プロローグ(3)
プロローグラスト!
< トラバー >
7年前、突如としてあらわれた人ならざる能力を持っている者。“ 彼ら ”は常人、常識では考えつかないこと、説明できないことを容易に成し遂げる。“ アビリティ ”を使って。
トラバーは体のどこかにトランプのマークのようなアザが出現する。生まれながらの者もいれば突然あらわれた者と様々だ。
トラバーには一人一人アビリティを保持する。力を増幅させるアビリティ、人を癒すアビリティ、特殊な力を使いこなすアビリティ、多種多様様々なバリエーション。誰1人被ることは無いその者だけのアビリティ。
なんの前触れもなく突然、予告もなく出現したもの。政府が研究してわかったのは54人いること、アザについて、トラバーたちの年齢は30以下、18以上であること。
現在、研究は続き続々と新しいことが分かっている。
これが表向きに発表されているコトというのはまた別の話……。
そんな俺、綾神 鈴青も兄である綾神 薔薇 (あやがみ しょうび)も世間で言うアビリティをもつトラバーだ。
体に出現するはずのアザは俺たち兄弟には目にある。兄は左目にスペードとAのマーク。俺は右目にスペードのKのマーク。正直厨ニくさくて自分は好かないが兄とオソロイである為気に入ってはいる。
「 ……ん 、 …ん! リン! 」
「 え 、 ぁ 、 ハイ!! 」
「 ったく… 。何ボーッとしてるんだよ。学校遅れてもいいのか? 」
考え事にふけていると兄が呆れたように溜息をつきコーヒー片手にこちらを見ている。
時計を見れば午前8時8分とデジタル数字が表示されている。
「 やべっあと20分!! 」
残りのご飯をかきこみ牛乳で流し込んでから「 ご馳走様!超美味しかった!! 」
焦りながら勢いよく立ち上がり洗面台に向かいながら朝食の礼を叫ぶ。
「 知ってる〜、コケるなよー。あと弁当は机に置いとくからー 」
兄の声が遠くから聞こえる。洗面台から「 ありがとー! 」と返事を返しては櫛で髪をとく。男子高生の短髪だが長い襟足があり腰まで伸びている。クラゲヘアと言うものが表現的には近いだろうか。その長い髪を三つ編みにひとつにまとめて銀の「 × 」の飾りがついたゴムで結ぶ。邪魔になるなめ右肩から前へ流し「 バシャッ 」と顔に冷水をかけては雑にタオルで水気を取りその場を離れる。2階へ駆け上がり学生服を慣れた手つきで素早く着衣し自分の部屋からりゅっくを持ち出しそれを片手に今度はリビングへ。兄が用意してくれた弁当を持ち間髪入れずに玄関へと行く。
靴を履き扉に手をかけながら一言「 行ってきます! 」外へ出る。
後ろから兄の声で「 行ってらっしゃい 」と聞こえて清々しい気持ちで空を見上げる。歩きながら学校へ向かいながらポケットに入っているアナログ時計を左腕につける。針は8時27分。どうやら間に合ったようだ。額に滲んだ汗を袖で軽く拭う。
次からはちゃんと本編に入ります!!
見てってくださいね!
あ、ちなみにリンは高二、ショウは大学1年になりますね。一応イメージしやすいように先に言っておきます!