4話
さぁ、さっさと地上に行って闇退治をするか。
「そしてあのキロロンのことは忘れよう。」
「あの変質者は、そういう名前だったんですか。」
「出来れば二度と会いたくないけどね。それじゃあ、行くよ。」
言われた通りに神器に鍵を差し込みくるっと回す。
僕達が降りた地上は人がいっぱい居てそしてその背中にほぼ全ての人が黒いガイコツを乗せていた。
これが闇なのか。
何十人も闇を乗せているその姿は異様でありとても醜悪だった。
「嫌な土地に出ましたね。」
「あれを叩き斬れば良いんだね。」
「そうですよ。神器で叩き斬ってください。」
隣に居た人の闇を斬ると恐ろしくスッと神器が入りパリンと闇が砕けた。そして闇が砕けると砕けた粒が集まり丸くなってビンの中に入った。
「これが人生キャンディーか。」
「はい。本当に主さまはなにも知らないんですね。全く本当に主さまは神なのにバカなのですね。」
「カッ、カタカタカタカタカタカタ。」
「な、なんだよ。」
気付けば周りに居た全ての闇がこちらを見て笑っていた。
闇の赤い目が全て僕を見ていた。
カタカタと歯を鳴らして笑う姿はとても悲しげだった。
「主さま!!。」
僕は美月に押されて倒れ込んだ。痛い。
「なにをボーっと突っ立っているんですか。このバカ主。」
「な、なんで。」
「仲間を一人浄化されたんで戦闘形態に入っているんですよ。」
美月の頬からは一筋の血が流れていた。そしてそれがポタリと僕に落ちる。温かい。
そうして美月は僕のことを無理矢理立たせた。
今まで倒れていた場所のアスファルトに無数の黒いカマキリの刃のようなものが突き刺さっていた。
戦闘形態に入った闇は宿主から離れていて手足がカマキリの刃のようになっていた。
「どうしょう。」
「この愚主さまがぁ。とっとと走ってとんずらするか、さっさと神器を持って戦って下さい。さもなくば一人で死んで下さい。」
「死ぬのは絶対お断りしたいよ。」
この数相手に逃げるのは無理だ。しかも人が多すぎて逃げる場所もわからない。
だから選択肢など一つしか無いわけだ。
「戦う。」
「後ろは私が守ります。さっさと前は片付けてくださいよ。」
「わかった。」
そうしている間にも闇は僕達へ攻撃してくる。僕は刀の使い方なんか全くわからないので棒のように扱う。
しかも攻撃モードになった闇は固くて力一杯叩かないと全く砕けない。
手も痺れてくるしそれ致命傷ってほどではないが、浅く何回も切られて服には血がにじんでいる。
しかしこちらの努力もむなしく数はいっこうに減らない。
ヤバイ、これは死んじゃうかも。
「ねぇ、そこのあなた、花は満開の方がお好き、それとも散っている方がお好き。」
「今はそれどころじゃないんだよ。」
しかしはたと気がついた。闇達が一斉にひざまずいているのである。
そして僕の目の前に黒い着物を着て赤い紅を口に塗っていて整った顔立ちをしてい女の子が居た。
「私は散っている方が好き。あなたは。」
「この状況を説明してくれないか。」
「妾の質問に答えてちょうだい。」
「僕も散っている方が好きだよ。なんか空から星が降ったみたいできれいだから。」
正直な感想を述べるとニコリと女の子は笑った。
「あなた、妾と友達になりましょ。妾はお前が好きになった。」
「へっ。」
今、この子なんて言ったの。い、今ぼ、僕のこと好きって言ってくれたよ。
「そんな間抜けな面をするでない。妾はお前が好きになったのだからお前は妾のことを好きになる権利が与えられたのだ。
妾の名前は、闇野だ。よろしくな、名をなんと申す。」
「僕の名前は雨宮、雪。」
「雪、妾と共に参らないか。」
「?」
参ると言われてもどこに行けばいいのだろうか。
も、もしかして、闇野さんの家ですか。いやいやいや、初デートが自宅と言うのはとてつもなくハードルが高い気がするし、
まず僕はこの子のこと好きって言ってないよね。うぅ、早く言うべきだよね。
だ、だけど今会ったばかりの子を好きって言うのはなんかチャラ男って見られそうだし。
「はーい、はーい、二人ともそれ以上近付いたらだめだーよー。」