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第 1 話
「えー…今日からここ鼓中学校に入学する新入生のみなさん、おめでとうございます」
から始まった校長の話は長かった。―――本当に長かった。
亮斗は一年二組で、あいにく時計が見えない位置に座っていたから正確な時間はわからないが、十五分はゆうに超えただろう。
祝うべき、亮斗達は今日から中学生だ。
校長の話が終わると、そのあとはとてもスムーズに進んでいったような気がした。
入学式が終わると、担任にそれぞれの教室に案内された。
一年二組は校舎の最上階、四階の奥から二番目の教室だった。
元々体が大きい亮斗にとって、これから毎朝重い荷物を持ってここまで階段を上がらなければいけないのはつらい。
(一年生なんやから一階にしてくれたらよかったのに)
亮斗はそんなことを思いながら自分の席―――窓側の一番前の席についた。
亮斗の苗字は「赤塚」なので出席番号順で並ぶと一席になるのだ。
体育館にいたときは気が付かなかったが、慧也も同じクラスだった。