だよ。
けど、最弱伝説か。なにか一つでも伝説に残るようなことをしたのならば満足した満ち足りた気分になれるのではないのではないだろうか。
僕は無意識のうちにニヤリと唇を上げていた。
「最弱の存在になってやる。」
そう、固く誓った。